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おまけ
裏設定
由紀さんは、作ったケーキをもって、僕にじゃあね、と手を振る。
はいはい、と僕もうなづいて、アイツと仲良くね、味見を頼むにも、もうちょっと次回は腕を上げてきてね、とお願いする。
由紀さんは少しふくれっ面で、相変わらず口が悪いわね、でも次はもっとかんばるわよ、と決意表明をして、バタンと部屋のドアを閉じた。
なんだかなあ。気に食わない。
好きな人の作ったケーキだからうまいって、バカじゃないの、と自分をまず罵りたい。
安直で、チープで、くだらない。
それって僕の大っ嫌いなやつなのに。
その好きな人が友達の彼女とかいうのも、ありふれて、バカみたいで、自分が自分で嫌になる。
手作りケーキなんて、やっぱりろくなものじゃない。
こうやって、いつまでも口に残った甘さが消えずに、少しだけ、胸の痛みが残るんだから。