三人の助手
人型の巨大ロボットの設計図を前に、博士は三人の助手に聞いた。
「これは、これから開発しようとしているロボットの設計図なのだが、操縦席を何処にするべきか悩んでいる。そこで、ロボットの操縦席を何処に作るべきか、お前達の意見を聞かせてほしい」
博士の言葉に、一人目の助手が言った。
「それなら絶対に頭部にするべきです。高く見晴らしも良く、操作もしやすいでしょう」
その意見に二人目の助手が横槍を入れた。
「いやいや、作るなら胸部だ。頭部などより位置の安定性が違う」
三人目の助手も言う。
「それならば腹部で良いのではないか? 安定性は胸部以上だろう。それに地面に近い分、乗り込みやすい」
「いいや、頭部にするべきだ」
「いや、胸部で」
「腹部だ」
三人の助手達の操縦席論争が白熱しかけた所で、
「お前達の意見はわかった。三人の意見を参考に検討してみるとしよう」
と、博士は纏めた。
それからしばらくの歳月が経ち、そんな出来事を忘れかけた頃、一人の助手が思い出した様に博士に聞いた。
「そういえば博士、いつかのロボットの操縦席の件ですが、結局、あれはどうなったのですか?」
「ああ、あれなら解決したよ」
あっけらかんとした博士のまさかの言葉に、助手は驚き尋ねる。
「操縦席の場所は決まったのですね!? 一体どこに!?」
「それはここだよ」
と、博士は頭部も胸部も腹部も存在しない、球体型ロボットの設計図を取り出し、その中心を指差して見せた。