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絶望の食卓  作者: 枝鳥
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スジ肉の煮凝り

 普段は滅多に料理をしない枝鳥だが、いくらかは料理するものがある。

 その一つが、スジ肉の煮凝りだ。


 居酒屋にあったり、最近じゃあ缶詰でも売られているが、どうにもそれらが枝鳥には甘過ぎる気がするのだ。

 だから、止むを得ずにスジ肉を煮るしかない。


 まずスジ肉を買う時に気をつけるのが、できれば和牛、少なくとも国産牛のものを選ぶこと。

 色々と試したのだが、どうにも輸入牛はアクが多くて面倒臭い。

 そして出来るだけ、脂が少なく肉も少ないゴリッゴリに硬そうな腱が多めなものを選ぶことだ。

 それだけを目安にスジ肉を選ぶ。


 鍋にスジ肉を放り込み、ドバドバと水を入れて火にかける。

 20分ほどもしたら、やや風呂よりも熱いくらいのお湯で洗う。

 洗ったら包丁で適当に一口大に切って洗った鍋に放り込む。

 トロトロになるスジ肉ほど、この段階ではゴリゴリと切るのには厄介だ。

 太ネギの青いところとニンニク、生姜、それに多めに鷹の爪を放り込んで日本酒をドバドバかけ、濃縮出汁と水を入れて煮る。

 ひたすら煮る。

 水が減ったら足す。

 またさらに煮る。

 それらを繰り返しているうちに、硬かったスジがトロンとしてくる。

 そうしたらば、砂糖少しと醤油をドバドバ入れて煮詰める。

 いい感じに煮詰まったならば、一度冷めるまで放置すれば完成だ。

 そうすることで、味がよく染みる。

 食べる前にまた火を入れればいい。


 トロンとした辛めに味付けられたスジ肉は美味い。

 だがしかし、スジ肉は食べ終わってからが本番だ。


 冷めた鍋の中は、見事に煮汁がプルンプルンに固まっている。

 そいつを皿に取り、冷ましたご飯と共に食卓に載せる。

 まずは箸の先で煮凝りだけを口に運ぶ。

 スゥッ。

 舌の上で旨味だけを残して儚く消えていく。

 ああ、これこれ。

 じんわり旨い。

 肉の旨味、辛めの味。

 まさに枝鳥の求めていた煮凝りだ。

 ついつい煮凝りだけを食べ過ぎてしまう前にご飯の上に乗せる。

 そして溶け始めた煮凝りとご飯を一緒に口にする。

 何となくだが、米は冷めた方が甘味が強いと思う。

 米の甘みが辛めの味付けに優しさを添えている。


 確かに良い肉の脂は美味い。

 良い肉自体も美味い。

 だが、この煮凝りの美味さはまた別なのだ。

 脂や肉の強烈な美味さではなく、優しく染み渡る美味さなのだ。

 私という体に必要な潤滑剤なのだ。



 花粉症になってから、どうにも体がひどくきしむ様な感じがしてならない。

 ギシギシとする体で、どうにか毎日を過ごしている。

 この週末は、久しぶりにスジ肉を煮ようかなどと考える。

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