プロローグ 前編
10年前に正式サービスが開始されてVRMMO Colect Fraud Online通称|CFO≪ぼっちオンライン≫は正式サービス1年後から圧倒的人気を誇り根強いファンに支えられその地位を確固たるものとし、トッププレイヤーとなれば社会的影響力さえもつようになった
しかし、いかに人気があったとしてもCFOの栄光も終わりをつげようとしていた
そもそもCFOとはどんなゲームであったのかについて述べよう
まずはタイトルについて、fraudを英語辞典で調べると、不正行為だとか偽物など、創作意欲を削がれる意味が並ぶ
次に、内容は冒険あり大規模戦闘あり武器、建物、ギルド、船、街などの作成あり、またモンスターテイムあり笑いあり涙あり、つまりなんでもありのファンタジー世界
3番目に、システムはスキルとレベル、また職業の熟練度と魂の階位の4つでキャラクターの能力がきまる
最後に、種族はヒュウマン、エルフ、ドワーフ、ビースト、デーモン、フェアリー、ドラグーンの7種類のうちから父と母を選んで種族が決まる
まぁ、長々と説明してみたが早い話が他作品のいいとこどり
これだけ聞くと、寄せ集めのキメラゲームと思うかもしれない
だがしかし、正式サービスから1年後の大型アップデートこれがすごかった
機械みたいに同じことを何回もいうNPCがまるで自我をもつかのような振る舞いをはじめ、現実のように自然が変化し始めた
ここからは最盛期を迎えるまではやかった、ある者は王国を作り、あるものはモンスターのみの魔境をきづいたり、聖剣や魔剣などの伝説の武具防具をつくる工房を作ったりした
人気の秘密はわかったがなぜぼっちオンラインなどと呼ばれているのか
そもそもサービス開始時はユーラシア大陸1個分の広すぎるフィールドで他プレイヤーとあまり会えずこのころからすでにプレイヤーのぼっち気質は高まっていた
その傾向を決定的なものにしたのがNPCの性能向上である、これによりなかなか会えない他プレイヤーよりプレイヤーというだけで優しくしてくれたり親身になって相談にのってくれるNPCに好感をいだかずにいられるだろうか?
そんなこんなで人気をはくしたぼっちオンラインであったが新作ゲームに人気を徐々に奪われ今日その歴史に幕を下ろそうとしていた
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2089年7月28日PM8時 アルモタヘイル大平原
そこには狂気を宿した画家が描いたような光景があった
2つの軍が向かい会っていた
両軍の規模には莫大な隔たりがあった
片方の軍団は地を埋め尽くさんばかりに展開された異形の集まりその数は数えきれない勇壮な軍団
一方、もう片方の軍団はわずか500にも届かない小さな小さな踏みつぶされるのを待つ卑小な集団
これだけでも数の暴力によって戦いがきまるだろう、それだけにとどまらず
多いほうの軍団はジャイアントや竜種など明らかに体のサイズが大きい偉大なる軍団
それに比べ少ないほうの集団はまるで豆つぶのように蹂躙されるのをまつ哀れな道化
そう勝敗はすでに決しているかのようだ
ここから始まるのは戦いなどではなくただの悲劇
子供が無邪気に虫をバラバラにするように、人が人を解体するようなとびっきりの悪夢
ついに両軍は動きはじめた
誰もが思った
さあ始まる踏みつぶされ、蹂躙され、生物の尊厳をバカにしたような悪夢が悲劇が
しかしそれが実現されることはなかった