シゼンノチカラ
自然って素晴らしいですよね。見ると世界の素晴らしさがわかるし、癒されて心を落ち着かせられるし。
それなのに今の時代ときたら…。自然を破壊してまで科学や技術を発展させていくなんて…。
まだ自然が残っている今の地球に、自然のおかげで地球が救われた、ちょっと不思議な物語をしましょうか…。
目が覚めるとそこは二千十三年の地球だった。
ついに、来てしまった。私はここでやりたくもない任務をしなければならない。
私はエネ。今から百年以上先の地球から来たサイボーグだ。
私がここに来た理由はこの地球を乗っ取りにきたのだ。私の地球はもう、人間などいなく、サイボーグの星になっている。私たちの地球は工業を発展させ、何かと住むのには窮屈になってしまった。そこで、この地球を新しい住処にしようと我々は考え、ここに送られたのが、私になった。
本当はこんなことなどやりたくもない。しかし、体が動いてしまうのだ。
サイボーグは、人間を少し改造して作られたロボットだ。つまり、ちゃんと心もある。
中には、心と体が拒否反応を起こし、壊れた物もいる。壊れるとは、死を意味する。拒否反応は心は嫌がり、それに反して体は動くとサイボーグは意図も簡単に壊れる。だから、私は自分の心を裏切った。死を恐れるあまり、心を無視し、体の動くままに行動した。
だから、私がここに送られてきた。思い通りに全て動く、操り人形だから。
心の奥ではやりたくないと思った。その心を裏切り、私はここにいる。今更、どうしようもない。
私は体の動くままに歩いていた。
この地球は見たことのない物ばかりだ。その中に一つ、とても惹かれるものがあった。自然だった。
「ここには、まだ自然があるのか。」
もちろん、工業が発展している私の地球には自然などかけらもない。コンピューターで目にしたことがあるだけだ。
少し、花を摘んでいると、背後から突然声がした。後ろを振り返るとそこには小さな女の子がいた。
「お姉さんもお花、好き?」と言われ、エネは笑顔でこたえた。「ええ。自然がとても綺麗で。」「じゃあ、これ、お姉さんにあげる!」と女の子は小さな花で作った花冠をくれた。「ありがとう。」
そういうと、女の子は照れくさそうに笑い、走っていった。
次に、私は人間がたくさん集まり、買い物をする通りを歩いていた。
不意に、誰かに声をかけられた。
「お姉さん!ちょっと見てかない?」
そういったのは、和菓子を売っている女の人だった。
「ちょっとコレ、食べてみて!」
と何やら和菓子を目の前に差し出してきた。毒を盛るつもりか。しかし、サイボーグは毒など効かない。
私は和菓子を一口食べてみた。
「……美味しい。」
食べた和菓子はとても甘くて美味しかった。
「本当かい?いやこれね、試作品なんだよ。美味しいっていってもらえたら、店に出そうと思っててね。」「すごく」美味しいですよ。きっと売れると思います。」「そうかい?ありがとう。あっ!ちょっと待ってな!」
と女は店に戻って行った。
しばらくして、女は何やら袋を持って出てきた。
「これ食べな!」
女は持ってきた袋を渡してきた。中には和菓子がたくさん入っていた。
「え?でも…。」「良いんだよ!ほんの気持ち!」「ありがとうございます…!」「どういたしまして!またおいで!」
女はそういって店に戻って行った。
私はすれ違った人に、自然のある場所をきいてみた。
「すみません。近くに自然が綺麗なところってありますか?」「自然?えーっと…。そうそう。自然公園ってところがあるわよ?ここをまっすぐいって、つきあたりを右に行けばすぐよ。」「ありがとうございます。行ってみますね。」
私はお礼を言い、自然公園に向かうことにした。
自然公園の自然は素晴らしいものだった。
一面の緑。綺麗な空気。風景…。
何もかも、素晴らしかった。
近くにあったベンチに座り、和菓子を食べていると、私は無意識につぶやいていた。
「私は、この星を残して置きたい。」
言った後で驚いた。まさか、自分がこんな言葉を口にするとは思っていなかったからだ。
今まで、自分を裏切り続けていたから。
何もかも、言われた通りに動いてきた。必要のない人間を、たとえ、自分の家族であっても殺した。必要のない、役に立たないサイボーグを壊すとき、たとえ、どれだけ助けを求められても、見殺しにした。
なぜ、こんなところで、自分が現れる?もう、出てきたって遅いじゃないか。もう、家族も、仲間も、元には戻らない。
この星はどうにかできる?なにか、私ができることはないのだろうか。
もう、どうなってもイい。何とかこの星を救イたイ。
一つ、案が浮かんだ。私がコワレればいい…?ソうダ、コワれれば星を救…る。
もう、壊れるのはわかっていた。
もう、どうデモイイ。この星ガ助…れバ…で…い。
そう思った。
自然の大切さ、わかりますか?
自然によって救われた地球。元々自然は酸素を作り出す植物がたくさん集まってできています。自然がなければ、人間は生きていけない。
自然が減り続けている今、このままでは未来の地球はこの物語のように、サイボーグの星へと変わってしまうかもしれませんね…。