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4-1

エロは無い。グロもない。NTRもない。

ただ、全力で一部の人間の心を折りに行く。そんな話

 突然だが俺には彼女がいない。


 いきなりなんだという話だが事実なのだから仕方がない。生まれてこのかた19年間。彼女という存在を持ったことが一度もないのだ。

 先に言っておくが別に俺はホモでもゲイでも歪みねえ集団でもなんでもない。普通に女性が大好きだ。特に巨乳。けどデカすぎてはいけない。大事なのはバランスだ。

 話がそれた。つまり何が言いたいかというと俺は女性が好きだが彼女が居ないという事だ。


 幼稚園の時は正直記憶はあやふやだ。同じ組の女の子と遊んだ記憶はあるが所詮幼稚園児。ピュアなハートな俺達は男と女の凹凸なんて知らずに純粋に明るく遊んでいた。

 小学生時代はどうか? 前半は同じだろう。一年二年の頃の記憶なんて全校遠足で疲れ切った記憶や、初めてできた友達の家でスーファミの差込口があるテレビの存在に度肝を抜かれた事とか、ちょっと無茶やって友達が公園で骨折したので急いでその友達の親に報告に言ったら最初は信じてくれなくてその間友達は泣き続けた事とかそんなもんだ。よく漫画やアニメでよく見るやたら聡い子供とか屁理屈述べてる子供キャラみたいな奴は居なかった。女子の居ない教室で何故か股間を見せながら走り回ることが面白いとか思っていたただの子供だ。今でこそ言おう。皆等しく無邪気で馬鹿だった。良くも悪くも。


 しかし歳をとれば自我も明確になる。自我が明確になれば他者との距離も意識し始める。それが異性なら尚更だ。しかし子供というのは格好をつけたがるものである。そしてそれが男の場合は尚更だ。例え好きな子が出来てもそれを他人に知られるのはタブーとされた。知っているのは仲の良い友人や親だけ。そんな情報も時たま奥様方の井戸端会議の最中、ファイル共有ソフトもびっくりな速度で拡散し同級生に知られることもある。母よ、あの時の屈辱俺は忘れない。


 とにかく子供は格好をつける。それは俺も同じだった。だから例え好きな子がいても素直に表現しないのだ。『Iさんはすごい凶暴だよな!』とか『やーい、暴力女!』とかそんな感じで誤魔化すのだ。それは俺が捻くれていただけかもしれないが、少なくとも俺の周りはそうだった。『お前、誰が好き? 俺も絶対、命に誓って教えるから教えてよ』と問われれば『いいよ。俺が好きなのは……お母さん! だって家族だし! ほら、お前も言えよ!』『おれもおかーさん。後は妹とか!』とかそんな感じだ。今思えば凄まじくマザコンっぽいが、そうやって追及をかわすのがトレンドだった。だけどクラスの女子の家に偶々お邪魔する機会があった時はみんなソワソワしてた。ガキだなぁ。


 3年、4年になってもそれは対して変わらない。悪口を言う機会は多少減ってきたかもしれないが素直じゃないのは同じだ。そう、男は決して好きな子を知られてはいけないのだ。あと学校のトイレで大をすることも知られてはいけない。それを知られたら男子が総出で覗きにくる。だから大は必ず朝家を出る前にしっかりしていくのである。だが我慢しすぎて学校でハザードを起こす奴もたまにいた。U君。隣の席で何故か椅子の上でしゃがんでいた君の姿を俺は未だに忘れることができない。どうしてくれる。


 そんな俺達男子だが、素直じゃなくても好意が欲しいのはガキの頃から同じだった。毎年2月14日には何故か落ち着きがなく、クラスの女子が『みんなに作ってきたよ』とチョコを配った際には無関心なふりしてこっそり喜んだ。そして大切に持ち帰り、家でそれとなくテーブルの上に置いておく。するとそれに気付いた母や姉が気づき微笑んでくれた。うん、今思い出しても凄まじく恥ずかしい。

 もちろんそんなイベントも無く学校で貰えない年もある。その時は友人とこんな会話をするのだ。『お前、いくつもらった? 俺は1個』『勝った! 俺は2個』『おい誰から貰ったんだよ?』


『家族から』


 今の年齢でそんな会話したら泣いちゃう。


 そしてそんな子供も成長し中学生になるとまた少し変わってくる。早い話より強く異性を意識しだしたのだ。可愛い子に頬が綻びかけるがそれは必死に隠しつつ、色々妄想しながら時たま道端に転がっている週刊フラ○デーの肌色な写真を見つけて興奮してしまう。そんなエロガキだ。コンビニに売ってるエロ雑誌に興味をもつものも買う事は出来ず悶々とするエロガキだ。その頃に友達になった加藤と出した結論は町の小さな古本屋に行き、めんどくさそうに仕事をしている爺ちゃんが店番の時に何食わぬ顔で買いに行くという方法だった。つまりエロガキだ。

 だが彼女は出来なかった。当然だ。何もしなけりゃ彼女なんて出来やしない。じゃあ何すりゃできるんだよ畜生と思いつつ、俺と加藤はエロ本を読んでいた。

 ああ、あとバレンタインだ。あの時は男子全員が浮足立っていた様に思える。けどこれが中々難しい。変にキメていけば意識しているみたいで恥ずかしい。けどもしかしたら貰えるかもしれない。そんな淡い期待を胸に秘め俺たちは登校し、下駄箱をそれとなく見て肩を落とし、机の中から教科書をとる振りをして中に何か入っていないか確かめ、放課後はその日だけは少しだけ長く学校に居続け、帰るときも何も気にして無いように帰るのだ。あとその日は普段眼鏡かけてるやつがやたら外していた様な気がする。眼鏡無しなら自信があったという事だろう。

え、結果はどうだったか? 聞くな馬鹿。


 そうだ、加藤の話をしよう。あいつはすごい奴だ。何が凄いってあれだ。その頃話題になっていた突然エキゾチックな妹が120人出来る恋愛ゲーム【シスターアマゾネス】。あれを夕飯前の家族の前でやっていたという。母親に『妹、欲しいの?』と聞かれたら『こっちでいい』と答えた猛者だ。そして俺をオタクの道に引きずり込んだ張本人でもある。あいつと一緒に宝塚な少女たちがメカで駆け回るゲームとかやってなければ俺はもうちょっと真人間だったかもしれない。必殺技を放つたびにゲラゲラと笑い転げていた俺たちを見ていた加藤のお母さん。当時は本当にすいませんでした!


 話を戻そう。結局俺と加藤には画面の向こう側以外で彼女は出来なかった。その頃の俺の理想の彼女はラブ○なのむつみさん。因みに加藤はしのぶ派だった。このロリコンめ。

そうえいばドラえもんの秘密道具の絵本入り込み靴が欲しいと思い始めたのもその頃からだろうか。


 そんな俺と加藤も高校生になった。市内の公立高校だったので同じ学校だった俺たちは友人関係を続けていた。だが二人ともこのままではいかんと思い部活動に入ることにした。

 選んだのはテニスだ。当時丁度テニスボールで格闘技をやる漫画が流行っていたのもあるが、元々加藤の家族がテニスをやっていたらしく、それに影響を受けたのが大きい。

 テニスは楽しかった。意外に適性があったのか、努力の賜物か。そこそこの強さになれた。

 だが彼女は出来なかった。


 遂には学校の二番手にもなった。


 だが彼女は出来なかったっ。


 県大会にも出場した。


 だが彼女は出来なかったっ!!


 当然だ。告白する度胸も無く、相手からの反応を待っているだけで上手くいくなんて甘えである。それは分かっていた。わかっていながらもダラダラと時間だけが過ぎていった。

 因みにそんな部活の副部長はしかっかり彼女もちだった。羨ましいと思いつつも俺と高校で友人になった山田。そして加藤は笑顔でこういうのだ。


『え? 今日の練習無理? まあ仕方ないか~。大事にしろよ!(イケメン風)』


 去っていく副部長。その背中を見る俺達三人の背中を見て後輩たちはどう思ったのだろうか。怖くて未だに聞けません。

 そして何も変わらぬまま、テニスと雨の日に部室でやった麻雀のスキルだけ得て俺たちは卒業した。


 そして俺たちは大学生になった。学校は流石に別々だったが俺たちはよく遊んだ。18禁の壁を越えた俺たちに怖いものは無かった。加藤により洗脳済みだった俺たちはためらいなく秋葉原に行きまあそういうゲームも買った。楽しけりゃ良いんだよ!

 その頃になると俺もバイトも始めた。レンタルビデオ店でバイトを続けた俺は、昔は鉄壁の防護壁に見えたアダルトコーナーの暖簾も余裕で躱し、色々詳しくなったタイトルを眺めつつは『これはねえな~』とか思いつつ売り場に商品を返却しまくった。社員と一緒に売り場レイアウトを考えるときはバイト男子数人でどの女優をプッシュするかで語り合った。お前らまだ19時半だぞ。あと2時間待て。

 バイト先にも女性は居た。仲良くもなった。だがあくまでそれは友人止まりだ。その頃になると良く言われた事がある。


『林君っていい人だね』


 そう、これがいわゆるいい人止まりというやつである。笑え、なあ笑えよ?

 そんなバイト生活。バイト仲間とはとても仲良くなった。平日も、休日も、バレンタインも、クリスマスも、正月も。一人暮らしの奴の家に集まり夜通し借りてきたDVDを見たり桃鉄をやっていたのだ。お前らそれで良いのか。俺もだけど! 

今でも忘れない。去年クリスマスイブの日。いつもの様に集まった俺たちは夜通し『本当にあった呪いのビデオ』を鑑賞していた。お分かりいただけであろうか?

 色んな所にも行った。江の島に千葉動物公園。そしてディズニーランド……。あの時は楽しかったなあ。何故か面子は全部全員男だったけど!


 無論加藤ともよく遊んでいた。一番最近だとドールに嵌ったらしく、俺に『娘!』と言って画像を送ってきていた。徐々に洗脳されつつある俺は加藤と秋葉原ラジ館ドール売り場に行く約束をしていた。


 ここまで 語ってきたが結局俺には彼女は居ない。色々思い出してなんか死にたくなってきたけどとにかく居ない。そう、彼女が居ない俺だ。俺だったが…………


「つ、付き合って下さい!」

「え?」


 目の前の光景。見たこと無いけど可愛らしい黒髪の少女が、顔を真っ赤にして俺にそう言って頭を下げているその光景に俺は、










「わが世の春がきたああああああああああああああああ!?」

半分くらい実体験と友人を基に(ry

加藤にはモデルがいます。ええ。


因みに先週は会社の先輩とルミナリエ行ってきましたが私は断じてホモでも何でもありません

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