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【連載】「偽物だ」と追い出された最強聖女たちの、自由気ままな珍道中  作者: 柚木(ゆき)ゆきこ@書籍化進行中
第二章 冒険者になった聖女たち

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9、呼び出し

「これは……」


 地下水道内部。アニーに連れられて、半信半疑で訪れた二人は、生まれ変わった地下水道の姿に目を剥く。


「おい……こんな綺麗になるもんなのか?」


 ポカンと口を開けていたギルド長は、地下水道を指差しながら隣にいた副ギルド長へと声を掛けた。

 

 目の前にある地下水道は、以前見た時のものとは様相が全く違っていた。

 正確に言えば……地下水道が完成した時のように綺麗だ。ちなみに地下水道はギルド長が誕生する何百年も前に作られているのだが。それほど衝撃的な綺麗さであったということだ。

 副ギルド長は彼の言葉に、冷静に何が起きたかを分析した。

 

「多分浄化魔法か魔道具を使用しているのでしょう。手ではここまで綺麗にするのは無理ですね」

「だが、魔法であれ魔道具であれ……結構な量の魔力が必要だと思うんだが……違うか?」


 魔法に詳しくないギルド長は、現在も魔導師として活動している副ギルド長に訊ねた。

 彼女は賛同する。

 

「ギルド長の仰る通りですね。普通はこんな長い距離を浄化魔法で綺麗にすることはできません。相当魔力の回復が早いか……魔力保持量が多いかでしょう」

「規格外がいたってことか」


 ギルド長は人差し指で頬をかく。魔法であれ魔道具であれ……まさかこれだけの魔力を持つ者が、初心者とはどういうことか。

 一度話を聞かなくてはならなそうだ、とギルド長は考えた。それは副ギルド長も同じだったらしい。

 

「アニー、この依頼を受けた人たちはどうしたの?」

「二階の待合室で待っていただいています。流石に帰ってくる時間が早すぎたので、確認後に依頼完了をお伝えしようと考えていました」


 彼女の言葉に、副ギルド長は満足気な表情で告げた。

 

「素晴らしい対応ね。ではアニー、そのお二方を執務室の連れてきてください」

「時間が無いって言われたら、可能な日を聞いておいてくれ。こっちが調整しよう」

「わ……分かりました!」


 アニーは副ギルド長の指示を受け、先に階段へと戻る。地下水道の入り口の扉が閉まるとともに、二人は呟いた。


「普通の新人……かしらね?」

「いや、どう見ても普通ではないな」


 二人は同時にふう、とため息をついた。



 

 ミナとレアは依頼表を確認してから、二階の待合室でアニーを待っていた。三十分ほど経った頃、彼女がこちらへ歩いてくる。彼女は二人の前に立ち、頭を下げた。


 「お待たせして申し訳ございません。あの、この後少々お時間をいただくことはできますでしょうか?」


 アニーの言葉に二人は顔を見合わせる。何か不備でもあったのだろうか、とレアの顔に書いてあった。ミナも不備はないと思うが……と疑問を抱いていたところ、アニーは彼女たち――特にレアの挙動不審な様子に気がついたようだ。

 そして二人が何を考えているのかも理解したらしいアニーは、誤解を解くために言葉を紡いだ。


「依頼に関しては問題ございません。現在、依頼達成という形で処理をさせていただいております。ですが……」


 少々言いにくいことなのか、彼女の口が濁る。

 その後、周囲に人がいないことを確認し、二人だけに聞こえる声で話を続けた。


「どうやってあのような状態にしたのか、副ギルド長がお聞きしたいと申しておりまして……大変申し訳ございませんが、説明をお願いしてもよろしいでしょうか?」

「ミナ、どうする?」


 アニーの言葉を聞いて、真っ先に声を上げたのはレアだった。

 彼女は先が二股に分かれている木の枝で、水の中のゴミを回収しただけだ。浄化魔法については、ミナの管轄。そのため、彼女はミナの意向を優先しようと考えたのだろう。

 ミナは少しの間思案していたが、顔を上げてアニーに了承の意を告げる。その言葉を聞いた彼女は、断られることも想定していたのか……ほっと胸を撫で下ろしていた。


「ギルド長、副ギルド長。お二人をお連れいたしました」


 アニーの案内ですぐに執務室に案内された二人。彼女の指示で二人が部屋へ入ると、真正面の机に男性が座っていた。色黒で冒険者のように筋肉質。そして一番目を惹いたのは頭だ。髪の毛が生えていないのである。

 男性は二人の姿を確認すると、持っていた筆記用具を机に置いて立ち上がった。そしてアニーにミナとレアを左手にある来客用のソファーへと座らせるよう指示を出す。

 二人が手前のソファーに腰を掛けると、ギルド長は対面のソファーに音が鳴るくらいの勢いで座った。その時、遠くからギルド長を諌めるような声が聞こえる。


「ギルド長、物は大事に扱ってくださるかしら? そのソファーも年季が入っておりますから、乱雑に扱ってしまえば壊れてしまいますよ」

「あー、分かった分かった」

「……本当に分かってくださっているのかしら」


 副ギルド長らしき女性は、ギルド長の隣へと静かに座る。その間にアニーが飲み物の準備に手をつけており、四人が座る頃にはテーブルの上の準備も終わっていた。

 副ギルド長がアニーの用意した紅茶に口を付けてから、ミナとレアへ向き直った。


「さて、呼び出してごめんなさいね。私、このギルドの副ギルド長を務めております、メラニルと申します。こちらはギルド長のボルドー。私たちからお二人にお聞きしたいことがあるのです」

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