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【連載】「偽物だ」と追い出された最強聖女たちの、自由気ままな珍道中  作者: 柚木(ゆき)ゆきこ@書籍化進行中
第四章 新たな地へと向かう聖女たち

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32、ランディアの動き

 ベルドとウルの二人と仲間になって一週間ほど。ミナとレアの二人は緑級の依頼を、ベルドとウルで紫級の依頼を別々に受けていた。

 

 仲間になって最初にミナたちはベルドたちに言ったのだ。「足手纏いにはなりたくない」と。


 二人が幾ら戦闘慣れしているとはいえ、冒険者としてはまだまだ初心者。二人の依頼の足を引っ張ってしまうのではないか、と思ったらしい。

 ベルドとウルには「そんなことないと思うけどな(だろう)」と言われるけれど、他にも緑級の依頼を受けてみたいと話したところ、それならばとベルドが提案してくれたのが、別々に受ける方式だ。


 冒険者の中には別々の依頼を受ける者たちもいると聞いて、ミナとレアは最初驚いたものだ。窓口で二枚依頼表を提出し、森の手前で別れる。終わった者たちは先に待ち合わせ場所にいて、約束の時間までに来なければ応援に行く。

 人数が多い冒険者チームはそのように組んでいることもあるのだとか。


 ミナとレアはそのように二人へとお願いし、別々の依頼を受けた後、引き続き配膳の仕事を続けていた。

 


 ある日、四人はギルド長ドレイクに呼び出され、執務室へと顔を出す。


 部屋に入るとドレイクは山のような資料と格闘していた。そんな様子を遠目で見ながら、四人はそれぞれ長ソファーへと座る。

 手元の資料群を終わらせたドレイクは、こちらへとやってきた。彼の表情は面倒臭そうで、頭をかいている。厄介な依頼だろうか、と女性二人は首を傾げていると、彼は一人掛けのソファーに音を立てて座った。


「ベルドたちに伝えておきたいことがあってな。今ランディア王国がきな臭い」

「ランディアが?」


 ベルドの言葉にドレイクが同意する。

 久しぶりに祖国の名前を聞いたミナは、少しだけ身体を強張らせた。それに気がついたのは、レアだけだ。レアはミナを一瞥した後、首を傾げながらドレイクに訊ねた。


「あの〜、紫級のベルドさんとウルさんに伝えるのはわかるのですが……私たちにその話を伝えてもいいのでしょうか?」


 彼女の疑問も尤もである。

 ベルドたちと仲間になったのはつい先日。しかもあちらは紫級、こちらは緑級。そんな大事な案件を、単なる緑級の二人に聞かせて良とは思えない。

 ミナも冷静に、感情を表に出さないよう首を縦に振る。するとドレイクはその疑問は正しいと言わんばかりに、頷いた。


「いや、最初はそう思ったんだが……正直俺もそこまで詳しいことは知らないから大丈夫だろ。だから、お嬢ちゃんたちに訊ねようと思ったんだ」

「?」


 ドレイクの言葉に目をまたたいていると、彼は「まあ聞け」と二人を宥める。


「聞いた話によるとだな……現在、ランディアが帝国とグランテに密偵を放とうとしている噂がある。誰かを探しているみたいだが……その相手は分からん。ベルドは何か知ってるか?」

「さぁ……ランディアの大聖女様が体調不良かもしれない、って話は知ってるけど」

「え、そうなんですか?」

 

 ベルドの言葉に驚いたのが、ミナとレアだ。

 特にレアは驚きからか、無意識に口に突いて出てしまったらしい。ミナもまさか大聖女の追放を『体調不良』で誤魔化せるとランディア王国が思っていることに目を見開いた。


「いや、色々な噂があるとは言っていたかな……体調不良だとか、職務放棄だとか、逆に職務遂行していて居ないだとか……一番は体調不良説らしいけどね。それで王都の教会がてんてこ舞いだって知り合いは言っていたな」


 大聖女の体調不良説(笑)にミナは呆れてしまう。

 大方……大聖女の仕事で一番重要であり、一番厄介な聖障壁の水晶玉の業務が完了しないのだろう、と思った。あれはミナの神聖魔力でも半分よりちょっと少ないくらい? 吸収される。聖女一人だけで賄うのは到底無理なのだ。

 まあ、先代大聖女なら可能だけど、彼らが彼女に泣きつくとは思えない。

 

 普段のように表情は変わらないミナだったが、密偵は多分自分を探しているんだろう、と理解した。

 あの時は「聖女は他にいるから、大丈夫よね」と鼻歌混じりに国を出てきたが……情けない、もう少し頑張って欲しいものだ。このまま自由気ままに生きたいので、とミナは思う。

 きっと王太子と婚約した侯爵令嬢が気合いでどうにかしてくれるだろう。


 そんな遠い目をしていたミナに気づかないドレイクは、ベルドの言葉を聞いた後二人へと顔を向けた。


「それでお前たちに聞きたいのは、どっちの王国から来たのかということだ」

「グランテです」


 ミナが口を開く前に、レアが答える。


「なので、そのような話を聞いたことがありません……」


 レアが申し訳なさそうに告げると、ドレイクは慌てて彼女へ声を掛ける。

 

「いや、いいんだ。もし嬢ちゃんたちがランディアから来たのなら、何か知っていることはないかと聞こうと思ったんだが……そうそう上手くいかないか」


 頭を掻いた後、肩をすくめるドレイク。聞きたかったのはそれだけらしい。もし、何か情報が掴めればギルドにも共有して欲しい、と言われた。

 その件について了承し、全員で執務室を後にした。

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