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【連載】「偽物だ」と追い出された最強聖女たちの、自由気ままな珍道中  作者: 柚木(ゆき)ゆきこ@書籍化進行中
第三章 討伐依頼を受ける聖女たち

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30、仲間選び

 その日からベルドとウルに出会えば、挨拶する真柄になった二人。

 時たま、配膳の仕事をしている時に、女性冒険者たちがベルドたちとどのような関係なのか、と聞いてくることもあった。そんな時二人は『人攫いの件でお世話になったから』と伝えると、不審な視線を送られながらも納得される、という日々が続く。


 そして一週間ほど経った頃。

 依頼を受け終えた二人にギルド職員が声をかけた。メラニルに呼ばれているらしい。用事があったかと首を傾げながら、二人は職員の案内で応接室まで歩いていく。


 部屋に入った二人を待っていたのは、ソファーに座って書類を確認しているメラニルと……彼女の前に積まれた書類の山。

 仕事をしているのか、と身構えた二人。そんな彼女たちに気づいたメラニルは、目の前の椅子に座るよう促した。

 そして、テーブルの上に置かれている書類を二人の方へと移動させる。どうやら自分たちが見ても問題ない書類だ、と判断した二人は一番上に置かれている紙を手に取ろうとして……それが冊子になっていることに気がついた。

 冊子を手に取ったミナとそれを覗き込むレア。

 ページをめくるとそこに書かれていたのは、知らない冒険者の情報だ。それとメラニルを交互に見る二人。そんな彼女たちの様子にメラニルは、何かを察したような表情を向けた。


「あら、二人とも……もしかしたら忘れていて? 二人に合った冒険者チームを探す、という話だったことを、覚えているかしら」

「「あっ……」」


 そうだった。完全に二人は忘れていた。

 それも仕方ないことかもしれない。最近『仲間にならないか』と誘われることもほぼなくなったため、仲間の必要性を感じていなかったこともある。


 二人の様子から、メラニルは苦笑いだ。


「こちらも待たせてしまっていましたからね。申し訳なかったわ。この街以外を拠点にしている冒険者チームも選んでいるの。それで選定に遅くなってしまったのよ……」

「「あリがとうございます」」


 ミナとレアが頭を下げると、メラニルは疲れたような表情を浮かべる。


「もし読んで、良さそうなチームがあれば、教えてくださいね。私は申し訳ないけれど、仕事をしなくてはなりませんので……執務室へと戻ります。この場所は空けてあるので、ここでゆっくり選んでちょうだいな。何かあったら、全部確認した後に執務室へと来てくれるかしら?」

「わかりました」


 その言葉を聞いたメラニルは、ソファーから立ち上がり、部屋から出て行こうとの扉の取手に触れる。開ける前に何か思いついたことがあったのか、二人に背を向けていたメラニルはミナとレアへと顔を向けた。

 そして真顔で言い放つ。


「……もし勧誘の選定が終わった、と判断されたら、また勧誘が多くなる可能性も否めませんから。もし可能であれば今回のチームから選んでもらえると嬉しいのですが……まあ、相性もありますから、その時はまた考えますので教えてください」

「ありがとうございます。まずは確認させていただきます」

「そうですね、お願いしますね」


 そのままメラニルは扉から出て行く。二人は顔を突き合わせて資料を見始めた。

 

「この人たちは……どう思う?」

「うーん、相性としては悪くなさそうかなぁ? けど、どうなんだろう……ピンとは来ないかな?」

「私もだ」


 冊子をいくつか見ていくミナとレア。しかし、顔を見たことがない者たちばかり。どうやら現在この街で活動している冒険者の中にメラニルからの推薦はいないようだ。

 知らない顔と名前と睨めっこをする二人。中には女性冒険者もいたけれど、二人の心を沸き立たせる者たちはいない。

 冊子は数えると六冊あった。五冊目を見終わり、ミナはレアへと目配せをする。レアはその視線に気づいた後、首を横に振った。


「正直な話、書類だけ見ても話してみないとわからないよね……」

「そうだな」

「それに、この人たちと一から関係を作っていくのも大変じゃない?」


 レアの言葉にミナは何度も頷く。そう、そこなのだ!

 一チームはこの街で活動している冒険者チームだったが、拠点がこの街にあるらしく旅をする予定はなさそうだ。様々な場所を巡りたいと考えていた二人は、少し残念に思う。

 他の冊子で確認した四チームは現在、この街で活動していない。注釈で二チームが隣の街で活動している、という話が書かれていたが……そこで挨拶をしてから、関係を構築しなくてはならないのだ。

 それなら二人でいた方がいい、と思った二人の頭に、ふとある冒険者たちの姿が思い浮かぶ。


 けれども、目の前の資料は後一冊。流石にないだろう……そう思って手に取った冊子。ミナが一枚ページをめくると――

 

「あっ」


 二人は目に飛び込んできた名前を見て、お互い顔を見合わせる。そして相手の唖然とした表情を見た二人は、思わず吹き出していた。



 

 ミナたちは資料を持って、執務室に向かった。

 扉を叩くと、中からメラニルの入室を許可する声が聞こえる。二人は「失礼します」と告げて、執務室へと入っていくと、そこにいたのはメラニルだけではなかった。

 メラニルはソファーに座っている。そして目の前にはベルドとウルの姿が……。


 ミナたちが驚きから呆然としていると、メラニルが二人に声を掛けてくる。


「あら、もう全ての資料を見終わったのでしょうか? 早いですわね」


 そう言いながら、ミナが腕に抱いている冊子を受け取る。彼女はそれをテーブルの上へと置いた。

 べルドとウルは目の前へと置かれた資料に興味を惹かれたのか、そこに目が釘付けだ。メラニルはそんな二人を見てから、立ち上がる。

 そしてミナたちへと体を向けた。


「この二人がいては、話ができませんね。応接室に参りましょうか」

「いえ、ここで問題ありません」


 間髪入れずに入れられたミナからの返事。その予想外の言葉にメラニルは目をしばたたかせる。

 ミナは手に残していた一冊の資料を彼女に手渡す。どうやら二人はあの資料の中から決めたらしい、そのことに気がついたメラニルは冊子を受け取り……中身を見る。


 そして最初に飛び込んできた者の名前を見て、ミナと資料を交互に見ている。まるで本当にそれでいいのか、と言わんばかりの様子だ。


「……いや、予想外の展開だわ」


 そう小声でメラニルは呟くと、なぜここで話しても問題ないかを完全に理解した。むしろ、ここの方が都合がいい。

 メラニルは不思議そうな顔でこちらを見ているベルドへと身体を向ける。そして最後に渡された資料を彼へ差し出した。

 いきなり手渡される冊子にベルドたちは、首を傾げている。


「副ギルド長、これは?」

「中身を見てくださる? 私が許可しますから」


 訝しげな様子でメラニルとミナたちを見るベルドだったが、元々テーブル上にある資料も気になっていたこともあり、彼は一枚目のページをめくる。

 そしてそこに書かれていた名前は――

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