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【連載】「偽物だ」と追い出された最強聖女たちの、自由気ままな珍道中  作者: 柚木(ゆき)ゆきこ@書籍化進行中
第三章 討伐依頼を受ける聖女たち

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23、不穏な空気?

「お疲れ様、バルド」


 執務室に着いた二人は、ソファーへと対面に座る。二人はふう、と深く息をはく。そして先に声を掛けたのはメラニルだった。


「ひとつ聞いていいかしら? バルド、あなたから見てあの二人のお嬢さんたちの実力は、どうかしら?」

「そうですね……まずミナという女性ですが、彼女は相当な魔法の使い手ですね。無詠唱で捕縛魔法を使いこなした上に、捕らえた男たちを魔法で運んでおりました」

「魔法で運ぶ?」

 

 バルドの言葉に目をしばたたかせるメラニル。バルドも肩をすくめて話す。


「なんと言えばいいか……僕が二人の元に行った時には、すでに全員が捕縛されておりました。白く太い紐のようなもので手足を拘束していましたよ。その後、僕が引き連れて行こうとしたのですが、彼女が『問題ない』と告げたので静観していましたが……白い紐から脚のようなものが現れて、ひとりでに歩き出したのです。いやー、僕も最初は目を疑いましたね」


 あっけらかんと告げられた言葉に、メラニルは唖然とする。


「地下水道の件でも驚いたけれど……まさかそこまで実力があるなんて」


 メラニルは頭を抱える。


「地下水道って? そういえば最近その依頼を見ないですね」


 バルドは彼女の言葉が気になり訊ねる。もしや彼女はまた何かやらかしているのだろうか。メラニルは額に手を触れながら、ひとつため息をついた。


「以前あの二人が最初に地下水道の依頼を受けたのだけど……彼女、魔法で浄化したらしいの。今地下はピッカピカよ……。それを見せられずに、今地下水道の掃除を取りやめているの」

「……なるほどね」

「だからミナの異常性知っていたけど……レアはどうなのかしら?」


 彼女の言葉にバルドは少しだけ考え込む。


「いやー、彼女もすごいと思いますよ。ゴブリンの死骸を確認したところ、彼女は一閃して六匹のゴブリンを倒したようです。傷が一箇所しかありませんでしたから」

「一閃、ねぇ……あの子たち、本当に初心者かしら?」

「冒険者ではなかったのかもしれませんが……戦い慣れはしていそうですね」


 バルドの話にメラニルも頷く。

 

「それに、あの魔剣……ガルドさんのとこのやつでしょう? それを扱える時点で実力はあるようなものですよね? ウルだって触れるのすら無理でしたから」

「まあ、そうね……」


 彼女はソファーの背もたれに寄りかかると、天井をボーッと見つめた。どうやら相当お疲れのようだ。

 

「はあ、謙遜なのか……ものを知らないのか……本当にあの子たちは……」

「まあ、なんとなく後者のような気もしますよ?」


 その後、ため息だけの無言の時間が続く。

 しばらくして気持ちを切り替えなおしたメラニルが、自分の執務机に向かう。引き出しから取り出したのは、一通の手紙だった。


「これ、あなた宛の手紙」

「ありがとうございます」


 バルドは手紙を受け取ると、すぐに内容を確認する。一瞬目を見開き驚いた様子も窺えたが、彼は基本表情を変えずに一通り目を通した。

 彼は読み終えると手紙を封に入れる。すると一瞬で封筒に火がつき、そのまま燃え尽きた。

 その様子を見ていたメラニルがボツリと呟く。


「あなた魔法をもう少し極めればいいのに」

「……僕は今のままでいいですよ」


 彼女の発言に微笑むバルドだが、その表情から彼の考えを読み取ることができなかった。メラニルはそれ以上追随することなく、「そう」と答える。

 

「さて、そろそろドレイクが来る頃でしょう。応接間に戻りましょうか」

「分かりました」


 先に部屋を出ていくバルド。メラニルは彼の背を見送ってから、必要な書類を机から取ろうとして……床に落ちている紙切れに気がついた。

 先ほどバルドが燃やした手紙だろう。どうやら燃え残ってしまったらしい。


「……女?」


 そこに書かれていた文字は『女』という文字。その言葉で思い浮かんだのは、ミナとレアの二人だった。


「まぁ、まさかね」


 メラニルはその紙を千切ってごみ箱へと捨てる。そして執務室を出て行った。


 ――だから彼女は知らなかった。燃えてしまった前の言葉が『聖』であったことに。


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