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第8話夏休み明け

「というわけで、今学期から編入することになった叉江守 大樹だ。みんなわからないことがあれば教えてあげるように」

「さ、叉江守 大樹です。色々あって今学期からこちらに編入することになりました。よろしくお願いします」


事前に先生から言われていた簡単な自己紹介をする。SNSのとあるサイト曰く、ある程度人間関係が形成されつつある時期の編入及び転入に必要なことは初顔合わせのタイミングでどれだけ接しやすい雰囲気を醸し出せるかにあるらしい。失敗すれば『グッバイ俺の新・高校生活』となるとか………


「席はそこの余っている席に座りなさい」

「わかりました」


そんなこんなで恙なく自己紹介を終えた大樹は先生に指示された窓際一番前の席へ、着席する。そして、SHRが始まった。


どこの高校でもSHRは同じらしい。対妖怪を専門とする祓魔士の教育機関だからと言ってその全ての時間が非日常なことばかりではないらしい。


これまで見てきた日常的な光景と同じさまに少し肩透かしを食らいつつ夏休み明けの提出課題やらの話を退屈そうに聞いていると横から視線を感じとる。その方向へ視線を向けるとまるで好奇心旺盛な子供のようなキラキラした表情を浮かべた男子生徒がいた。


「よ、よろしく……さっきも言ったけど俺は叉江守大樹っていうんだ。君の名前は?」


その視線に耐えかねてつい声を掛けてしまう。


「よっ!俺は檜華ひばな夏輝なつき。夏輝って呼んでくれ。よろしくな‼」


満面の笑みを浮かべ、手を差し出してくる


「うん。よろしく、夏輝君」

「おいおい、『くん』付けなんて止めてくれよ。むず痒いじゃんか。呼び捨てでいいぜ‼なんだっておれたち友達なんだし」


めっちゃ距離を詰めてくるじゃん


「わかった。よろしく夏輝」

「おう!」

「おい、コラそこ!無駄口叩かず先生の話を聞きなさい」


夏輝の雰囲気に大樹の緊張は和み、これから話が弾みかけたその時、いつの間にか課題提出が終わっていたようで先生の叱咤が飛んでくる。それに合わせクラスの視線が二人へと向いていた。


「檜華。お前符術の課題以外全て忘れたくせにいい度胸だなぁ~後で、この件を親御さんへしっかり報告せねばな」


ピクピクと頬を引き攣らせながら笑顔で死刑宣告する教師。それを聞いた檜華はサァーと血の気の引いた真っ青な絶望の表情を浮かべる


「ちょ、明日までに仕上げますから‼それだけは勘弁してください。マジでもう忘れ物しませんから」


席から立ち、命乞い……といった面持ちで懇願する


「なら、今日は居残りでいいな?先生がしっかり見といてやる」

「そ、そんなぁ~~………」


膝から崩れ落ち、両手を床へつく


?クラス全員『またか』って目で見てるけど忘れ物常習犯なのかな……

そんな疑問に答えるように一人の女子が立ち上がり発する


「これに懲りたらしっかり課題はすることね。このバカ夏輝、とっとと自分の席に座りなさい」


そういって夏輝の元までツカツカと歩いていくとその耳を思いっきり引っ張り引きずり始める


「イッ!イタイイタイ‼やめて、耳を引っ張るのだけわぁぁ~~」

「………」


どうやら檜華がこの女子に怒られるまでが一連の流れのようだ。これを見ているクラスメイトがなんとも生暖かい目で二人を観ている。


この二人はいい感じなのかな?


なんだかんだあったがSHRが終了し、授業が始まった。1~5限目までは前の高校と変わらず、その速度や内容も普通といった様子だった。6限目は符術に使う符の製作だった。工程は、清められた専用の用紙に自身の神力を練った墨を用い、術を発動させる為に決められた文字を書き記す。それ単体では、純粋に放つ神術より火力や効果は落ちるが起動させるまでの時間短縮や戦術の幅を広げるという理由で使用される。祓魔士にとって基本的かつ必修の技能である。


大樹は夏休みの期間中昼夜問わず符術のスペシャリストである形代によって訓練させられたため授業中にほかの生徒よりも手際よく済ませた。尤も、大樹が込めたのは神力ではないため、その札は大樹にしか使用できないのだが。そして、記念すべき編入初日の授業は終了した。


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