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恋はいつでも前途多難・2

 姉の恋愛下手を受けて、オデットの恋愛感情は未発達。やっつけるのは、さすがにジェラール先輩が可哀想すぎる。


「ううん、大丈夫。ジェラール先輩もオデットのことが好きってお話をしてたの」


 いたずらに「好き好きっ」と頬を両手で挟んで擦ると、オデットが喜んで額を突き合わせる。


「私も! お姉ちゃまが大大大好きですっ」

「オデット」

「お姉ちゃまっ」


 姉妹でひしと抱き合えば、ジェラールが笑う気配がする。バカバカしくなったのだろう、きっと。



 姉妹仲の良さをたっぷりと見せつけてからジェラールを横目で見れば、曇りのない笑顔。



「どうかしましたか」

「いや、どうって。アデルちゃんのことも好きだったなと思ってさ」

「!?」


さらりと言われてアデルの目が丸くなる。


「この子いいなと思ってたのは本当。でなきゃ偽装彼氏なんて言い出さないって」


 女好きで知られる先輩の言葉を真に受けたら人様に笑われる、くらいに思っていた。私に好意をお持ちくださっていたとは。



はっとした様子でジェラールがかぶせる。


「アデルちゃんがダメだったからオデットちゃんってわけじゃないぜ。そこは誤解しないでくれよ」


 分かってますとアデルは頷いた。意地悪はこれくらいにしておこう。


「しません。オデットは私の自慢の妹で、さすがジェラール先輩はお目が高いって思ってます。先輩の恋を応援します」



 ジェラールが口を開くより早く、隣から「お姉ちゃまっっ」と感激の極みといった声がする。


 オデットが両手で口をおおって、瞳を煌めかせている。どこに感激する要素がと首を傾げていると。


「自慢って。オデットは自慢の妹って!」


そこを拾ったのか。

「言ったかな」

とぼけてみせた。


「言いました。も一回言ってください!」

「嫌。一回言うと、二回三回ってなるから」

「そんなこと言わないでください。聞きたいです」


小競り合いを繰り広げる。


「言ってやれよ、それくらい」

ジェラールがオデットに加勢する。


「カチカチ先輩は、いいことを言いますね。言ってやれです、お姉ちゃま」

「カチカチ先輩に言ってもらって」


「オデットちゃん、俺の自慢の彼女になってください」


 いきなり変わった話についていけず、オデットがアデルとジェラールを見比べる。


「自慢の彼女?」


 彼女に自慢がくっつくと、オデットには難易度があがるらしい。


「あ〜、そこは難しく考えなくて『はいです』だぜ、オデットちゃん」


そういや、とジェラールが小声になる。 


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