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お姉ちゃまを救え!・7

「大丈夫なの?」


 まさか死んじゃってるなんてことは……アデルがオデットのやり過ぎを心配すると、マルセルは軽く笑い飛ばした。


「せいぜいが女の子に平手打ちをされた程度の衝撃だったと思うよ。強烈な閃光にやられたんだろう」

「ドブロイ先生に先に聞いてたから俺も顔を背けてはいたけど、威力を舐めてたわ。まだ、目がくらんでる。オデットちゃん、すげえな」


 ジェラールが目をしばたたかせて言えば、称賛と取ったオデットが顎を上げて胸を張る。いや、誉められてないからそれ。



「ケガはないね」

マルセルがあらためてアデルを上から下まで眺める。


「ないわ。荒っぽいことはお好きじゃないんですって、ジャマン先生」

「で、なんでこんなことになってんだ?」


 ジェラールの質問はもっともだ。おばあさんが転んだところから説明すると、男ふたりの眉間に皺が寄った。


「そりゃまた、ずいぶんと姑息な手を」

「人の善意につけ込むのはよくないね。ジャマンには二度としないよう忠告しておこう」



「私が学校に行ってるのに、お姉ちゃまだけお休みでお出かけするから、いけないんです」


 アデルの腰に抱きついたオデットひとり別方向から意見を述べるのは、全員が無視。



 事情も分かったことだし、長居は無用。ジャマンが目を覚ますまで自分がここに残る、とマルセルが言った。


「ジャマンとちょっと話してから帰るよ。研究に熱心なのはいいけど、成果を焦るあまりのいき過ぎた行動は問題だからね」



 親切なのは、やはり同級生だからか。それともきつく言い過ぎると逆効果になると考えてか。アデルの無言を抗議と取ったらしいマルセルが付け加える。


「一発殴らないと気がすまないとアデルが言うんだったら――」

「全然! オデットがしたから、もう全然」


 

 慌てて止めるアデルを横目に、ジェラールが「俺も残ろうか。殴るなら、先生じゃマズイだろ」と、不穏な発言をする。


「カチカチ先輩とお兄ちゃまがいるなら、私も」

「オデットまで!」


 これはさっさと退散すべし。

ところで、いつの間にオデットはこんな不敵な笑みを覚えたのだろう。

影響されているのは……


「どうかしたか?」


 アデルの視線の先、悪いカチカチ先輩は、平然と笑みを浮かべた。


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