09
「…………」
俺は恐る恐るステラの方へと振り向いた。
すると彼女は倉庫に近付ける限界まで歩み寄って真っ直ぐと俺の方を見ていた。しかも、その視線は俺ではなく、明らかに床に現れた開戸の方へ向いている。
「あの、マヌエーーー」
「何をしておる」
「え、何って」
「さっさと開けよ」
表情はまったくもって先ほどと変わらない。
なのになんだ、この威圧感は。
ピリついた空気を全身で感じながら、俺は無駄口を叩かずにその開戸の前へとしゃがみ込んだ。
黒くくすんだ鉄製の取っ手に手を掛け、引っ張り上げると、開戸は軋む音を立てていく。
「これが探し物?」
アタッシュケースと。
これはメガネケース……か?
やけに底の浅い床下収納には、その二つのみが収められていた。
「よいしょっ、と」
とりあえず、見下ろしているのもなんなのでその二つを自分の懐へと持ち上げる。
すると。
「あうっ!?」
後ろから妙な悲鳴が聞こえてきた。
「貴様……いきなり何をするのじゃ。我が指示を出すまで手を出すでない」
「え、俺なんか不味った?」
「貴様のせいで鼻を打ったではないか」
ステラは鼻を両手で押さえながら文句を言ってきた。怒って睨んでくるその視線には別段、寒気を感じるほどの鋭さはない。
「それらを無闇に動かすでない。どうやら我を阻む原因がその中に入っておるようじゃ。それを動かせば我は押しのけられるしかなくなる。気を付けよ」
「そういう」
「たわけめ」
不意打ちを食らったせいで思った以上に痛かったのか、恨めしそうに罵られてしまった。
しかし、俺はその様子にほんの少し安堵していた。
今目の前にいるステラが猫を被った状態であるなら、それが剥がれないことを祈るばかりである。心臓に悪いことこの上ない。
「それで、マヌエルさん。これを開けてよろしいでしょうか」
俺は抱え持っていたその二つをそっと床に置くと、改めてステラに聞いた。
「うむ。まずはカバンの方から開けよ。我を邪魔立てするその原因を探るのじゃ」
俺は彼女に指示されるままアタッシュケースの金具を外し、それを開けようとして、それからピタリと手を止めた。
「おい、どうしたのじゃ?」
ステラが俺の異変に気付き、声を掛けてくる。
俺はそれにどう返事をしたものかと考えたが、上手い言葉が思い付かず、結局、率直に聞くことにした。
「……もしかしてマヌエルさんって、封印されてるヤバい存在だったりします?」
多くの王道RPGをプレイしてきた俺は、一つの仮説を立てていた。
それは。
彼女が実は魔王クラスのヤバい存在で、過去に何かしらあってここにひっそりと封印されているパターン。
「……ゴクリ」
・こんな辺鄙な場所に建つ倉庫に探し物を求めてその場に居座る幻影の少女。
・人が寄り付けば殺すと脅し、無害と分かるや提案を持ちかけてくる。
・自分は訳あって入れないから、お前が入って探し物を取ってきてくれ、と。
・詳しい訳も話さず、達成した暁には貴様の望みを叶えてやると言う。
ーーーそして、時折り覗かせる酷く恐ろしい威圧感。
「どう、なんですか?」
的中していた場合、俺の身がとても危険である事になる訳だけれど。このバリアで押し切れるか……。
ああ、どうしよう。
「…………」
俺は聞いておきながらいつまでも返答をよこさない彼女の顔を見れないでいた。そりゃ、見れませんて。だって、俺ビビりだもん。
そして、時間にして五秒ほどの沈黙の後。
「……はぁ〜〜〜〜〜〜〜」
気を張り詰めていた俺の耳に盛大なため息が聞こえてきた。
「何をどうしたらそんな考えが出てくるのかや。我にはさっぱり分からぬ」
「それって、つまり?」
「ひょろひょろの貴様には荷物整理が相当に過酷だったようじゃな……。すまんかったな。町に着いたらまずは馳走を食わせてやる。それから、帰る前に宿でゆっくり休め」
「ストップ!違うなら違うと言って、お願い!これはその、ただ、セオリー的な展開を予想したって言うか、状況の一つとしてもしかして有り得るかもしれ、ってちょっとやめて!そんな顔して憐れまないで!」
マジのトーンで言ってくるステラに俺は顔を真っ赤にしながら言い訳、もとい抗議をしたのだが、悲しくもぜんぜん分かってもらえていない様子だった。
「よいのじゃ。それ以上、何も言うでない。過労で妄想に駆られてしまったのじゃな。無理をさせた我が悪かった。すまぬな」
「変なこと言ってすいませんでしたっ!だから、本当にやめてくださいっ、そんな目で俺を見ないでっ!」
子供の容姿をしてるくせに赤子をあやす様な眼差しを向けないでほしい。居た堪らなくなるから!消えちゃいたくなるから!
「ぁばばばばば……」
「まあ、貴様が警戒する気持ちも分からないではない」
「……あば?」
「先も言ったように、我は魔石によって形作られている存在。故に封印と言うなら、そっちの小さな箱の方じゃ。それを早う我の元へ持ってきてもらいたいのが本音ではある。じゃが、我を反発するこの壁は同じ様に魔石を反発させ外に出すことは不可能やもしれん。試すのもやぶさかではないが、万が一破損でもすれば我は消えて二度と現れることができなくなるじゃろう。できれば、それは控えたい」
ったく。いきなり真面目に話し始めるのはやめて頂きたい。恥ずかしさに悶えて転げ回っていた俺が馬鹿みたいじゃないか。
「だから、こっちから調べろと。そう言う理由は先に言ってくれよな。それで、中身に心当たりはあるの?」
「おそらくカバンの方は“魔道具"であろう。こんな事になるくらいじゃ。部品でもイカれてしもうたのかもしれぬ」
「魔道具……ねぇ」
魔道具ーーー。
それは厨二心を掻き立てる最高のワード!
なんと素晴らしい響きか。
魔王復活なんて取り返しの付かない様なことじゃないと分かれば躊躇することもない!
さてとっ!
「…………んーー」
なんて、振り切れる事もなく。
またしても手を止めて唸り出した。
「貴様という奴は。まだ何かあるのかや?便所かや?」
「違うっ」
いや、確かにちょっと行きたくなってきたけど。
「そうじゃなくて。ちなみになんだけどさ。これ。開けた瞬間、爆発とかしないよね」
視線だけステラに向けると、彼女は俺のことをジトォ〜っとした目を向けてきた。
「なんとも救いようの無いビビりじゃのう」
「ちょとお?言い方?」
「せぬわ、そんなもの。見ての通り、我の様な存在を阻害するエーレアの膜が絶えず漏れ出ておるのじゃ。内包物がカバンを開けた程度で突然破裂する様な類いではない」
例えば、エーレアと言うのがガスなどの気体状の引火物だった場合、静電気一つで吹っ飛ぶことになるのだけれど……。
「分からん。異世界の理論がマジで分からん。エーレアってなんぞ?」
「なあ、お主よ。そうやってうじうじするのを辞めたらどうじゃ」
「は……」
いきなり率直に言われた事に俺は驚き、思考が僅かに空転した。
「別にのう。全てが悪い訳ではない。貴様の性格は愉快であるし、この少しの間じゃが、言葉を交わすことも我は楽しく思えた」
ーーーじゃがな。
ステラは言葉を一拍切ると続けた。
「自信の無さを自慢するな」
「……っ」
さくり、と。
心の深い所を刃物で貫かれた感覚がした。
「己を理解し、認めた結果、出来ないことを出来ないと言うのは良い。じゃが、貴様のはそれとは全く違う。感じた不安や恐れに立ち向かうこともせず、逃げる為の言い訳を思考するのみ。何をするにしても立ち止まり、喚くために頭を使い、自分の弱さを披露する。なんと滑稽なことか」
「…………」
「そんな貴様を見ておるとな、我は非常に不愉快になる」
なに?
不愉快だって?
いきなり何言い出すんだよ、こいつ。
何でいきなりこんなこと言われなきゃならねえんだ、俺は。
「不愉快とか、は?だから、なんだよ。いや、マジで、今言われる意味が分かんないんだけど。出来ることと出来ないことをはっきりさせて何が悪い。やりたくないことを避ける様して何が悪いってのさ。ましてや、命に関わる危険があったら立ち止まるのが普通でしょ。踏み止まって振り返って逃げることの何が悪いんだよ」
「悪い。全てが悪い」
「は?」
ぐわっ、と身体中が熱くなるのを感じると、もうどうしようもできなかった。
「お前なんかが俺を否定してきてんじゃねえよ!自己防衛!それが俺なりの自己防衛なんだよ!先に保険を立てて出来ないアピールしときゃ期待されなくて済むだろが!後々馬鹿にされなくて済むだろが!わっかんねえかなあ。お前みたいな得体の知れない存在の方には人様の機微については分かんないだろうなあ。そんなお前が何の権利があって言ってくんだよ。分かった様な口聞いてくる方がよっぽど悪いわ。気持ち悪い!お前、石ころからできた人工物なんだろ?生き物じゃねえなら、んな偉そうなこと言ってくんじゃねえよ。たかが作り物が知った様なこと言ってんじゃねえ!」
どうしようもなく頭に血が昇って、口が勝手にそんなことを言った。
「その作り物に見透かされる貴様は、やはり悪い」
「っくーーー」
ステラは俺の言った事に対して怒る事もなく、平然と真っ直ぐ言ってきた。その態度がまた、俺をむしゃくしゃと苛立たせる。
「テメェいい加減にーーー」
だから、俺が更に声を張り上げようとした。
相手を貶す為の言葉を出来うる限り考えて吐きかけてやろう。そんな黒い感情が俺を捉え始めていた。
そんな一声に。
ーーーパァンッ!!!
と。
ステラが不意に両手を合わせ、まるで猟銃を放ったかの様な音を立てた。
「ーーーっ……」
「おっと、すまぬ。単なる猫騙しのつもりだっのじゃが、音を立てすぎたわい。なにせ、我は実体のない作り物じゃからのう。手を叩いたところ音は出ぬ。自分で付け足してみたのじゃが、慣れぬことはするもんではないな」
淡々とそう述べるステラに対し、俺は吐き出そうとしていた言葉も湧き上がってきていた怒りも音と共に持っていかれてしまい、立ち尽くすことしか出来ないでいた。
「怒らせる様な言い方をしてすまなかった。そんなつもりではなかったんじゃ。なにせ、作り物の我は記録された事以外、人と接した経験が殆どないからのう。盛大に伝えるべき方向性を間違えてしもうた」
「………………」
耳に届いてきた言葉を聞いてから理解し、己の失言を認めるのに時間が掛かった。
「……いや、俺の方こそ、最低な事を言っちまった」
「よいよい。軽く焚き付けようとして爆発を引き起こしたのは我じゃ。たとえ、貴様が何を言ったとしてもそれは我の責任じゃ。謝るでない」
俺が正気を取り戻してしっかりと謝罪を口にしようとしたところ、ステラはそんな事を言いながら、口を開きかける俺に対して手をパタパタと振ってあしらった。
そして、彼女は片手を腰に当て、一呼吸置くと再び話し始めた。
「あれこれ思考することを悪いとは言わぬ。嘘もハッタリも大いに結構じゃ。じゃが、お主にそんな器用さはなかろう。貴様の心情なぞ、そこら辺の素人でも分かるほどじゃろうしな」
「ねえ、やっぱ俺が言ったこと根に持ってるよね。謝らせない代わりに言って良いっていうルールなのかな?」
「その通りじゃ」
「マジかよ。まあ、もういいけど。それでさ、何が言いたいんだよ」
「では。臆病者の貴様にずばり言うてやろう」
ステラは、にししっと口の端を上げて言った。
「今後一切。我と共におる時は、言い訳を禁ずる!」
「……は?」
ビシッと人差し指を向けて指してくるステラに俺はポカンとしてしまった。
「ええっと?」
本気で意味が分からない。
「つまりは、じゃ。カバン一つ開けるのにビクつなということじゃよ。貴様が無駄に臆することなければ、今頃はグランドゼフトに着いておったはずじゃ。貴様は判断が遅い。時間が勿体無いわ」
「っ、勿体無いって。だからそれは、もしもを考えてーーー」
「のう。相模春樹よ」
「……な、なんだよ」
言葉を遮られ、俺はつい苛々してしまいながら聞き返してしまう。そんな俺をステラはやれやれと肩を竦めて短く息を吐いた。
「せっかく異世界に来たのじゃろう。目的から外れ、孤立してしまったことには同情してやる。じゃがのう。起きてしもうた事は仕方なかろう。立ち止まって後ろに振り向いて何になる。ここには逃げ道などありんせん。あるのは、貴様と本来無縁だった未知があるのみ。じゃったら、飛び込むしかなかろう。逃げの言い訳など捨ててしまえ。足を前へ踏み出す動機だけを探せ。それでも立ち止まり、振り返りたいと思うのならーーー」
ーーーその時は元居た世界に帰り、二度とこの世界へ足を踏み入るな。
ステラは腕を組み、俺を試す様な挑発的な表情を向けてきた。
「他人の畑を物見遊山で荒らすなど、不敬にも程があろう?」
「…………」
「他の世界に関わるのであれば、それ相応の自覚と覚悟を持っておらねばならん」
相応の自覚と覚悟。
彼女の言葉に俺は返す言葉がなかった。
そもそも。
この世界【テュースリーブ】に来た理由が、興味本位の留学先の見学である。気持ち的には観光気分だった。真面目な心構えなど一つたりとて持ち合わせていない。異世界に関わりを持つことの本当の意味を俺は一度も考えたことがなかった。
「要はのう。おっかなびっくりせんで、先ずは開き直れということじゃ。難しくはなかろう?」
悶々と考え始めた俺へ助け舟を出すようにステラが言い、俺は顔を上げた。
開き直る。
確かにそう考えれば、いくらかマシだ。
「はあ……。分かった。分かったよ」
そもそも遭難して孤立した状態にある俺は開き直る他なかったのだ。
それが例え、どのような事が起こり、どう転がろうとも。
今の無力な俺には、無いに等しい覚悟を持って進むしかない。
せっかくの異世界だ。
下手な食わず嫌いはやめよう。
「もう言い訳はやめるよ。とりあえずは、さっさと目的地に行きたいしね」
「そうじゃそうじゃ。それでよい」
そうして俺は見慣れた形のアタッシュケースに三度手を伸ばし、それをようやく開けていった。
「ん?これって」
「中に何が入っておったか見せてくれぬか」
アタッシュケースを開き切ったところでステラに言われ、俺は中に収まっていた鉄の塊を手に取った。それはずっしりと重みがあり、見れば誰でも分かる形をしていた。
「物騒な物が出てきた訳だけど」
「その魔道具、もしや」
「魔道具?これ、銃の魔道具ってこと?」
そう。
中に入っていたのは、正しく一丁の銃だった。
全体をスカイブルーの色で統一されたその銃は、パーツのエッジや輪郭に沿って金色の塗装が施されており、所々に入った意匠は蒼く燃える炎を思わせる。
一言に言って、とても芸術的な代物だった。
「レッケンの奴め。とんだガラクタを仕舞い込みおって」
「レッケン、て?」
銃型の魔道具を掲げて眺めていた俺はステラが口にした名前が気になり、無意識に聞いていた。
「貴様が今持っている魔道具【レカトリフ・バフ】を造った世界に類を見ない大馬鹿者の名前じゃ」
「これの制作者の名前か。でも、なんでそんな言われようなの。もしかして、これ粗悪品ってこと?」
見た目は、ソシャゲでガチャを回したらURが出てきたくらいのクオリティしてるけど。ポンコツか?ポンコツなのか?
「レカトリフ・バフについては、まあ、そこそこの性能じゃ。事と次第によっては我とも互角に渡り合える。じゃが、見てみよ」
倉庫の外にいるステラが下を見る様にと指を向けて来たので、俺はすぐ下のアタッシュケースの中に視線を落とした。
「長方形の板が入ってないかや?丁度、レカトリフ・バフの持ち手の所に入りそうな大きさの奴じゃ」
「あるよ。三つ。ちなみにこれ、マガジンって言うんじゃないの?」
「ん?ああそうか。貴様の世界にはそんな形をした武器があるじゃったな。ヤツもそれを模して造ったと言っておったわ」
そこまで詳しい訳じゃないけど。
おそらく、そこそこのオタクなら一目で「デトニクスじゃん」くらいは言い当てられるだろう。
「それで、マガジンがどうしたの?」
「我がその魔道具を好かぬ理由が貴様の言うマガジンじゃ。この忌々しい壁を作っておるのも、それらのせいのはずじゃ!その三つのどれかに傷や亀裂といった破損が見られぬかや?」
俺は言われて順番にマガジンを手に取って見ていった。
「先端に弁みたいな突起が付いてるんだけど、その周りがあからさまに亀裂入ってる。ちなみに全部」
「ぜ、……全部じゃ、と」
報告するとステラがふらりと後ろへ一歩下がった。
「ちょっと?マヌエルさん、大じょーーー」
「あんのバカタレがぁあああああああああああああああああああああああーー!!!!!!」
ステラ・エヌ・マヌエルは大空に向かって発狂した。
「高濃度のエーレアを注入したまま仕舞い込みおってからに!どうせ試作品なのじゃから、そんな所に入れたらもう二度と使わぬじゃろうが!明らかに中身が変質しておるじゃないかやっ!!我ごと吹っ飛んだらどうしてくれるつもりじゃったんじゃ!こんのっ、死にたがりのデ・ナウズ・ロックめがぁああああーーーー!!」
なんと見事な絶叫と仰け反り。
と思いきや、ステラはそのままバク転してシュタッと着地して見せた。何それ?今の必要あった?
「ふう。スッキリしたわい」
「あのぉ。俺は結局、何をしたら?」
「今すぐ、中身を出すのじゃ!その突起を押し込めば、エーレアが空気中へと排出される。そうすれば、このおかしな壁も消え失せて万事解決!吹き飛ぶ危険もなくなるじゃろう!」
「ウソ、吹き飛ぶの?」
俺、結局、危ない役やらされてんだけど。
「何をビビっておる。良いか、言い訳は禁止じゃ!」
「いや、爆弾処理役やらないためだったら、いくらでも言い訳するよ俺!むしろ、遠くに投げた方が絶対安全だって!」
「バカを言うでない!そんなことしたら、それこそ全てが終わるわっ。地形が変わるどころの騒ぎではないぞ!!」
マジか……。
「レッケンって奴、マジでバカだろ。何でこんな危ねえことしてんだよ」
「じゃから、最初から大馬鹿者と言っておろうが!そういう奴なんじゃ、アレは」
くそう、レッケンに会う機会があったら絶対ぶん殴ってやる!
すると、苦悶の表情をする俺にステラが咳払いを一つして言った。
「大丈夫じゃ。外側から圧力を抜く分には問題はない。問題なのは、中でエーレアが変異し、膨張する事じゃ。危険でなくするためにやるのじゃ。さあ、さっさとやれ!」
「言い方っ!」
エーレアが何かは結局よく分からないままだけど、まあ理屈は理解できた。
……仕方ない。
「ここでやっていいんだよね」
マガジンの突起に親指を掛けながら聞くと、ステラは頷いた。
そうして俺は一呼吸挟んでから「じゃあいくぞ!」と、掛け声とともに爆弾処理を始めるのだった。