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第82話 剣士として

町娘戦います!

 アリシア視点


 月夜に照らされた屋敷の東屋で目を開けるとそこには一人の妖精がテーブルに座っていた。


「・・・あ、あなたは?」


「私は木の妖精ノーミー・ウッド。はじめましてかな?アリシア」


 緑色のドレスを着込み、同じ色の髪がタレ目がちな大きな目を半分隠している。そんな姿をした妖精が静かに口を開いた。


 私は急いで跪く。


「ま、まさか・・・本当にお会いできるとは・・・私はアリシア・ラインハート。一介の剣士でございます」


「こらこら・・・そんな格好で跪いたらパンツ見えちゃうわよ。とりあえず立ちなさい」

「し、失礼しました。とんだお目汚しを」


 急いで立ち上がった私は改めてノーミー様をみる。目の前にはどうしても会いたかった妖精様がいる。


「ワタルがあなたに会ってやってくれって頼むからね・・・仕方なく出てきたわよ・・・」

「ワタルが・・・それはありがとうございます」


 ノーミー様は渋々といった感じの表情を浮かべながら足を組み直した。


「さて・・・アリシアはどうして私に会いたかったの?」

「私はどうしても剣聖になる必要があるのです。そのためにあなた様と契約しなければならない」


 ノーミー様は私の言葉を聞いてあきれたように言い返した。


「なるほどね・・・ふぅー・・・相変わらず人族は勝手ね・・・アリシアは私達妖精を便利な道具かなんかと勘違いしてない?」

「いえ!そんなことは決して・・・」

「本当に?妹の為に剣聖になりたいのは知っているけど、結局それは利己的な理由よね?なぜ私がそんなことの為に協力しなくちゃならないの?」

「そ、それは・・・」


「今まで私と契約するために多くの人が来たわ。でもそいつらの理由は、強力な力が欲しいから、剣聖になりたから、人に賞賛されたいから・・・全部全部自分のため・・・会ってなんかやらなかったけどね」


「・・・・・・しかし、あなた様はザリオン様と契約なされた」


 ブアッ!ザザザー!


 私がザリオン様の事を口にした途端、ノーミー様から緑の魔力が溢れ、草や木が震えだした。


「あなたがザリオンの事を口にしないで!何も知らないくせに・・・」

「し、失礼しました」

 私が震えているといつの間にか魔力の奔流が収まった


「ごめんなさいね。人族相手に大人気なかったわね・・・私がザリオンと契約したのは、あいつの事が気に入ったからよ。そして愛していたから・・・」


「・・・・・・・・・」


「ウェンディやユキナもそう・・・二人もワタルを気に入っから契約したの・・・動機は違うけどね」


 確かに私は自分のためにノーミー様と契約しようとお願いしている。


 その理由はノーミー様とは関係がない。


 ノーミー様は何も間違っていない。


「木の精霊ドリュアス様は信念と豊穣を司っているの。一応聞くけどアリシアの信念は何?」


「・・・信念・・・私は妹の為に剣聖になる事です」


「そう・・・悪いけどあなたとは契約はできないわ。もう一度、良く考えて答えをだしなさい。その答えに共感できれば契約してあげる」


「・・・ノーミー様」


「それとあのお人好しのワタルに感謝しなさい」

「・・・はい」


 その言葉を最後にノーミー様は姿を消した。


 ・・・・・・・・・


 社交界パーティーから数日過ぎても、答えは出ていない。ワタルから教えてもらった人生を振り返る方法は続けている。


 妹のマリアを傷つけてしまってから、私は確かに変わってしまったと思う。

 そんな私にノーミー様が納得する答えは出せるのだろうか?


「ミルフィーユ王国第一騎士団アリシア・ラインハート。尋常に参る!」


 迷いを振り払う為に名乗りを上げた。


 今は、攫われたラックとミッシュを救うべく、敵を倒すために全力を尽くす。


 例え剣を持てなくても、相手が複数でも・・・


 剣士としてやらなければならないことが目の前にあるから。


 ビリビリ!


 町娘風のスカートを動きやすいように破る。

 生足がむき出しになるが、これで足さばきが楽になった。


「木の幼霊よ・・・力を貸してくれ・・・」


 己の魔力を練り上げた。

 緑色の魔力が、妖精剣に纏わりついたのを確認する。


「シッ!」


 キンッ


「なぜ剣を弾ける?」


 敵の一人が呟いた。黒い布で覆われているので表情までは分からない。


「今日の妖精剣ディープシーオブツリーはいささか気が立っているようだ。生きて帰れるとは思うなよ」


「ふざけたことを!」


 再び襲って来る敵に向けて、剣を上段に構える。私は2人同時に剣を向けてきた敵に向かって


「柳の構え・・・風流し」


 キンキン!


 敵の攻撃を受け流し、背後を取る。


「芽吹きの構え・・・破竹」


 ドカカッ!


「チッ!浅いか・・・」


 受け流しからの一閃は確かに入ったが、敵は距離を取り再び構え始めた。


 剣を持てなくなった弊害は大きい。


 木刀では鉄製の刃物に敵わないのは明白だ。相手の剣に対抗するためには、己の魔力を媒介に幼霊の力を借りて木刀の硬度を高める必要がある。


 魔力は全て木刀の強化に使われるため、魔法が使えない。


 つまり・・・短期決戦で敵を制圧しなければこちらの魔力が枯渇する。


「なかなか厳しいな・・・しかし、けして負けるわけにはいかない」


 私は、月夜が照らす廃墟で再び魔力を練り上げた。











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