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第76話 求婚ができるアイドル

さぁコンサート会場へ急げ!

「えーお集まりの紳士淑女の皆様。本日のパーティーに素敵なゲストが駆けつけてくれました」


 ・・・ザワザワ・・・ザワザワ・・・


「お一人目は長らく社交界から遠ざかっておりました剣姫アリシア・ラインハート様でこざいます。剣術大会で輝かしい成績を収め、剣聖に最も近い人物とされたアリシア様は、

御本人たっての希望でこの場に来て下さいました」


「おいおい・・・アリシア様がパーティーに来るなんて今までなかったぞ」

「あの妖精姫が来るのか?」


 司会の紹介に会場の男性が騒ぎ出した。


「さらに遠方の白竜族の国、ホワイト・パレスより第一王女ユキナール・ホワイト様とその兄上でありますワタル様もお見えになりました」


「白竜族だって!?」

「滅多に人前に姿を現さない白竜族が来ているのか?」

「一体アドレーヌ様とどんな繋がりがあるんだ?」


 ・・・なんかすごい紹介のされ方をされている。

 アリシアとユキナは分かるが、それと一緒に登場する俺はただの無職の男だぞ。


 ゴゴゴ・・・


 俺の心配をよそに、パーティー会場の扉が二人のメイドさんによってゆっくりと開けられていく。


 実際はこんな音は鳴っていないが、俺には地獄の門が開くような音に聞こえた。


「・・・ッ!!!」


 目に飛び込んできたのは、アドレーヌ様へと続く赤い絨毯の両脇を固める煌びやかな貴族達や有力者の姿。


 一斉に注目を浴びて口元が引き攣ってしまう。

 まさに主役が登場したかのような演出だ。


 アリシアも俺の腕を掴む手に力が入っているのがわかる。


「ほほぉーなんとお美しい・・・」

「あれはアリシア様なのか・・・」

「何?何?あの白髪の美少女は?」

「本当にあの冴えない顔の男は白竜族なのか?なぜアリシア様をエスコートしているんだ?」


 あちこちから聞こえる称賛の声。

 アリシアとユキナの美しさに驚きとともにため息を漏らす者までいる。

 中には俺に対して失礼な事を言っているヤツもいるが、こっちはそれどころじゃない。


 緊張のあまり前だけを見てゆっくりと歩く。やがてアドレーヌ様の元にたどりついた。


「ようこそいらっしゃいました御三方。ミルフィーユ王国第一王女アドレーヌ・ラインハートは貴殿らを心より歓迎致します」


 俺たち3人はニコニコ顔のアドレーヌ様の挨拶を受けた。一応公式の場なので初対面を装い、こちらも挨拶をすることに。


「この度はお招き頂きありがとうございます。ミルフィーユ王国と友誼を結ぶことができました事を白竜族を代表致しまして感謝申し上げます」


 3人の中で一番位の高いユキナが口を開いた。さすがは王族といったところか、卒なく挨拶するユキナは堂々した態度だ。


「こ、この度はお招き頂きありがとうございますアドレーヌ様」


 俺もユキナに続き、無難な挨拶を交わす。


「まぁ!ユキナちゃ・・・ユキナール様、ワタル様ようこそおいで下さいました。」


 ユキナを見てアドレーヌ様が一瞬、素が出かけたが、すぐに王女としての態度を取り戻す。


「この度はお招き頂きありがとうございます」


 アリシアがまっすぐアドレーヌ様の方を見て挨拶を交わす。


「アリシア久しぶりですね。ドレスがとってもお似合いですよ」

「あ、ありがとうございます」


「さて・・・お集まりの皆様。アリシアの事は学園ではもちろん、騎士団での活躍でご存知の方も多いと思います」


 アドレーヌ様が会場を見渡し、アリシアの紹介を始める。


「普段は剣聖になるために精進しているアリシアもやはり一人の女性・・・時には羽を休ませる宿り木が必要です。私がそんな心配をしていると、アリシアの方からパーティー参加の申し出がありました。これはついに将来の伴侶を探していると判断しました。幸いこのパーティー会場には素敵な紳士がたくさん来ております」


「ん?アドレーヌ?」


 ボソッ

「アリシアこれがあなたへの罰です。さぁ約束通りあの言葉を言うのです」

「くっ・・・仕方ない」


 なんだ?アドレーヌ様がアリシアの耳元で囁くのが聞こえた。


 アリシアは貴族や有力者の方を振り向くと、人差し指を口元に持っていき、ウィンクをする。

 すべてがぎこちないその動作だ。そして衝撃的な言葉を発する。


「わ、私の心を射止める殿方はどこかしら?」


 アリシアの背景には「ドーン!」だったり「バーン!」みたいな文字が見える気がした。


 ・・・しーん


 静寂に包まれる会場。

 

 そして


「「「うぉーーー!!!」」」


「な、なんだって!アリシア様が伴侶を求めているだと!」

「まさかそんな事が!!」

「このパーティーにはそんな意図が・・・」

「息子を呼んでこい!仕事がある?そんなことはどうでもいい!」

「ああ私のアリシアがついに覚悟を決めたようだね・・・」


 男性を中心に会場は興奮に包まれた。まさにテンションが天元突破したオタクのようだ。


「アドレーヌ様・・・これはエグい・・・」

「まさに公開処刑ね」

「大きいお兄ちゃんがいっぱいいる・・・」


「アハハハッ!もう無理ー!!これはとんでもない罰だわ!」


 笑い声の方を見ると、ノーミーがシャンデリアの上で、腹を抱えて笑っているのが見えた。


 アイドルさながらのポーズのまま固まるアリシア。次第に顔を真っ赤になっていった。


「ホホホッ!これで後がないわねアリシア!存分に求婚されるがいいわ!」


 すっかりアイドルコンサートのような雰囲気になったパーティー会場でアドレーヌ様は悪魔的な笑みを浮かべていた。


 会いに行けるアイドルならぬ求婚ができるアイドルコンサートが今始まった。








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