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第69話 妖精に愛されたい

少し大人のと展開になります!


美人剣士な弱さとは?


アリシアのファンが増えれば嬉しいです♪

「はい!確かにお代は頂きました!それとこれはお部屋の鍵です」

「あの、あなたが送ってくれないですかね?一応女性の部屋なので・・・」

「あはは!面白い冗談言いますね!あっそろそろ帰る時間なので失礼しまーす!」

「ちょ!」

「ちなみに今日は誰も泊まっていないので大丈夫です!」

「何が!?」


 はぁー仕方ない・・・送っていくか・・・風のように去っていった受付けの女性に向かって呟く。

 独身の女性の部屋に入るのは抵抗があるが、アリシアを寝かせるだけだ。その後すぐに帰ったことを伝えれば変な誤解はされないだろう。


「アリシア立てるか?部屋まで送っていくぞ」

「Zzzzz・・・」

「駄目か・・・ほら肩に捕まってくれ」


 テーブルに突っ伏したままアリシアの腕を俺の肩にまわし、立ち上がらせようとするが寝入っているのでうまくいかない。


「仕方ない・・・こうなったら」


 もうこうなったらお姫様抱っこをするしかない。アリシアの膝と背中に手をまわし、持ち上げる。

軽く持ち上がるアリシアの体。

これで剣士というのだから驚きだ。


「隣の部屋って言っていたな・・・ヤベッ!どうしよう?」


 アリシアを持ち上げて部屋の前まで来たはいいが、ポケットの鍵が取れない事に気づいた。

 片手でアリシア支えつつ、後ろにのけぞりアリシアを抱きしめる形で片手でポケットを探る。

アリシアの吐息が耳にかかる。


「んん・・・」


 アリシアが変な声を出したが、こちらはそれどころでない。


 ガチャ


 なんとか部屋の鍵を開け、静かに部屋に入った。

 殺風景な部屋の隅にベットがあり、反対側にクローゼット、小さな机の上には紙袋と水を飲むための花瓶のような物が置かれてある。

 少なくとも三ヶ月は住んでいる部屋としては物が無いと感じるがあまり女性の部屋をジロジロ見るのは良くない。


 いそいそとベットにアリシアを横たえ、出ていこうとすると


「・・・水・・・水を・・・」

「ああ少し待ってて・・・って入ってない!」


 机の上においてある水を飲むための花瓶のような物は空っぽだ。

 仕方ないので俺は、水の幼霊に頼み水を出すことにした。


「ミネラルウォーター」


 青白い光とともに花瓶に被せてあるコップに水が満たされる。


「ほら!水だぞ!アリシア・・・っ!」


パシャ


「わ、私を貰ってはくれないだろうか・・・」


「・・・・・・・・・」


 振り向いた俺にアリシアが抱きついてきた。

 手に持ったコップの水がこぼれアリシアの肩を濡らす。


 薄暗い部屋の中で、俺が見下ろしたアリシアの金髪と髪飾りを窓に差し込む月明かりが照らしている。


 抱き合ったまま静寂の時間が流れた。


「・・・・・・・・・わ、私では駄目だろうか」


 アリシアはなんでこんな必死なんだ・・・


「ふぅー・・・アリシアの本当の目的はなんだ?どうして俺に近づいた?」

「ち、違う!私は本当にワタルの事を・・・」

「それじゃなんで震えているんだ!こんな事するのは初めてなんだろ!」

「っ!わ、私は・・・」


 ゆっくりとアリシアを引き離すと、大きな緑色の瞳が涙をため、怯えたように揺れていた。


「それに・・・なんでロイヤル仮面なんてやってんだよ?」

「な、なぜそれを!」

「シップブリッジに来る前に、貴族の馬車が黒い集団に襲われているのを見たんだ。その時にロイヤル仮面が現れた。たくさんの木の幼霊を付けてな。そしてアリシアに会った時も同じように木の幼霊が付いていた。見間違えようないさ」

「ははは・・・そうかワタルは最初から分かっていたのか・・・あれこれ悩んでいたのが馬鹿みたいだな」


「・・・・・・」


「ロイヤル仮面をやっていることも、ワタルに近づいたのも、教会で剣術を教えているのも全部打算があってのことだ」

「打算?」

「そう・・・ロイヤル仮面で人助けしたのは妖精様にアピールする為、木の精霊教会で剣術を教えてたのは善人を装うため、ワタルに近づいたのたのは・・・恋仲になれば妖精様と契約できると思ったからだ・・・全部妖精様に愛される為にしたことさ・・・」


「・・・何の為に?」


「私は・・・必ず剣聖にならなければならない・・・その為なら何でもする覚悟を決めた」


 怯えで揺れていた瞳に決意の光が見える。

 なぜアリシアはそこまでして剣聖に拘るんだ。


「ワタルは剣聖になるための条件を知っているか?」

「確か卓越した剣技と妖精に愛される事だったかかな?アリシアは両方持っているだろ?」


 ロイヤル仮面を見たザックスさんはとてつもない剣技を持っていると評価していた。


「そうだな・・・周りから剣聖に一番近いと言われていたよ・・・でもな・・・私は剣を持てなくなってしまったんだ・・・だから剣聖になるには妖精様と契約するしか道はない・・・しかし、それももう無理だ。何をやっても妖精様は姿を現してくれない。私が剣聖になり、妹が治ったら剣聖の座を譲るはずだったのに・・・」

「なんだと?妹と何があったんだ?」

「私は・・・私は・・・この手で妹を・・・マリアを・・・っ!!!はぁはぁはぁ!ハッハッハッハッ!!!」


 自分の手を見つめ妹の事を話そうとするアリシアの呼吸が乱れだした。


「おい!アリシア!どうした!」

「ハッハッハッ!」

「クソッ!過呼吸を起こしている!」


 俺は机の紙袋の中身をぶちまけ、急いでアリシアの口元に持っていく。


「落ち着いて自分の息を吸え!」

「ハッハッハッ!はぁーはぁー!はぁー・・・・・・」


 過呼吸になった人は酸素を過剰に吸いすぎ、二酸化炭素が不足した状態だ。だからビニール袋や紙袋で自分の息を吸わせる必要がある。

 過度なストレスやメンタルが弱っているのが原因とされるが医者ではないので詳しく知らない。


 良かった。アリシアは落ち着いたようだ。


 ・・・・・・・・・


「落ち着いたか?」

「済まなかったな・・・恥ずかしい所を見せてしまった」

「・・・・・・・・・」

「軽蔑しただろ?剣も持てない、汚い手段を使い妖精と契約しようする・・・そんな女などワタルが受け入れるはずがないな・・・ハハ」

「・・・・・・・・・」


 落ち着きを見せたアリシアを念の為にベットに横たえて休ませる事にした。喋りだした途端に自己否定を繰り返す。


 いい加減にしてほしい。

 なんで素直になれないんだ。


「理由はわからないが、妹を傷付けてしまったのが原因なんだな?」

「ああ・・・妹も剣聖になるために頑張っていたのに・・・私が将来を奪ってしまって・・・私は最低の人間だ・・・」


 もう限界だ。コイツは何もわかっていない。


「・・・いい加減にしろ・・・打算の何が悪い。目的の為に必死に行動したんだろ?なんでそんなになるまで自分を責める」

「ワタル?」

「妹さんの事は分からない。でも自分ではどうしたら良いか分からないんだろ?だったらどうして周りに助けを求めない。何でもすべて自分で解決しようとするな」

「わ、私は・・・」

「俺が妹の事を言われて黙っている男だと思ったか?ふざけるな!」


「何を言って・・・」


「アリシアは俺に助けて欲しいんだろ?自分ではもうどうしようもないんだろ?少しは素直になれよ!」


 俺は少し怒気を込めてアリシアに言った。


 少し考えたアリシアは体を起こし答えた。


「・・・もう自分では何が正しいか分からないんだ・・・私は・・・私は・・・ワタルに・・・助けて欲しい・・・助けてワタル・・・」


 俺の手をギュっと握り、緑の瞳に涙を溜めで訴えた。


「ああ任せろ!俺がアリシアを救ってやる!」

「・・・ううっ・・・すまない・・・ありがとう・・・」


 バンッ!


「そこまでよ!」


 勢い良く開いた扉には、肩にウェンディを乗せ、ユキナと手を繋いだアドレーヌ様が仁王立ちをしていた。












面白い、続きが気になるという方はご意見や感想を頂ければ嬉しいです♪

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