第54話 港町
お待たせしました。
街ブラ回です!
「うわー!すごーい!ひろーい!」
「ユキナちゃんは海を見るのは初めてなの?」
「うん。ずっとお城か森の中で遊んでたから」
「ユキナ!すごいわね!あっあそこで魚が跳ねたわ!飛んでいって捕まえてこようかしら!」
小高い丘から海を見たユキナのテンションは最高潮となり、金色の瞳をキラキラしながら子供らしくはしゃいでいるのがわかる。
「あの・・・アドレーヌ様は街に出て大丈夫なんですか?」
「大丈夫ではありません。しかし、ユキナール様が街に出てみたいと言ったので、我々ではアドレーヌ様を止められません」
「そ、そうですか。なんかすみません」
「まぁわれわれ騎士団もおりますし、なんといっても妖精様が三人もいれば安心ですけど」
「一人は人族よりもはしゃいでいるけど」
ユキナはトカリ村で貰った町娘風の服を着て、白い三角巾を巻いて白い髪を隠している。
一方、アドレーヌ様も何故かユキナと同じ町娘スタイル。
頭もユキナと同じ三角巾を被って金色の髪を隠している。
後ろからみると年の離れた姉妹みたいだ。
すっかり機嫌を直したユキナは、俺に街に出てみたいといってきた。
まぁ変装すればなんとかなるかと思い、精霊馬車を幌馬車スタイルにして出かけようとした時、何故かアドレーヌ様が屋敷の門で待っていたのだ。
「あの・・・何をなさっているのですか?」
「あらあら・・・おかしなことを聞きますねワタル様。私がユキナちゃんに付いていくのは当たり前のことなのに・・・」
「いやそんな当然のように言われても。副団長さんは知っているのですか?」
「・・・・・・うふふ」
「笑って誤魔化しても駄目です」
すでに馬車に乗り込んでしまったているアドレーヌ様を乗せて屋敷まで戻り、副団長ザックスさんに事情を説明。
ドタバタと警備の準備を進め、今に至る。
「おーいそろそろ行こうぜ!」
「「はーい!」」
なんか引率の先生みたい気分だな・・・ウェンディは俺より年上のはずだか・・・
ガタゴト・・・ガタゴト・・・
やがて馬車は街の中心までやってきた。少し開けた広場に大きな石像が2体あるのが見える。
その石像の周りは人々が行き交い、たくさんの露店が出ていて、ワイワイと賑わっている声が聞こえてきた。
右側の一体は、無骨な剣を腰に佩いた鎧姿。肩には妖精を乗せて上を空を見上げている。
「あれが英雄ザリオンなのかノーミー?」
「だいぶ美化されてるけどそのようね。私は全然似てないけど」
「アハハ!そっくりじゃないノーミー。特に無愛想な感じが・・・」
「まだ、縛られた事を根に持っているのねウェンディ?案外ネチネチ系なのかな」
「一体お前ら何があったんだ?・・・んーともう一体は誰だ?」
英雄ザリオンの横で笑っている長髪のイケメンの像はローブ姿。左手には立派な杖を持っている。歳の頃は20歳くらいだろうか?
「どう見ても勇者ガンテツ様じゃない?お父様の顔を忘れたの?」
「はぁ?何を言っているんだウェンディ?あれのどこが親父なんだ?」
「石像より格好いいって言いたいの?本物の姿を知っているワタルは認められないのね・・・でもこの石像のガンテツ様はこの世界では誰もが知っているお姿よ」
「・・・いや違くて」
「ワタルがガンテツ様の息子だなんて今でも信じられないわ・・・少しでも似ていればモテたのに残念ね」
「・・・・・・・・・」
あれが親父だって?こんなロン毛のイケメンは断じて親父などではない。
俺の知っている親父は、短髪で頭にタオルを巻き、岩のような顔でトラックを運転しているような奴だぞ!
異世界転移した時に、顔を変えてもらったのか?転生者が女神特典でイケメンにしてもらうなんてラノベ設定でよくあることだ。
それとも親父の姿を知らない第三者が想像した姿を後世に伝えたのか?
しかし、精魔大戦を共に戦い、親父の姿をを知っているノーミーも認めているし・・・どうなってんだ?
「あの・・・ワタル・・・なんかごめんねそんなに落ち込むなんて・・・まぁワタルもよく見れば格好良くも見えなくもないし、一部の人にはモテると思うわよ」
「ウェンディ・・・慰めているのか、けなしているのかハッキリしてくれ」
「一部の人ね〜フフフ・・・」
ウェンディは俺が黙り込んでしまったため、よほどショックを受けたのだと思ったのだろう、彼女なりに慰めているつもりらしい。
そんな様子をノーミーはニマニマしてみている。
「お兄ちゃんどうしたの?怖い顔して」
「ユキナ・・・この世は不思議がいっぱいだ」
「???」
「何でも無いよ・・・俺の理解が追いつかないだけだ」
御者台で喋っていた俺に、馬車の窓を開けてユキナが話しかけてきた。
心配そうな顔で見ているユキナに優しく笑ってあげた。
まぁ考えても答えが出ないので、一行はレストランに入り食事をすることにした。
「えっとこんな所に入って大丈夫なんですか?俺たちはお金ないですよ」
「ここは王家御用達のレストランです。個室も用意しています。お金の心配はしないでください」
別に食事をする予定はなかったが、アドレーヌ様が是非ユキナにシップブリッジの名物を食べてほしいと案内されたのは、明らかに庶民が入るような食堂なんかではない。
給仕さんが一つ一つ料理を運んでくれるコース料理を堪能する俺たち。
アサリのような貝のスープは出汁がよく出ており、大きなエビを焼いて良く分からないソースをかけたものは、日本人の口に良く合っている。
「ここは、勇者ガンテツ様もお気に入りのレストランでしたよ」
「そ、そうですか」
ボソッ
「親父のヤツ贅沢しやがって」
親父が転生したのは俺が生まれる前のことだが、こんな美味いものを食べていたなんてどうなんているんだ?
そんな事を思いながら、シップブリッジの港町の観光は終了したのであった。
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