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第53話 ユキナの気持ち

ユキナの目標が見え隠れします♪


応援してください!

 ユキナ視点


「なんでワタルお兄ちゃんはあんなこと言ったのかな?」


 アドレーヌの屋敷の庭の片隅で膝を抱えて、座りながらひとり呟いた。


「ユキナはアドレーヌ様に気に入られてるし、ここでお兄さんを待ってもいいじゃないか?ここは安全だし、ホワイトパレスの人にも連絡がつくかもしれない」


 確かにその通りだと思う。

 ここにいれば怪しい暗殺集団からも守ってくれるだろうし、シップブリッジの衛兵に私の事を伝えておけばお兄様は見つけてくれるだろう。


 ワタルお兄ちゃんは私の事を思って言ってくれているのもわかっている。

 けして私を邪魔に思っていないことも・・・


 ワタルお兄ちゃんとウェンディお姉ちゃんに助けてもらったのがずいぶん前のことに感じる。

 あの出来事からアドレーヌの屋敷に来るまで色々な事があったな。


 森の中でお兄ちゃんが作ったお風呂で泣いたこと。

 ウェンディお姉ちゃんが私に乗っかってホーリーブレスを吐きながらお兄ちゃんを追いかけ回したこと。

 貴族馬車でシップブリッジへ入るためにロイヤルパワー大作戦の予行練習をしたこと。


「うふふ・・・結局ロイヤルパワー大作戦は大成功だね・・・私のおかげ・・・」


 こんなにも自由で、何かを自分で考えて、その結果に喜んだり怒ったりしたのは初めてだった。


 それに・・・こんなにも深く人族に関わった事も無かった。

 初めは、助けて欲しくて妹になろうと必死だったけど今はもう本当の家族のような存在だ。


 だから・・・だから・・・もう少しだけこの関係を続けていたい・・・

 ワタルお兄ちゃんと一緒にいたい・・・

 それは私のわがままなのかな?

 早く大人になりたいな・・・

 そうなればワタルお兄ちゃんと・・・


 ・・・・・・・・・


 ワタル視点


「よっと!ここにいたんだな」


 アドレーヌ様からユキナの場所を教えてもらった俺は、庭の木陰にいるユキナを見つけて、隣に座った。


 白い大きなリボンのドレスを両手で抱えて顔を埋めているユキナは白銀の髪と相まって、白い塊のように見えた。


「それにしても大きな庭だな」


「・・・・・・・・・」


「こんな庭があれば犬を飼えたのに、俺の家は賃貸で庭がなくてな・・・ハルカに犬を飼いたいとせがまれた時は困ったよ」


「・・・・・・・・・」


「ハルカはユキナくらいの時は泣き虫だったんだ。それに人見知りで、いつも俺の後ろを付いて来るような奴だったよ」


「・・・・・・・・・」


「俺の家は親父があんまり家に居なかったから、俺が親父の代わりになるのに必死だったんだ」


「・・・・・・・・・」


「・・・ごめんなユキナ。俺はどうしても人の事を優先してしまうんだ。それがさ・・・」


 そっとユキナの頭に手をおいて


「妹ならばなおさらだ」


「ッ!」


「いつまで一緒にいられるか分かんないけど、俺もユキナと旅をしたいと思ってるよ・・・俺の言いたいことはそれだけだ」


 これで良かったのか分からない。


「みんなも心配してるし、屋敷に戻ろう・・・ッ?」


 立ち上がろうとした俺の服をユキナはギュ掴む。


「もっとワタルお兄ちゃんの事を話して・・・」

「うんいいぞ!何が聞きたい?口うるさい風の妖精と出会った話でもするか」

「むぅーそれってウェンディお姉ちゃんのことでしょう?」

「ある所にやたらと俺にお節介をかける風の妖精がいたんだ・・・」

「うふふ・・・絶対に怒るよ・・・」


 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・


「楽しかったかユキナ?」

「うん!」

「これからもおかしな妖精の話をしてやろう」

「うん!あっ!お兄ちゃん髪にゴミついてる。取ってあげる」

「おう!ありが・・・」


 チュ!


「大好きだよ!ワタルお兄ちゃん!」


 タッタッタ!


 お、おう・・・ありがとう


 ユキナは俺の頬にキスをすると走り去っていった。

 その時は頬を押さえている右手が白く輝いていたことに気づかなかった。


 ・・・・・・・・・


「これはどう思う?アドレーヌ?」

「ユキナちゃんが一歩リードといったことでしょうか」

「しかし、ユキナはまだ子供。これが恋なのか、家族愛なのか難しいところだね」

「ムウムウムウ!」

「でもユキナちゃんは人化の練習を頑張っているみたいです。あと少しで大人の姿になれるような事も言っていました」


 ここは庭が見渡せる屋敷のテラス。

 広大な庭園の先には海が太陽の光を反射してキラキラと光っている。


 ワタルとユキナの様子を楽しんで・・・もとい心配して集まったアドレーヌとノーミー、そしていつの間にかいたウェンディ。少し離れてメイドが数人いるのはアドレーヌのお世話のためかユキナのためか分からない。


 二人の声が聞こえない距離にいるが、ノーミーが魔法を駆使して会話を聞いている。


 彼女たちは、テーブルに出ているお菓子や紅茶そっちのけで二人の様子を分析しながら今後の展開を予想している。


 モゴモゴもがいているウェンディは、ワタルが悪口を言い始めた時からムズムズし始め、ユキナがワタルにキスをした瞬間飛び出そうとした所をノーミーの木の魔法で縛られてしまった。


「あらあら。あの美少女が大人になったら大変ね」

「国中からお見合いが殺到しますね」

「さぁどこぞの風の妖精さんはどうするのかな?」

「ユキナちゃんの勢いは止まりそうもありません」

「今後も見逃せそうにありません。今日はこの辺で!それではまた来週!実況のノーミーと」

「解説のアドレーヌがお送りしました」


 パチパチ!

 メイドたちが拍手をしながらキャーキャー言っている。

 この国では恋愛は最上の娯楽であった。


「いい加減にしなさい!」

「あら解けてしまったわ」


「いいこと!ユキナはワタルの妹なの!それ以上でもそれ以下でもないからね!」

「ふーん・・・あなたはそれでいいのかしら?うかうかしてると大変になるかもしれないよ」

「・・・・・・・・・ちょっとユキナに話してくるわ!」


「あの子も大変ね・・・素直になればいいだけなのに・・・」

「いやいや・・・まだまだツンが必要です。まだデレは早いと思います」

「アドレーヌはどうしたいのかしら?」


 まさに風のように去っていたウェンディをみながら解説は続く。



















面白い、続きが気になるという方はご意見や感想を頂ければ嬉しいです♪

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