第51話 丘の上の王族屋敷
お待たせしました。
本編入ります♪
「ここに天国はあったのか・・・」
俺は知らない天井を見つめながら呟く。
自分が3人は余裕で寝られる大きなベッドにフカフカのマット。
そのベットを囲うように付いている模様が付いたレースは天蓋って言うんだっけ?
地球にいた頃に住んでいた部屋のパイプベットは寝返りを打つたびにギシギシなっていたけど、このベットは少しの音もしない重厚な作り。
顔を横に向けると3メートルはある天井ギリギリの窓。
そこには朝の優しい太陽の光が降り注いでいる。
コンコン
「ワタル様、お目覚めになられましたでしょうか?お着替えと朝食をお持ちしました」
しずしずと入ってきたメイドさんが俺に微笑みかけてきた。
出ましたリアルメイドさん。
テレビや秋葉原の路上で見かける事があるがメイド業を生業にしている人は初めて見る。
「あ、ありがとうございます」
「いえ、礼など不要です。アドレーヌ様のお客様をおもてなしできて光栄です」
「そ、そうですか・・・ところでユキナはどこにいるか分かりますか?」
「ええ。ユキナール殿下はアドレーヌ様とお休みになられております。そろそろ起きられる頃かと・・・」
「そうですか。ユキナが迷惑をかけなければいいけど」
「そんな!迷惑だなんて滅相もございません。あの可愛らしいお姿を見ただけで幸せです」
お、おう・・・目をハートマークにしたメイドさんは、クネクネしているではないか
ユキナはアドレーヌ様のみならず、この屋敷のメイドさんもメロメロにしているらしい。
・・・・・・・・・
俺が今いる場所はシップブリッジを見渡せる丘の上にある王族が使う屋敷だ。
窓の外を見れば湾曲している港町が一望できる一等地。
その屋敷にある客室を与えられた俺は、優雅な朝のひとときを過ごしている。
俺の精霊馬車でアドレーヌ様と同行することになった一行は、無事シップブリッジへ入ることができた。
検問所みたいところで何か聞かれたらどうしようと思ったが、当たり前のように入っていく騎士たちについて行けば問題なかった。
予行練習までしたロイヤルパワー大作戦は何だったのだろうか・・・まぁこれもある意味ロイヤルパワー大作戦といえるから成功したといえるかな。
アドレーヌ様の屋敷まで行く道中、街の人がチラチラこちらを見ていたのは、騎士団に先導される馬車が珍しいからだと思う。
俺が怪しいヤツだと疑われているわけではないと自分に言い聞かせる。
「ほぉー立派なお屋敷ですねー!何坪位あるんだろう」
遠くからでもわかる巨大な屋敷に思わず声が出た。
「壺?確かに屋敷には鑑賞用の壺はありますが、ワタル様は壺にご興味があるのですか?」
「ああすみません。私の地元では土地の大きさの単位を坪で表すのですよ。私は特に壺には興味はないです」
「うふふ・・・そうでしたか。ワタル様の地元のことも知りたくなりましたわ」
それは、俺と結婚したらユキナを妹にできると言っていた事に関係あるのかな?
確かにアドレーヌ様はまだあどけなさが残る美少女だ。
日本で言うところの大学生位だろうか?
こんな美人と結婚できたら嬉しいに決まっている。
日本の芸能人でも見たことがない美人との結婚生活・・・そうなると国際結婚となるのだろうか?
いや待て待て。相手は王族でお姫様だ。俺と結婚するなんてありえない。
あれこれ考えていると・・・
「ちょっとワタル!なんか変な妄想してるでしょ?」
「してませんけどウェンディさん!言っている意味がわからないのですが!」
「完全に妄想してわね・・・敬語になってるし」
「ワタルお兄ちゃんがいいなら私はアドレーヌ様の妹になっても良いよ」
「ユキナさんの言って意味もわからないのですが!」
「むぅーやっぱり妄想してた・・・敬語になってる」
「アハハ・・・そりゃアドレーヌちゃんほどの美人だと仕方ないよねワタル」
「私はけして妄想などしておりませんがノーミーさん」
こいつ等はなんで俺の考えている事が分かるんだ?
はっ!魔力で俺と繋がっているからだ!
これはエルザさんに苦情を申し立てる必要がある。
俺の好みのタイプとか理想のデートとか知られてしまうぞ!そんなのは恥ずかし過ぎる
・・・
「うふふ・・・本当に不思議な御方ですねワタル様。私も妖精様と仲良くしたいです」
「仲は良いと思いますが、いつも馬鹿にされてます」
「あっ!到着しましたね」
「うわっすごい!」
門の入口で俺が見たものは、巨大な洋館だった。
この街の家と同じく青い屋根の建物は、テレビで見たベルサイユ宮殿を彷彿とさせ、一体何人の人が働いているのだろうと馬鹿な事を考えさせる。
屋敷までの道は手の加えられた植栽が並び噴水がみえる。
その石畳の道を俺の精霊馬車がカポカポと音を鳴らしながら進んでいくとすごく場違いな気分になった。
ガチャ!
「姫様お手を」
屋敷の目の前で停めた馬車にザックスさんが駆け寄り、箱の扉を開けて手を差し出す。
「「おかえりなさいませ!アドレーヌ様!」」
屋敷の大きな扉の前にズラリと並んだ使用人達が両サイドに並び、頭を45度に下げてお辞儀していた。
総勢で50人ほどの使用人達の出迎えを受けて、堂々した様子で降りるアドレーヌ様に一人の男性が近寄る。
「無事にご到着されて何よりです。賊に襲われたと聞いた時は心臓が止まる思いでした」
「久しぶりセバス。しばらくここに滞在します。よろしく頼むわ」
「ハッ!」
これがラノベで出てくる執事というものか。セバスってテンプレ通りの名前だ。
本当に存在していたのか執事セバス。
「あの・・・お取り込み中失礼します。一応これで依頼達成ということで良いんですかね?」
「ええ。道中大変お世話になりました。後日報酬をお渡しします」
「そうですか。良かった。それじゃ俺たちは宿を探さなくてはならないので失礼します」
ガジッ!
御者台を降りて一礼し、再び馬車に戻ろうとした俺の肩をアドレーヌ様が掴んだ。
「おっしゃっている意味が分かりませんわ」
「アドレーヌ様?何故肩を掴んでいるのですか?」
「ワタル様をこのまま街の宿屋へ泊まらせることなどありえません」
「おっしゃっている意味が分からないのですか?」
「ユキナール様と一緒に・・・ゴホン!ワタル様は命の恩人。この屋敷でおもてなしさせて頂きます!これも報酬の一部です。決定事項なのです。」
つまりアドレーヌ様はユキナともっと一緒にいたいと言うことだろう。
こうして俺たちはこの巨大な屋敷に滞在するであった。
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