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第48話 ロイヤルエンブレム

「あの・・・失礼かとは存じますが、白竜族のホワイト家の方で間違いないでしょうか?」

「へ?」


 俺が精霊馬車の上から怪我をした騎士に話しかけると、バキバキに壊れた馬車の中から金髪の美人が出てきて、話しかけてきた。


 現在、俺たちは精霊馬車を貴族馬車の形態にして、ユキナにお姫様の格好をさせている。

 設定は、遠くの国のお姫様がお忍びで各国を巡っているというもの。

 俺はその従者という事になっている。


 しかし、シップブリッジの検問で自分から王族ですと名乗るだけでは弱いのではないかとノーミーが待ったをかけた。


「そうだな・・・確かにいきなりどこぞの王族ですって言われてすんなり検問を突破できるほど甘くないか・・・どうしよう?」


「ワタル!ワタル!閃いたわ!私は天才ね!」

「すごく不安だけど一応聞いてみるか・・・」

「家紋よ!か・も・ん!家紋をつければ問題ないわ!」

「はぁ?そんなのどうやって作る・・・あっアレか!」


〈トレーラー〉

 1・快適空間(LV・2 2/10)・・・リラックス効果。体力回復、魔力回復、状態異常回復、解呪、デコレーションなどなど


 トレーラーにデコレーション機能があったはずだ。

 初めて精霊馬車を手に入れた時に、ウェンディがピカピカのトレーラーにして見世物小屋で客を集めればいいなんて馬鹿なことを言ったのを思い出す。


 絶対に使わないと思っていたデコレーション機能で家紋を作れる事が出来るかも知れない。

 早速ウィンドウを開き、デコレーションをタップする。

「装飾」という項目をタップして開くと様々な装飾ができることが分かった。


「夜露死苦」、「暴走特急」などの文字を入れる機能や「般若」や「風神雷神」などの絵を入れる事が出来るようだ。


「こんなの馬車に付けたら王族に見えないね・・・」

「そうだな・・・どこかの蛮族が攻めてきたと思われて即捕まるな」

「ワタルの武器はトゲバットだしね」

「私はこのお花の絵がいい」


 ウィンドウに現れたカラフルな絵や文字を見てそれぞれの感想を述べる四人。


「あっこれはホワイト家の家紋に似ている」


 ユキナが指さしたのは少しデフォルメされた白い竜に剣がデザインされた模様。

 それをタップすると細かい所を編集出来るようだ。


「あの一応言っておくけど、家紋の偽造は死刑になるよ。これミルフィーユ王国の常識」


「うそ?じゃあ今やっていることは犯罪?」

「ノーミー安心して・・・私は正真正銘のホワイト家の第一王女・・・自分の家の家紋を作っているだけ」

「うーんそれなら大丈夫か・・・」


「よしっ!こんなもんか!」


 ユキナに細かい所を修正してもらいなんとかホワイト家の家紋のデザインが完成した。


「「このデザインでよろしいですか?

         YES or NO 」」 


 YESをタップする。


「「デザインする書式を選択してください            

 ペイント

 彫刻

 ホログラム

 エンブレム

 LED       」」


「あった!エンブレムにすれば家紋になるはずだ」


 ズンッ!

 ギシギシ


「うわっ!なんだ馬車が揺れたぞ!」

「とりあえず外に出て確認するわよ」


 おう・・・なんということでしょう。

 みんなで外に出て馬車を確認すると、馬車の両面に巨大な家紋がついているではないか。

 そりゃ馬車も揺れるはずだ。


「主張が激しい王族になったわね・・・」

「白竜族のセンスが疑われると思う・・・」

「蛮族と変わらないよ」

「こりゃ駄目だろ・・・やり直しだ」


 試行錯誤の末、なんとか王族の馬車に見える家紋もといエンブレムを付けることに成功した俺達。


 途中、LEDにしてピカピカの光るデコトラ風にしたり、彫刻風にして反社会団体風ににして遊んでしまった。


 ユキナが言うには、白竜族のエンブレムはほとんど知られてないらしく、ユキナの地元の小さな街くらいしかわからないだろうとのこと。


 だったらこんなに苦労してエンブレムを作ることも無かったな。


 ・・・・・・・・・


 そんなこんながあり、王族らしくユキナに振る舞ってもらえれば大丈夫だろうと思っていたが、ボロボロの馬車から出てきた美人に正体がバレた。

 なぜだ?なぜこの人は白竜族のエンブレムを知っているんだ?


「あの・・・えっと・・・何故白竜族のホワイト家を知っているですか?」

「申し遅れました。私はミルフィーユ王国第一王女のアドレーヌ・ラインハートと申します。そのホワイト家のエンブレムは知っていますわ」

「姫様!よろしいのですか?」

「お、王女様?」

「この方たちの身分を知るのに我々が身分を隠してどうするのですザックス。」

「失礼しました。姫様のおっしゃる通りです」


 なんと本物のミルフィーユ王国のお姫様だったとは・・・そりゃホワイト家のエンブレムを知ってて当然だ。


「えと・・・我々は確かに白竜族のホワイト家の者です。今、挨拶させますので少々お待ち下さい」


 コンコン


「ユキ・・・ゴホン!姫様、ミルフィーユ王国のアドレーヌ姫がお見えです。ご挨拶をしていただけますか?」

「わかりました。お兄ちゃ・・・ワタル」


 ガチャ


 俺は精霊馬車の扉を開ける。

「ワタル手を取るのよ」

「お、おう・・・姫様ゆっくりおりましょう」

「はい」


 ぎこちないやり取りでボロが出ないかヒヤヒヤする俺。逆にユキナは堂々とした様子で馬車を降りる。


「・・・ほぉーなんと美しい・・・」

「・・・まるで聖女様だ・・・」

「・・・白竜族の姫様・・・」


 ユキナはその場でドレスをつまみお辞儀をする。

 騎士たちは口を開けて呆けている。


「はじめましてアドレーヌ姫。私は白竜族の第一王女、ユキナール・ホワイトです。お会いできて光栄ですわ」

 ニコッ!


 ババッ!


 ユキナのロイヤルスマイルが炸裂すると、一斉に騎士たちが膝まづいた。

 他国の王族に敬意を示すのは当然だが、俺は騎士たちが本能的に動いたように感じる。


 ユキナはいつの間にあんな笑顔ができるようになったんだ。初めてあった時の絶望したような顔を思い出す。


 お兄ちゃんは少し誇らしくなり嬉しくなった。








 









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