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第44話 ミルフィーユ王国のお姫様

 ミルフィーユ王国 王都ミルフィーユ


 アトランティス大陸の東側に位置しており、北は広大な妖魔の森に接し、西側を流れるネト川を越えるとイーストパレス王国を臨むことができる。


 肥沃な大地と海に接していることで、麦などの農産業や漁業が盛んで、特にイーストパレス王国間での貿易に力を入れている。


 妖精はアトランティス大陸中に分布しているが、ミルフィーユ王国では風の神殿や木の神殿があるため、風や木の妖精の姿をよく見かける事ができるだろう。普通の人には見えないが・・・


 ミルフィーユ王国のほぼ中心にある王都ミルフィーユは人口100万人規模の巨大な都市。

 今日も多くの商人が通りを行き交っている。

 風の精霊エアロは自由と流通を司っていると信じられているため、商人の商いがうまくいくと風の精霊に感謝を捧げるのが習わしだ。


 必然的に風の神殿には多くの信徒や商売を志す商人が訪れる。


 そんな王都ミルフィーユの中心にあるのがその名もズバリ、ミルフィーユ城。

 中心にある白い城を囲むように見上げるほどの城壁があり、3つの塔が存在している。


 それぞれ風の精霊、木の精霊、そして代々の王を祀っている塔だ。


 精魔大戦の功績で英雄となったザリオン・ラインハートがミルフィーユ王国の王女と結婚して国王として君臨したのが約100年前。


 もともと風の精霊を信仰していた国だが、ザリオンが木の妖精と契約していた事から、木の精霊も信仰の対象となった。


 そんな王国の国王は、目の前にいる弟と眉間にシワを寄せて話し合っていた。


 ザリオンから数えて三代目の国王であるマリオン・ラインハートと現騎士団団長であり剣聖と呼ばれるギャリオン・ラインハートである。


「ギャリオン・・・まだ見つからぬか?」

「ハイ・・・一体どこに行ったのやら・・・困った娘です」

「まぁあれだけの強さがあれば大丈夫だろうが、居場所が分からぬとは心配だな」

「消息を絶った原因は分かっているのですが・・・」

「妹のマリアの様子はどうだ?」

「ええ、まだ剣は持てませんが生活には支障ありません。マリア自身も姉のことを許してはいるのですが・・・」

「自分が許せないということだろうな」

「おそらくは・・・」


 ・・・・・・・・・


「姫様!!陛下は現在大切なお話をしているのです!行ってはなりません!」

「そんなの知ってるわ!どうせ叔父様とお話しているんでしょ!」

「そうですよ。だから邪魔をしてはいけません。お戻りください」


 この国の第一王女であるアドレーヌ・ラインハートは応接室に続いている長い廊下をズンズン進んていた。


 父親譲りの金髪は腰辺りまで伸び、歩くたびに大きく揺れている。

 青い王族衣装にティアラを乗せたアドレーヌは、肩を怒らせ、大股で歩いている姿をお付きの侍女やメイドたちが追っている。


「姫様!そのようなはしたない歩き方をしてはなりません」

「私はこれからお父様に大事なお話があるの!邪魔しないで!」

「ええい!こうなれば実力行使しかありません!」


 お付きの者は応接室に向かうアドレーヌの腰をロックして捕まえる。


「ま、負けるものですか・・・グキギ・・・」


 まるでラグビーでボールをもっている選手を止めるかのごとく、多くのお付きの者を引き連れたアドレーヌはついにゴールへと辿り着く。


 バンッ


「ハァハァ・・・お父様!叔父様!お話があります!」

「・・・お前は何をしているんだ?」

「アドレーヌか」


 重い空気に包まれた応接室に現れたアドレーヌをマリオンとギャリオンが呆れた目で見つめる。

 この国の第一王女が多くの侍女やメイドを引きずって現れた状況に理解が追いつかない父親と叔父。


 アドレーヌは決意を込めた青い目で宣言する。


「私がアリシアを探しに行きます!」

「はぁ?何を言っているんだアドレーヌ?」

「アドレーヌ・・・気持ちは嬉しいが娘がどこにいるのか分からないんだ」


 この国の騎士団団長で剣聖でもあるギャリオン・ラインハートの娘アリシア・ラインハートは3ヶ月程前に姿を消して以来、誰も行方が分からない。

 アドレーヌの申し出は嬉しいが、たとえ居場所が分かっても第一王女を行かせる訳にはいかないだろう。


「居場所ならわかっております叔父様!」

「なんと!アリシアはどこにいるのだ!」

「妖魔の森にいるはずです」

「どこからの情報だアドレーヌ。それが本当ならすぐに捜索にいかねば!」


 今までさんざん探して見つからないのだ。少しの情報でも欲しいギャリオンは期待の眼差しで姪であるアドレーヌを見た。


「信頼度100%、特に恋愛相談において多くの者を幸せに導いてきたと評判の城下町の占い師の弟子がアリシアが妖魔の森にいると言っております」


「・・・・・・ギャリオン。話を続けようか・・・」

「そうですな兄上・・・」


マリオンとギャリオンはアドレーヌの言葉に興味を失い、再び席についた。


「お待ち下さい!占い師本人ではありませんが、その一番弟子が占ったのです!間違いありません!」


 姫様が探しものをしていると聞きつけた占い師の弟子がお城に営業をかけたきた時に、たまたまアドレーヌ本人が興味を持ち占いをさせたのが真相だ。


「アドレーヌ・・・あの占い師の一番弟子が城に来たのは5度目だ・・・しかも全員違う人物」

「なんですってお父様!それじゃ私は・・・」

「ああ・・・騙されたのだろうな」

「そ、そんな・・・」

「はぁーこの国の将来が心配だ・・・」


 マリオンはがっくりと膝をついたアドレーヌをかわいそうな目で見た。


 その時


「申し上げます!陛下!」


 開け放ってあるドアから衛兵が声をあげた。


「アリシア・ラインハート様がシップブリッジにて発見されました!」


 ガタッ!


「なんだと!詳しく教えろ!」


 勢い良く立ったマリオンは衛兵に説明を促す。


「はい!シップブリッジから来た冒険者によると、アリシア様は、小さな剣術道場で子供たちに剣を教えているとの事です」

「よし!よく報告してくれた!その冒険者に褒美を出しておけ!」

「ハッ!」


「兄上!すぐにシップブリッジへ部下を向かわせます」

「わかった!・・・っ?アドレーヌはどこに行った?」

「・・・まさか・・・」


「よーやく見つけたわアリシア!絶対に連れ戻してやるんだから!」


 アドレーヌ・ラインハートは長い廊下をズンズン進んでいくのであった。


















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