第39話 ドリュアスの頼み事
「はじめまして・・・ワタル。私は木の精霊ドリュアス・・・ガンテツの奥様」
「は?」
・・・・・・
「申し訳ございませんでした。私の勘違いでとんだ失礼をしてしまいました」
目の前で椅子に座っている木の精霊ドリュアス様は微笑んたままこちらを見下ろしている。
ウェンディやユキナも頭を垂れて跪く。
俺は、地球において最大の誠意を表す土下座スタイル。怖くてドリュアス様の顔は見れない。
「ド、ドリュアス様・・・このワタルはバカでアホで、幼霊を敵に向けて吹っ飛ばすようなバカですが、けしてドリュアス様を尊敬していないわけではないのです。だから何卒ご御慈悲を」
「ウェンディ・・・バカって2回いっているぞ・・・」
「ドリュアス様・・・ワタルお兄ちゃんは私のお腹を撫でてくるし、パンツ一枚で私の頭をワシワシしてくるけど、優しい人なのです。何卒ご容赦を」
「ユ、ユキナ?それじゃドリュアス様に誤解されちゃうかな?」
二人なりに必死で俺のことをフォローしてくれるけど、俺の悪いところをドリュアス様に告げ口しているので、状況が悪化している気がするぞ。
「ウフフ・・・ありがとうワタル」
「ありがとう?」
「妖精を救ってくれたワタルに感謝している・・・二人があなたの事を信頼しているのはよくわかる」
「そ、そうですか・・・俺も二人の事は信頼してます」
ボソッ
「・・・ワタルは私のことを信頼しているの?」
「あの・・・それでドリュアス様はベアフの家で何をしているんですか?」
良かったどうやら怒ってはいないようだ。
でもベアフの奥さんじゃなかったら何でここにいるんだ?
「あなたに興味がある。一度会ってみたくて来た」
「興味?俺はただの無職の男ですよ?」
「梨の妖精からあなたの事を聞いた。それにベアフには時々神託を伝えている。ワタルは色々面白い」
あーたしか、ナッシーウッドは木の妖精だったな、ベアフは木の妖精に適性もある。面白いって何を話したんだ?
「まぁ会って大体わかった。これからも妖精を助けてあげて。でもやたらと契約しちゃ駄目」
「は、はい。」
「うん良かった・・・それじゃ早速お依頼するわね・・・」
「依頼が早いですね」
ホッとしたのもつかの間、ドリュアス様は優しい笑みをしながらお願いしてきた。
もしかしたらこの依頼が本命だったのかもしれない。
・・・・・・・・・
「それじゃよろしくね。最後にご褒美をあげる・・・こっちにきて」
「は、はい!」
「それじゃ目を瞑って・・・」
ドリュアス様の依頼内容を聞き、了承すると、手招きしながら俺に近くに来るように言ってきた。
正直女性慣れしてない俺はドキドキする。その美しさもそうだが精霊は人が近寄りがたいオーラを出しているからだ。
目の前のドリュアス様は微かに森の匂いがした。言われたとおりに目を閉じる。
ご褒美ってなんだろうか?
フッと風が顔を撫でた。これも草原の風の匂いだ。
「はい終わり!それじゃあの子のことよろしくね」
「えっ!?待ってくだ・・・」
目を開けるとそこにはもうドリュアス様はいない。木の幼霊がフヨフヨ浮いているだけだ。
最後に伝えることがあったのに・・・
「ふーまた今度会ったら話そう・・・って二人はいつまでそうしているだ?」
ウェンディとユキナは頭を下げたまま動こうとしない。
「・・・良かった・・・生き残れた・・・」
「お兄ちゃんがドリュアス様の依頼を断ったらどうしようと思った・・・」
「なんだよ二人共、優しいお姉さんだったじゃないか?」
特に命の危険を感じるような事はなかったのに二人はひどい怯えようだ。
「ワタルには分からないだろうけど、妖精にとって精霊様は、母たる存在なの」
「失礼なことをしたら消されちゃうかも・・・」
「そ、そうなのか・・・それじゃあドリュアス様をベアフの奥さんと間違えたのはヤバかったのか」
「もう生きた心地しなかった。ドリュアス様が寛大な方で良かったわ」
ガチャ
「おーやっぱりワタルか!馬車があったからわかったぞ・・・おいおいそんな顔してどうしたんだ?」
俺が青い顔でいると、この家の主ベアフがドアから現れた。
・・・・・・・・・
「ハハハッ!ドリュアス様を俺の奥さんと間違えたのか!そりゃそんな顔になるのは仕方ないなワタル」
「そうなんだ。俺たちは消されるかもしれない・・・」
「大丈夫だ。精霊様はそんな事で怒ったりしないから安心しろ」
「まぁベアフが言うなら大丈夫か・・・今度会ったら謝っておくよ」
ベアフの豪快な笑いで少し安心できた。
「ところで・・・聖女様ってお前たちの事か?」
「何故それを!?」
今日はびっくりすることが多すぎる・・・
何でもベアフが村に帰ってくると、リリの母親が駆けつけてきたらしい。
ワタルが来ることをドリュアス様の信託で聞いていたベアフは、ワタルが関係していると思ったが、その場を誤魔化し急いで家に帰ってきたようだ。
ベアフの説明を聞き、今度は俺達が村での出来事をベアフに話した。
「は、はじめまして。白竜族のユキナール・ホワイトです」
「こ、これはなんとも・・・」
姿を見せたほうが早いということで、ユキナが僧侶スタイルで現れる。
「聖女様・・・」
ベアフはユキナに跪いた。
また面倒くさいことになりそうだ。
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