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閑話 白竜族の勘違い

「こ、これはなんだ?どんな状況かわかるか宰相?」

「陛下、私にもわかりません」


・・・・・・・・・


ヒューガ・ホワイト視点


 ビーガーデン山脈 ホワイトパレス城 


 来客の報告を受けた私と宰相は急いで応接室へ向かっていた。

 この世界の勇者であり、現在は管理者代行でもあるガンテツ様とサツキ様が突然来たのだ。

 それが意味するのはアトランティスに何が重要な事があったということ。


「もしやまた黒の精霊が復活したのか・・・」

「精魔大戦の再来でしょうか・・・」

「その可能性は十分ある・・・覚悟を決める必要があるか・・・」


 精魔大戦・・・100年前に黒の精霊が起こした人族と精霊を滅ぼそうとした戦争。多くの同胞を失う中、父デュトロが生き残った白竜族をまとめ上げ勇者ガンテツ様とともに戦った。


 黒の精霊を封印したあと、デュトロは白竜族の国を建国し長い眠りついた。後を長兄の私が引き継ぎ、次兄のフブキとともに白竜族の国を守ってきた。


「いずれまた、黒の精霊が復活するときが来るであろう。その時は再び白竜族が一丸となって戦うのだ。この国の未来とユキナールの事を頼んだぞヒュウガ」


 父デュトロが眠りにつく前に、王になった私に残した言葉だ。


 約七年前にこの世界に戻ってきたガンテツ様が挨拶に訪れて以来の訪問だ。

 ガンテツ様がアトランティスの管理者代行となっていた事に驚いたが、世界を救った勇者ならばと納得をした。


 そのガンテツ様が妻の聖女サツキ様を伴って訪問してきたのだ。白竜族の力を必要としている事態が起きたのだと容易に想像がつく。


「陛下がお見えになりました」


 応接室の前の衛兵が部屋の中に声をかけ、扉を開けた。

 そこには久しぶりに見るガンテツ様とサツキ様がたくさんの木箱に入った貢物に囲まれ、土下座をした状態で待っていた。


 ・・・・・・・・・


「こ、これはなんだ?どんな状況かわかるか宰相?」

「陛下、私にもわかりません」

「あの・・・ガンテツ様?サツキ様?」


 私はあまりの光景に名前を呼ぶことしかできない。


「ヒュウガ・・・なにも言わずにこれを受け取ってほしい」

「突然来てごめんなさいね・・・これは私達のほんの気持ちよ」


 顔を下に向けたまま二人は品物を差し出す。


「と、とりあえず頭をお上げ下さい。状況は理解しております」

「えっ?そうか?」


(二人がしているのは土下座・・・たしか、地球で最も相手に誠意を表す動作と父上が言っていた)


 また戦争が始まる・・・白竜族の命を再び預けて欲しい・・・俺はそう理解した。


「我々白竜族は勇者ガンテツ様と聖女サツキ様とともにある。命をかけるのは当然の道理。お二方のお気持ちは白竜族に伝わりました・・・宰相!すぐに部隊を編成しろ」

「ハッ!」

「フブキを呼び戻し、各地の同胞にも通達しろ!」

「御意に!」


 私同様、緊張した顔の宰相は衛兵に伝令を伝える。


「申し訳ございません。お恥ずかしい話、現在ユキナールが何者かにさらわれ捜索するために同族が各地に散っております。戦力が整うまで今しばらくお時間を頂戴したく・・・」


「待て待てヒュウガ。落ち着いて話そうじゃないか。何で全軍招集かけてんだ?」

「戦争でも始まるのかしら?」

「・・・は?・・・い、いえ、精魔大戦の再来とあらば全軍を集めるのは当然かと・・・?」


「だから、普通に謝罪に来ればいいとあれほど言ったのに・・・」

 エルザ様が頭を抱えながら呟いる。


 どうなっているんだ?


 ・・・・・・・・・


「なんと!!!ユキナールを救ったのはガンテツ様のご子息でありましたか!!!」

「ユキナール姫が生きておられた・・・ウウッ・・・」

「姫様・・・」


 戦争への覚悟を決めた白竜族へエルザが説明することしばし、ユキナが人族解放軍に連れ去られ、グレートデビルウルフの襲撃を受けた所をワタルが救った事をエルザが説明すると、ヒュウガは声を上げ、宰相は安堵のあまり泣き崩れた。


 ババッ!


「なんとお礼を言ったら良いか・・・またしても我々を救ってくれた勇者様に謝意を」


 ヒュウガはそう言うと片膝をつき手を胸に当てた。それに習い、応接室にいる衛兵たちも続く。


「ああ・・・そう言う事だから安心しろヒュウガ!・・・さてと・・・丸く収まったしそろそろ帰るか」

「・・・あなた。違うでしょ?」

「何しれっと帰ろうとしてるんですか?大切な事が抜けてます」

「大切な事?」


 大円団ムードの中、帰ろうとしたガンテツに二人が静かに突っ込む。


「・・・ゴホン!ヒュウガ落ち着いて聞いてくれ・・・その・・・なんだ・・・あれだ・・・」

「ワタルとユキナールが契約したのよ」


 サツキが爆弾を投下した。


「おいサツキもっとオブラートに・・・」

「・・・・・・・・・?今なんと?」

「えー命を救ってくれたワタル様に恩義を感じたユキナール姫がワタルさんと妖精の契約を結ばれました」


「なんですとーーー!!!」


 白竜族の悲鳴がホワイトパレス城へこだました。


 その後、大騒ぎの城の中でガンテツとサツキ、エルザがワタルとユキナが妖精の契約に至った経緯を説明した。

 頭を抱えたヒュウガが暫く考えた後に応接室を後にする。


 ヒュウガは緊急の会議を開催したいとのことで、待つこと半日、再び応接室に戻ってきた。


「えーお持たせしました。やっと結論が出ましたのでお伝えいたします」

「そ、そうか。なんか悪かったなヒュウガ」

「急なことだもの仕方ないわ」


「突然のことで驚きましたが、よくよく考えましたところ、勇者様、聖女様と縁を結ぶ事が出来るのはとても光栄な事と判断しました」

「そ、そうか」

「しかしながら、まずはユキナールの無事をこの目で確認したく存じます。また保護者としてユキナール本人に意思の確認してみたいという気持ちをご理解下さい」

「親代りとしては当然だわ」


 会議の決定事項を伝えるヒュウガにサツキは同意する。


「そこで、現在ミルフィーユ王国にいるユキナールの下へ、次兄のフブキを向かわせユキナールの無事を確認させます」


「ああ、フブキには俺から手紙を出しておいたぞ。今頃ユキナールの無事を知って安心しているはずだ。どうだ!仕事早いだろ」


「なんですって!!!」

「それ絶対に勘違いしてますよ」

今度はサツキとエルザが頭を抱えたのであった。


 ・・・・・・・・・


〈フブキ久しぶりだな。攫われたユキナールだが、人族解放軍からワタルが助け出したから安心しろ!

 魔封じの首輪をされていて、妖精の契約をしちまったが体には異常がないぞ。

 今は、ミルフィーユ王国でワタルと一緒にいるからそのうち帰るだろ。 七星ガンテツ より〉


「・・・な、なんだと・・・」

「どうされましたフブキ様」


 ここは妖魔の森。

 ユキナール捜索のために野営していたフブキ・ホワイトのもとに、勇者ガンテツの手紙が届けられた。

 それを読んでいたフブキの様子に部下のセッカが声をかける。


「ユキナの無事は確認されたが、魔封じの首輪で妖精の契約を結ばされたそうだ。ワタルという男と行動を共にしているらしい」

「ひどい・・・それじゃワタルという男に無理やり」

「たまたま助けた男の要求に応え、妖精の契約をした可能性もある」

「すぐに救出に向かいましょう」

「ああ、助けに行こう」


 盛大に勘違いしたフブキは、金色の目に強い決意を込めてミルフィーユ王国の方を見つめた。






















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