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第31話 貴族馬車

 それは俺が見た中で一番キレイな生物だった・・・


 太陽の光に反射して白く輝く体毛。

 鋭く伸びた牙。

 金色の瞳。


 THEファンタジーの代表格のドラゴンが目の前にいる。

 この世界に来て色々不思議な物を見てきたが目の前にいる体長5メートルほどのドラゴンは一番の感動を俺に与えていた。


 全身鱗のドラゴンも厳つくてかっこいいが、ユキナが変身したヤツはやわらかい印象の中に力強さを感じて親しみが湧く。


「ドラゴンだ・・・」

「ドラゴンは魔獣の呼び名よ。ユキナは妖精だから白竜って言ってあげて」

「そうか。気を付けるよ。でもカッコいいな」


「ワタルお兄ちゃん・・・少し魔力頂戴」

 ユキナは振り向くと、金色の瞳を向けてお願いする。


「ああ、良いぞ。好きなだけ持っていけ」

「うん」


 スッと魔力が抜ける感覚がしたと思った時、ユキナは息を吸い込んだ。


 カッ!ブォーーー!!!


 ユキナの口から激しい光の帯が飛び出し、グレートデビルウルフの死骸を包みこんだ。


「うぉ!まぶし!!!」

「きれいね!」


 ゆっくり目を開けると、目の前にあったはず死骸が消えている。


「終わったよワタルお兄ちゃん」

「ん?グレートデビルウルフはどこだ?」

「浄化したのよ。白竜のホーリーブレスで」

「どう?役にたった?」


 ユキナは不安そうに俺を見上げながら言ってきた。

 おいおい役にたったどころの話じゃないぞ!!すげーなホーリーブレス!!


「すごいじゃないかユキナ!偉いぞ!」

 俺はユキナの腹をなでながら褒めてやる。

「えへへへ。やった。でもくすぐったい」


「おバカ!どこ触ってるのよ!」

「どこって腹だろ?」


 バキッ!


 ウェンディが突然どつく。


「ワタルは女の子のお腹を撫でるのは普通なの?やっぱりロリ変態だったのね」

「ハッ!!ゴメン!ユキナ。つい動物を撫でる感覚で触ってしまった」


 いくらでかい白竜でも女のコだ。突然腹を撫でれば通報案件である。


「別にいいよ」

「本当にゴメンな。次から気をつける」

「私が守ってあげるから大丈夫よユキナ。ワタルが触ろうとしたらウィンドカッターで腕を切り落とすわ」

「ウェンディさんやめて・・・」


 ・・・・・・・・・


「さて、魔石は残してくれたんだな」

「うん。必要なんでしょ?」


 ユキナのホーリーブレスで消したと思っていたグレートデビルウルフだが、地面に魔石が転がっているのを見つけた。

 全体的に黒っぽい拳大の大きさだ。今までで一番でかい。


「さて出てくれるかな?」

 俺は右手に集中して精霊馬を呼び出す。


「出たわねバカ馬!!」

「バカ馬?」

「そうこいつには聞きたいことがたくさんあるわ」

「なんか馬が普通に戻ってるな」


 精霊馬は暴走モードの時とは違い、大人しくつぶらな瞳でこっちを見ている。


「あんたねぇ〜いきなり暴走してどういうつもりなの?しかも、あの変な歌の歌詞は誰な事を言ってるのかしら!」


 ガミガミ一方的に馬に説教を始めるウェンディ。馬は話など聞かずに草を食べている。


 しばらく俺たちはその様子を遠くから眺めることにした。


「・・・ウェンディお姉ちゃんが馬に話しかけている」

「ああ、時々ウェンディはおかしくなるんだ。そっとしといてあげようなユキナ」

「ウェンディお姉ちゃんかわいそう・・・」


「さて、ウェンディもういいだろ?馬も反省してるさ」

「ハァハァハァ・・・このバカ馬め・・・」

 俺は疲れたウェンディを無視して、魔石を馬の口元に運ぶ。


 バリバリバリ


 流石に拳大の魔石は食いごたえがあるのだろう。結構な音を立てて食べ始める精霊馬。


「あっ!なんか光ったよ」

「これはレベルアップしたんだよ」


〈契約精霊がLV5になりました〉

〈カスタムポイントが2追加されました。トレーラーの機能を強化してください〉

〈メッセージが1件届きました〉


 ウィンドウが開きレベルアップを知らせる文字が出た。今回は2つも上がったようだ。


「まずは、前回レベルを上げなかった変形機能を上げよう」


〈変形機能がLV2になりました。貴族馬車に変形可能です〉


「貴族馬車?貴族が使うような馬車の事かな?」

「とりあえず変形させてみましょう」

「そうだな。幌馬車みたい変形させればいいのかな?」


 フッ


 そこに現れたのはまさしく貴族馬車。

 車輪が大きくなり、全体的に車高が上がっている。

 折りたたみの階段が付いており、箱の中心にある観音開きのドアに登れるようになっているようだ。


 箱の上部には窓があるが、白いカーテンが掛かっているので中は分からない。

 箱の色は黒で統一されていて、金の縁取りが高級感を醸し出していた。


 これぞ俺がラノベでイメージするお貴族様の馬車。

 中には煌びやかなドレスを着た公爵令嬢やワイン片手に悪巧みをする悪徳商人が乗っているやつだ。


 お約束で盗賊に襲われて、死にそうな所を助けるお姫様イベントにも使われるだろう。


「すごい馬車だけどこんなのいつ使うの?」

「そうだな・・・俺達無職だからな」

「無職のプータローには必要ないね・・・あっそうだ」


 仮にこんな馬車を乗り回していたら、盗難を疑われるだろう。

 やはりお金持ちとセットで無ければ様にならない。

 俺がそんな事を思っているとユキナが何かを思いついたようだ。


「ワタルお兄ちゃん、ウェンディお姉ちゃん、少し目を瞑っていて」

「ん?良いぞ?何をやるんだ」

「何をするのかしら?」

 俺とウェンディは目を閉じた。


 ガサゴソと聞こえてきたが何をやっているんだ?


「もう良いよ。目を開けて」

「あれ?どこにいるんだユキナ」

「ここだよ。扉開けてお兄ちゃん」


 ユキナの声は貴族馬車から聞こえてくる。


「それじゃ開けるぞ」


 カチャ!


「皆様はじめまして。デュトロ・ホワイトの長女、ユキナール・ホワイトと申します。以後お見知りおきをお願いしますわ」


 そこには薄い青色の生地に金色の刺繍のドレス。粧飾が施されたティアラをつけたユキナがスカートの端を持ち、お辞儀していた。


「「・・・」」


 俺とウェンディは口を全開にして呆けていたと思う。













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