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第24話 暴走モード

 視界が一面真っ青に染まり、何も見えなくなる。


「ウィンドキャノン!」


 そう叫んだ俺の手から巨大な塊が敵に向かって飛んでいった。

 10頭前後のデビルウルフに当たったのかどうかわからないが、青い塊が周囲の木々をなぎ倒しながら進んでいることは確認できた。


 ・・・・・・・・・


 一旦場所を止め、巻き上がった土埃がようやく収まってきたので状況を確認すると、街道に大きな物が進んだ跡がついている。


「ハァハァ。・・・どうなった?」

「ワタル・・・あなた何やったか分かってるの?」

「何って風の魔法を飛ばしただけだぞ」


 イメージしたのは手から空気の塊を飛ばすという単純なもの。切羽詰まっていたから、思った事を周りの幼霊にお願いしただけだ。


「ハァ?だけって言った?馬鹿なの?」

「なんだよ。俺は魔法を使ったんだろ?」

「あなたがやったことはね・・・この周辺の風の幼霊を集めるだけ集めて、飛ばしたのよ。幼霊自体をね」

「まじか!!あの青い塊は幼霊さんだったの・・・」


 俺は風魔法を使ったたんじゃ無いのか?


「つまり、幼霊の塊をデビルウルフに向けて飛ばしただけよ。こんなの魔法でも何でもないわ!」

「・・・そ、そうなんだ」

 ほんとに風の塊でなく、幼霊の塊を放ったようだ。


「呆れた・・・幼霊を飛ばすなんて聞いたことがないわ」

「で、でもデビルウルフを倒したんだから良いじゃないか」

「おバカ!後で風の幼霊に謝っておきなさいよ!」

「・・・はい」

 後で幼霊に魔力を分けてあげよう。


 ともかくデビルウルフがいた場所には抉れた地面以外何も無い。どこに飛んでいったか分からないけど討伐成功だ!


 ・・・・・・・・・


「とりあえずここを離れるわよ」

「そうだな。急ごう」

 再び精霊馬を動かすイメージを伝えようとした時。


 ジャ!ジャ!ジャ!

 ジャ!ジャ!ジャ!


 獣が地面を走ってくる音が聞こえてきた。

 初めに遭遇したやつであろう。


「クソッ!しつこいぞデビルウルフ」

「なんか数も増えてる!」

 初めのデビルウルフは五頭だった。それが10頭前後に増えている。


「逃げながら戦うしかないわね」

「分かった。前方のヤツは吹っ飛ばしたから駆け抜けよう。頼むぞ精霊馬!」


 ブルル!

 ガガガガガ!


 俺の意思が伝わったのか、精霊馬が一鳴きすると勢い良く走り出した。荷台の車輪の音も激しさを増す。

 グングン速度を上げる精霊馬車。周りの木々の景色が勢いよく後方に流れ始めた。


「くっ追いつかれる!」

 しかし、後方のデビルウルフとの距離がグングン詰められてしまう。


「ウィンドカッター!くっ!」

 ウェンディが牽制の風魔法を放つが、素早い動きで避けられてしまったようだ。


「クソッ!」

 俺の視界に黒い影がチラつく。そいつは俺達を噛みつこうと走ったまま飛んできた。


「ウェンディ避けろ!」

 ガシッ!

「えっ!キャア!」

 俺の肩口めがけて飛んできたデビルウルフ。

 ウェンディに当たると思い、とっさに鷲掴みにしてしまった。


 ザシュ!


「痛っ!」

 デビルウルフがウェンディに当たらなくて良かったが、俺の肩口付近を牙が掠った。

 きっと血が出ているだろうが、確認なんてしていられない。


「ウェンディ大丈夫か?」

「な、なんで私なんか庇うのよ!ワタルが怪我してるじゃない!」

「いや、ウェンディが喰われると思ったから・・・それより掴んで悪かった」

「そ、それはありがとう。掴んだことは気にしてないわ」

「お、おう」

 とっさのことで女の子を鷲掴みにしてしまったのだ。もっと怒るかと思ったけど、殊勝な態度に調子が狂う。


「あなたこそ大丈夫なの?怪我してるわよ」

「肩口をやられたようだな。でもウェンディを守れたから良かったよ」

「・・・そう。あなた本当に変な人族ね」

「変な人族はひどなくない?」


 精霊馬は良く走ってくれているが、このまま追いつかれてしまうだろう。

 いくらデビルウルフの一撃をやり過ごせたからといって、コイツ等は次の攻撃を仕掛けてくるぞ。

 どうする?何か策はないのか?


「・・・あっ!・・・いやでもしかし」

「どうしたのよブツブツ言って」

「なぁこのヤバい状況を切り抜ける方法が一つあるが聞くか?」

「何よ?また、ワタルが風の幼霊を飛ばすのは・・・あっ!」

 ウェンディは俺の考えを分かったようだ。


「奇遇ね。私もあなたと同じことを思いついたわ」

「それは嬉しいね。きっと正解だ」

「・・・何喜んでいるのよ。でもどうなるか分からないわよ」

「それでも取り扱い説明の通りなら、逃げ切れる。やるしかない」


 急いでウィンドウを開きメニュー画面を呼び出した。


 相変わらず憎らしいほどに自己主張している虹色の文字。

 それに触れる指が一瞬止まった。


「なぁウェンディ。この方法が失敗したら俺を置いて飛んで逃げろ」

「はぁ?何言ってんのよ?」

「仮だとしても、契約妖精を死なせる訳にはいかない」

「・・・わ、私だって契約者を死なせる訳にはいかないの。馬鹿なこと言ってないでやるわよ」

「・・・そうか。ありがとう相棒!」


 激しく揺れる精霊馬車の御者台で俺はゆっくりと「暴走モード」の文字に指を触れた。



















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