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第22話 妖精の噂は光の如く

 ヒソヒソ


「ねぇねぇ聞いた」

「うん。ウェンディがエアロ様に呼ばれたんでしょ?」

「そうそう。またお説教でしょ」

「たぶんね〜人族にお節介掛けたらしいよ。無理やり人族の男女をくっつけるために、風を起こすつもりが竜巻起こしたんですって」


「なにそれ〜ウケる〜」

「それで、人族の男を吹き飛ばしたらしいよ。」

「あはは〜!そりゃエアロ様に怒られるわ」

 今日も妖精たちの噂話は止まらない。


 ここは、ミルフィーユ王国にある風の神殿。

 石造りの大きな柱に風を模したレリーフが彫られている。

 そこは心地よい風が吹いており、花びらが舞い散る場所。まさに神聖な雰囲気の中を多くの風の妖精や幼霊が行き交っっている。


 ミルフィーユ王国では風の精霊エアロ、木の精霊ドリュアスが広く信仰されており、その象徴の一つである風の神殿の中心にはエアロの像が鎮座し国民を見守っていた。


 神殿の階段を降りた先には礼拝堂があり、多くの信徒が訪れている。


「いつも風の精霊様はあなた方を見守ってくださっております。いい加減な噂などに惑わされず、風の導きの元、正しい行いをしましょう」

 風の神殿の神官は、訪れた信徒に説教をしているのはこの国の日常的な風景となっている。


 ・・・・・・・・・


「ねぇねぇ聞いた。」

「聞いた聞いた。ウェンディが人族にくっついて何かしてるんでしょ?」

「・・・あなた何でも知ってるのね」

「風の幼霊が見たって言ってたのよ。どういうことだと思う?」

「それはね!」


 二人の妖精に割り込んで来たのは、自称事情通として知られる別の妖精だ。


「出たわね自称事情通!」

「私の友達の知り合いの幼霊が見た話によると・・・」

「もはや他人じゃない」

「ウェンディと男の人族が、一緒に旅をしているらしいわ」

「へぇ〜。エアロ様のご命令かしら?それとも彼氏なんじゃ・・・」

「「まさかね〜!」」


 ニヤリ

「・・・ほほう。たまには神殿に来てみるべきね。特ダネの予感・・・」

 楽しそうに話している3人の妖精を柱の陰から盗み聞きしている怪しい影が呟いた。


 ・・・・・・・・・


 アトランティスにいる妖精は人族に執着することは少ない。


 人族とは寿命が違いすぎるため、たとえ妖精が興味を示しても一瞬(妖精基準)で死んでしまうのを知っているからだ。


 しかし、風の妖精は比較的人族に興味を持っているのは良く知られている。このいたずら好きの妖精は、人族にちょっかいをかけては面白がっているからだ。

 人族の間で急に風が吹くと風の妖精がいたずらしているなんて話をよく耳にする。


 自然と人族に伝わるおとぎ話には、よく風の妖精が出てくるので5大精霊の中で最も親しみやすい妖精と言えるだろう。


 そんな風の妖精がいたずらの次に好きなのが噂話。

(どこそこの国の王子は実はあの子が好き、あの町娘の本命は本当は違う人などなど)

 その人個人ではなく、まるでテレビドラマやエンターテイメントを楽しんでいる感覚で噂話をしている。


 五大精霊と勇者ガンテツが契約を結び、黒の精霊を封印したのは有名な伝説だが、ガンテツが地球に帰ったあとも、五大精霊それぞれとガンテツとの馴れ初めや契約を交わした時のセリフなど妖精たちが勝手に話を作り、盛りがっている始末。


 そんな妖精たちの間で、身内とも言えるウェンディが人族の男と何やら行動を一緒にしているなど格好のネタである。


 風の妖精の中では最年少にあたるウェンディ。まだ、人族の恋というのがわからない妖精の行方に風の妖精界が注目し始めていた。


「きっと美形のエルフの男よ。あの子好きそうだもの」

「いやいや、劇の俳優と見たね。ウェンディは良く王都の劇場に行っているの知ってるんだから」


 ニヤリ

「まずは情報収集からね。どこにいるのかしらウェンディ」


 妖精の噂話は尽きることがない。


 ・・・・・・・・・


 そんな状況になっている事など知らないワタルたちは、相変わらず森の中の街道を進んでいた。


 ゴトゴト


 精霊馬車は今日も快調だ。

 契約精霊の馬が普通の馬と同じく不調になるか分からないが、機嫌は良さそうで安心する。

「ああうまい。タンパク質が身にしみる」

「私は梨があればいいわ」


 ベアフからナッシーウッドの梨のお礼にもらった干し肉をかじりながら御者台に座っている俺は、久しぶりの肉に感激していた。

 ウェンディにも干し肉を勧めたが、梨がお気に入りのようだ。


「・・・ベアフにこの国のことを教わったが、本来はウェンディが俺に教えるべきだと思うぞ」

「何言ってるのよ。魔法の使い方とか教えているじゃない」

「俺は、この世界で仕事を探すんだぞ。通貨とか細かい地理とかのほうが重要じゃないか」

「そういうのは自分で聞いたり調べたりしなさい。なんでも教えたら良くないってエアロ様が言っていたわ」

「・・・・・・そうですか」

 俺のサポートするんじゃなかったのかウェンディ。


「へくちっ!」

「どうした?風邪か?」

 突然くしゃみをしたウェンディに声を掛ける。

「・・・妖精が人族の病気になるわけないでしょ。でも寒気がしたわ。何かしら?」

「わからん。今日はこのへんで休むか」

「そうね」


俺たち旅は続く。
















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