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第20話 街道の木こり小屋

 ゴトゴト


 一台の馬車が森の中の街道を進んでいる。

 アトランティスでは一般的などこにでも居るような馬車。

 ただ、よく見ると御者台に乗っている青年は元は上質であったと思われるシャツとズボンを身にまとい、時折何もない空間に話しかけているので不審に思う人がいるかもしれない。


「やっと精霊馬車の本来の使い方ができるな」

「ただ移動してるだけだけどね」


 妖魔の森を彷徨い、ようやく見えた街道。俺とウェンディは街道に出ると早速、馬と荷台を呼び出し乗り込んだ。


 ウェンディはすぐに街道に出られるようなことを言っていたけど、結局二週間くらい森の中を彷徨ってしまった。妖精基準の《《すぐ》》はあてにならない。


 精霊馬車は、特に操縦技術を必要とせず、荷台に繋がっている馬(精霊)に俺の意思を伝えるだけで動いてくれる。

 地球では、トラックを運転して配送の仕事をしていたけれど、流石に馬車を扱ったことはない俺にとってありがたいことだ。


「なぁこの街道はミルフィーユ王国に続いているんだよな」

「ミルフィーユ王国まではだいぶ距離があるけれど、繋がっているはずよ。森を出れば人族がいるから聞いてみればいいわ」


 ウェンディの話によれば、この街道は妖魔の森の外縁部を通っている。流石に森を突っ切る道を作ることは危険なので、比較的安全な外側に道を作ったそうだ。


 すぐに森を抜けて村に行けると言っているが妖精基準なので安心できない。

 また、二週間くらいかかったらどうしよう。


「俺達、森の中を突っ切ってきたんだよな。しかも、野宿までしていたけど・・・かなり危険だったんじゃ」

「風の精霊エアロ様の眷属の私が付いていたから、安全だったでしょ?」

「どこが安全だっただ!?何度も死にかけたじゃねーか」

「それは、ワタルが変な詠唱するわ、勝手にナッシーウッドに突っ込むわ、全部自分のせいでしょ!」


 ワーワーギャーギャー

 じゃれ合うことしばし


 精霊馬車の扱いにも慣れてきた頃(特に何もしてないが)、街道の脇に一軒の小屋が見えてきた。


「みろ!ウェンディ!小屋だぞ!」

「人がいるかもしれないわね」


 地球で言う所のログハウスのような作りの小屋。この世界に来て初めて人がいる痕跡を見つけた俺はテンションが上がる。


 洗濯物など人が生活している様子がないので、誰も住んでいないのかもしれない。

 誰かいたら情報収集かな?

 とりあえず確かめてみるか。


 小屋の前に馬車を停め、馬に待っているように伝えた。特に繋げる必要もないので便利である。


「ご、こめんくださ〜い。どなたかいらっしゃいませんか?」

 なんだか飛び込み営業を思い出すな。

 小屋の扉の前で声をかけたが、中には誰も居ないようだ。


「ウェンディ誰もいないみたい・・・」

 仕方なく帰ろうと俺がウェンディの方を振り返ると

「ギャァァァ!ウェンディが熊になった!!!」

 腰を抜かして後退る俺の前に熊がいた。


「なんだ〜?強盗か〜?」

「熊がしゃべったーー!ウェンディが突然変異したのか!?」

 ウェンディはやっぱりおもしろ妖精だったのか?


 ゲシッ


「誰が熊よ!落ち着きなさい!人族よ」

「ん?ウェンディ?・・・あれ?」

 俺の頭に蹴りを入れているウェンディが指差す方を見ると、熊のような男が立っていた。


 もじゃもじゃのヒゲが半分ほど顔をおおい、獣の毛皮の服を着ている。

 右手には大きな斧を持ち、こちらを訝しげに睨んでいる男はたしかに人のようだ。

 身長は二メートルほどなので、熊が斧を持って歩いていると表現するのがピッタリ来る。


「えっと、どちら様ですか?」

「それはこっちのセリフじゃ若いの。そんな物騒な武器を持って何をやっている?」

「あっ・・・これは違うんです。けして怪しい者のじゃなくてですね」


 そう俺は万が一のことを考え、手にはエクスカリ棒ならぬトゲバットを持っていた。

 ここの住人からしたら強盗だ。急いでトゲバットをしまう。


「あはは・・・なんだか見解の相違があったようですみません。私は七星ワタルと言いまして、馬車で旅をしているものです」

 熊男は、精霊馬車を一瞥する。


「確かに立派な馬車を持っているようだが、行商人か?」

「まぁそんなようなものです。この小屋で休ませてもらおうと」

「どこに行くのか知らんが、一人で妖魔の森を抜けていくつもりなのか?」

「い、いえ二人で・・・まぁそうです」


 この熊男がウェンディを見えているかわからない。妖精が見える人は稀だとウェンディが言っていたので、積極的に教えるのはやめておいたほうが良いだろう。


「あの、この小屋はなんですか?」

「ここは木こり小屋だ。俺達木こりのための小屋だ。めったに使わないがな」

「あなたはここに住んでいるんですか?」

「まさか。仕事がある時しか使わんよ」

「そうですか」


 ここの住人ではないようだ。


「とりあえず中に入れ。茶でも出してやる」

「あ、ありがとうございます・・・」


 まさか食われたりしないよな。俺は熊男の巣穴・・・木こり小屋に足を踏み入れた。

















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