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第18話 恐怖 ナッシーウッド襲来

「とりあえずしばらくはその棒で戦うって事でいいわね」

「・・・俺は仕事をするために異世界に来んだけど」

「何を言ってるの。この世界の商人は魔獣と戦うこともあるわ!その聖剣エスクカリ棒で強くなるしかないの・・・プッ」


 また笑いやがった。エルザさんの手紙にはここアトランティスでは街道に魔獣や盗賊が出るらしい。

 俺の頼りない魔法ではいざという時、身を守れない。

 そう覚悟を決めて、釘バットならぬ聖剣エクスカリ棒を握りしめるのであった。


 ・・・・・・・・・

「うぉぉー!」

 バキッ!バカンッ

「やったか?」


 今俺達は、凶悪なる魔獣と戦闘中だ。

 眼の前の魔獣はラッカサンという名前で、大きなピーナッツである。

 体長はオバケキノコと変わらないが、とにかくちょこまかと動き、攻撃が当たりづらい。


 ウェンディの風魔法は有効だが、俺に当たらないようにしているため乱発はできない。

 ようやく聖剣エクスカリ棒・・・もうトゲバットでいいや・・・を当てることができた。


「まだよ!ワタル離れなさい!」

「えっ?なんで?」

 慌てて距離を取る。


 その時、砕いたはずのラッカサンの殻の中から、ピーナッツが飛び出してきた。


 ビュン!

 眼の前をピーナッツが通り過ぎていく。


「こっわ!危なかった」

「こいつは倒されると爆発するの。何人もの旅人が命を落としたわ」

「そう言うことは早めに言ってくれ!」

 重要なことは先に言ってほしい。死ぬところだった。


 弾けたラッカサンはそのまま動かなくなり、無事倒したようだ。

「良かった。倒したみたいだな」

「あれは食べられるわよ」


 ウェンディが指を指した方を見ると、こぶし大のピーナッツが転がっている。

「そ、そうか。確かに食用と出てるな。茹でるのか?」

「知らない」

 とりあえずピーナッツと魔石を回収したのであった。


 ・・・・・・・・・


「そろそろ、肉が食べたい」

 出てくる魔獣の食材はたしかにありがたいが、おつまみのようなものばかりだ。

 俺の心の叫びが口に出た。

「そろそろ街道に着くわよ。そしたら違う魔獣がいるわ」


「なぁウェンディ。街道が近くにあるって言ってなかったか?もう一週間くらい歩いたぞ」

「ワタルが歩くのが遅いの・・・ってそろそろヤツがいるわね」

「ヤツって何?そういう強敵フラグはやめてほしいんだけど・・・」


 歩くことしばし、ウェンディがいうヤツが姿を現した。

「出たわね。ナッシーウッド」

「いやどう見ても梨の木だぞ」


 そこにそびえ立っていたのは、3メートルくらいの梨の木だった。枝にたわわに実を付け、いかにも美味しそうだ。

「目利き」スキルでも「ナッシーウッド その実は大変美味しい」と出ている。


「ナッシーウッドはね・・・」

「よし!取ってくる。果物も食べたい」

「待ちなさい」

 あんなにも美味しそうな梨が手の届くところに実っている。もう行くしかない。

俺はさっそく近寄り一つもぎ取った。


「なにも起きないじゃないか。食べてみるか・・・ぐはっ」

「あなた何やってるのよ!食べちゃだめなの!バカなの?」


 梨を食べようとした俺目掛けてウェンディは体当たりをしてきて、ふっ飛ばされた。

「いってーなにすんだよ」

「見てみなさいワタル」

 指を指した方を見ると、なにの変哲もなかったナッシーウッドの幹に顔が現れているではないか。


 それは凶悪な顔でこちらを睨んでいる。

「な、魔獣だったのか?」

「違うわ。ナッシーウッドは妖精よ」

「マジか」

「ワタルがその梨を食べると呪われるわ」

「はぁ?何いってんだ?」

「ナッシーウッドはねこんな伝説があるの・・・」


 ウェンディいわく


 「「ある村の青年が母親の病気を治すため、万病に効くと言われるナッシーウッドの実を探しに森の中に入った。

 しかし、森の中で迷ってしまい、いよいよだめかと諦めた時、青年の前にナッシーウッドが現れた。


 朦朧とする意識の中、ナッシーウッドに実を分けてほしいと頼み込む青年。

 優しいこの妖精は、いくつかの実を分けてあげる。実を持ち帰った青年の母親は無事回復した。


 しかし、余った実が高値で売れたことに驚いた青年は、再度ナッシーウッドの元へ行く。

 兄が病気で、父が怪我で、祖母が落ち込んでいてなど様々な理由をつけて梨をねだる青年。

貰った梨は評判を呼び青年はお金持ちになった。欲に目がくらんだ青年は、どんどん横柄になり、ついには無断で梨をもぎ取るまでになった。


 それに怒ったナッシーウッドは、目の前で美味しそうに梨を食べる青年に、魔獣になる呪いをかけた。その魔獣は今も梨を探して森の中を彷徨っているらしい。

                  完

 ミルフィーユ王国 童話集 梨の倍返しより                 」」


「なにそれこわっ!つまり、梨を取ったらロックオンされて、食べたら魔獣になるのか?」

「そうよ。分かった。私はワタルを助けたの。感謝しなさい!」

「あ、ありがとう・・・っていうかその金に目がくらんだヤツのせいで梨は諦めるしか無いのか・・・」


「一つだけ梨を食べる方法があるわ」

「そ、それはどうすれば・・・」

 魔法で眠らすとか、気づかれないようこっそり採るとかかな?

「きちんと頼み込んで、お礼を言う事」

「は?」

 魔法的なことは一切関係ねーじゃねーか!


「だから、梨を下さいとお願いして、もらったらキチンとお礼をいえば呪われないの」

「とても道徳的な妖精だな」


 ナッシーウッド・・・それは心優しき妖精。人に道徳をとき、正しき道を教えてくれるイカしたヤツであった。











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