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第16話 収納ボックス

 だいだいの精霊馬車の機能を把握した俺は今後の方針を話し合うことにした。


「まずはこのカスタムポイントをどうするかだな」

「何悩んでいるのよ。そんなの適当に割り振ればいいじゃない」

「ウェンディさん甘いよ。ここは大きな分岐点になると俺はみたね」

 そうウェンディは何もわかっていない。この手の仕様は、一見自由度が高そうにみえて大きな落とし穴がある。


「何よ。それじゃどうするのよ」

「あのな、精霊馬がどの程度魔石を食べればレベルが上がるのかわからないけど、大切なのは方向性だ」

「方向性?」

「そうだ。俺達が今後どの様な事をするかを考えたうえで、カスタム内容が変わってくる」

「・・・全然分からないんだけど」

 ウェンディは青い目をパチパチしながら小首をかしげている。


「つまり、適当にポイントを割り振れば、今後困るというわけだ。大切なのは今後のことを考えて、役に立ちそうなものを重点的に強化することだ」

「当たり前のことをドヤ顔で言われるとむかつく」

「それでだ。ウェンディはどうしたい?何が必要になってくると思う?」

 なんだかウェンディにマウントを取れているようで嬉しくなってしまう。


「街についてから荷物を運ぶ仕事をするでしょ?だったら、荷台を強化すればいいじゃない。あっ!ピカピカのデコレーションにすれば注目を集めやすくなるから人が寄ってくるわ!」

「・・・・・・きっとウェンディは適当にゲームを進めて中ボス辺りで詰んで、ゲーム機を放り投げるタイプだな。SNSで悪口を書くだろう」


 ポカポカ

「い、いた!な、何するだよ」

「言っている意味は分からないけど、バカにされているのは分かる」

 小さな手を振り回し俺をポカポカ叩くウェンディに俺は続けた。

「大体荷台をデコレーションなんかしたら魔獣が寄ってくるだろ?それにピカピカ光る荷台なんかにしたら仕事どころじゃなくなる」

「・・・それもそうね。それじゃどれにポイント割り振るのよ」


「そこで俺が注目したのは収納だ」

「収納って馬と荷台を出し入れするやつ?あんなの何の役に立つのよ。あっ分かった。それで見世物小屋でお金を稼ぐのね。ワタルは案外セコイ」

「フッ。ウェンディは若いな。ぜんぜん違う」

「・・・ワタルよりはだいぶ年上だけど」


「あのな、荷台に箱が置いてあるだろ?いかにも物を入れて下さいって言ってあるようなやつ」

「あるわね。それが?」

「それに収納にポイントを割り振れるようになっている。つまりは・・・」


 ブン

〈収納にポイントを割り振りますか?YES or NO〉

 YESを選択する。


〈収納がLV2になりました。収納ボックスが開放されました〉


「やっぱり思った通りだ!」

 思わずガッツポーズをする。

「な、何よ」

「まぁ見てみよう」


 収納ボックス・・・物を収納できるボックス。大きさはレベルに応じて広くなる。生きている物は収納できない。

 荷台をそのまま収納すれば持ち運び可能。


「とりあえずこれである程度の荷物を入れることが出来るわけだ。荷物の持ち運びは楽になるし、レベルを上げてもっと広くすれば、大量の荷物を運べる。つまり、一度にたくさん稼げるということだ」

「ほうほう」

「しかも、荷台を収納することで、持ち運びもできる」


 異世界の定番であるアイテムボックス。

 無限に収納でき、主人公のチート性能でお馴染みだ。

 これは無限というわけではないが、カスタムポイントを割り振れることが分かったときから予想はしていたのだ。


 ・・・・・・・・・


「これで限界っぽいな」


 とりあえず収納ボックスがどの程度入るのか検証するために、俺とウェンディはそこら辺に転がっている木や石を手当たり次第に放り込んだ。


「大体、荷台の大きさくらいかしら」

「そうだな。この荷台分くらい入るみたいだ。つまり積載量は二倍になったぞ」

 これで仕事をする上で楽になるはず。


「今は何も入れるものはないから食材を探して入れてみよう」

 仕事を始める前に、サバイバル生活をするほうが先だ。人間は水や食べ物が無ければしんでしまう。


「オバケキノコはそこら中にいるわよ。魔法の練習がてら倒しまくりましょう」

 何故かウェンディはやる気に満ちている。戦闘狂かな?

「いやいや待て待て」


「ウェンディは収納ボックスをキノコだらけにする気か?いくらおいしくてもそれは嫌だぞ」

「人族はめんどくさいわね。ワタルは何が食べられるか分からないでしょ?」

「ふふーん。そこで目利きの出番だ。」


 そう、レベルアップで獲得した「目利き」スキルはウィンドウを詳しく見るだけでは無い。

 対象の物をじっと見つめれば、情報がウィンドウを表示されるのだ。


 試しに、そこら辺に生えている草を見つめて見ると「ただの草 一応食用」と表示された。

 名前と食用かどうかしか分からないが、今はそれで十分だ。


「このスキルが有れば、この森の中で食べ物を探せるぞ!」

「へーすごいわね」


 興味なさそうに呟いたウィンディを目利きしてみると


「風の精霊エアロの眷属 妖精 ワタルの契約妖精 年齢非公開 自信過剰」


 と出た。


 今後のために年齢のことは聞かないでおこう。














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