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第88話 脳内桜満開!

お話は88話ですが、閑話を含めて100話達成です!


これも皆さんのお陰でございます!


これからも異世界街道よろしくお願いします!

「おーけー!・・・まずは落ち着こうじゃないか。確かに攻め込まれたが試合はまだ始まったばかりだ」

「全然落ち着いてない」


 アドレーヌ様が伝えた衝撃的な内容にしばらく固まった俺は自分に言い聞かせる。

 まずは、一つ一つ確認して行こう。


「えっと・・・この人はアリシアで間違いないですね?」

「そうです。生まれ変わったニュータイプのアリシアです」


 ま、まだスルーでいいだろう。


「俺のその・・・人工呼吸で髪が変わってしまったとの認識でよろしいですね」


 ビクッ


 アリシアは俺が人工呼吸と言った途端、ビクついた。


「そうです!ワタル様の物語のような熱くそれでいて優しいキスで生まれ変わりました」


 まだ突っ込まない。


 諦めたら試合終了と俺の心の先生が言っていたじゃないか!


 えっとつまり・・・俺が白い幼霊か魔力を注ぎ込んだ影響で、髪の色が変わったんだな。


「なぜユキナのお姉ちゃんに変装しているのですか?」


「それは私が妹が欲しいからです!」


「なんじゃそりゃーーー!!」

「ぶっ飛びすぎだわアドレーヌ!!」

「良かった・・・隠し子はいなかった」


 苦しい試合展開に耐えてきたが、我慢の限界だった。

 力の限り突っ込んでしまった。


「アドレーヌ様・・・理由がわかりませんので、始めから丁寧に説明してください」


「いいでしょう!ミルフィーユ王国第一王女アドレーヌ・ラインハートが説明しましょう!壮大な愛の物語を!」


 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・


 さて、アドレーヌ様が語った壮大な愛の物語を解説しよう!


 結論からいうと、物語恋愛小説・・・特に「勇者ガンテツと精霊」シリーズが大好きな脳内お花畑のアドレーヌ様は、俺がアリシアに施したキス・・・人工呼吸を見た瞬間、お花畑が桜満開となってしまったようだ。


 つまり、あまりにも小説に似通った場面を見て、頭の中で俺とアリシアを物語の主人公に仕立て上げたのだ。


 俺としては、あれは緊急的処置な理由でけして邪な感情は無い。


 アリシアはアドレーヌ様が、「キス」や「白い幼霊」、「魔力」と言う度にこちらをチラチラ見てきた。


 アドレーヌ様が言ったことは、だいぶ誇張が入っているが、人工呼吸をした事には変わりないのでまぁ仕方ない。


 次に、アリシアがユキナのお姉ちゃんになってしまった理由だが、これが結構シビアな話だった。


 何でもアリシアが倒した黒服の集団・・・人族解放軍っていったっけ・・・の中に元王国騎士団の兵士がいたらしい。


 ユキナを探して商人等の馬車を襲っていた奴らが捕まらないのは、騎士団にスパイが入り込んでいたからだ。


 そこでアドレーヌ様は、あの場にいた者全員に箝口令を敷いた。

 これ以上奴らに情報を漏れるのを防ぐための処置だが、一番のネックはアリシアの扱いだ。


 毒で苦しんでいたアリシアに、奴らが去り際、「アリシアはもう助からない」と言っていたので、相当強力な毒が使われていたのだろう。


 しかし、俺の白い幼霊やユキナの癒しのブレスでアリシアは不死鳥の如く奇跡の復活!


 奴らもまさかアリシアが生きているとは思うまい!ザマァみろ!


 俺がその事を報告すると、アドレーヌ様はアリシアの事を利用することにしたようだ。


 そもそもあの場にアリシアがいたのを知っているのは、人族解放軍と我々の関係者のみ。


 アドレーヌ様と一緒に駆け付けた兵士は、アドレーヌ様の近衛兵の五名ほどで忠義に厚い。


 さらにユキナにメロメロで、尊敬を超えて信仰している模様だ。兵士には念の為、ユキナにアリシアのことは秘密にしてと言ってもらおう。


 後は、屋敷のメイドや使用人だが、アリシアが運び込まれたのは夜の遅い時間。


 対応した者以外に目撃者はいないだろう。今後、アドレーヌ様はアリシアのお世話をする者を限定するようだ。

 この人たちもユキナにメロメロだが口止めをお願いしよう。


 とはいっても病気のはずのアリシアは屋敷を自由に歩き回ることができない。


 それを憐れに思ったアドレーヌ様は、髪の色が変わったことを利用すればユキナのお姉ちゃんに変装できるんじゃねと考えたらしい。


 今後、しつこくアリシアの様子を訪ねてくる兵士やメイドがいたら、そいつはスパイの可能性があるだろう。


 こちらの反撃体制が整うまで、騎士団にも内緒で事を進める事にしたようだ。


「アリシアの話によれば、敵の依頼主とされる人物はアリシアが剣聖になるのを阻止するために、誘拐事件を起こしたようです」

「剣聖に?」

「はい。さらに騎士団内部にスパイがいることが明白となりました。これは慎重に事を運ばねばなりません」


「えっと具体的にどんな事をするんですか?」

「すみません・・・ある程度は決まっているのですが詳細は後ほど教えます。まだ、情報が足りませんので・・・ワタル様たちには普段通りに過ごしてもらって構いません」

「わかりました」


 ここまでがアドレーヌ様が語った全容だ。なかなか大変な事態になっているが、反撃体制が整うまで待つしかない。


 そうとなれば・・・


「アリシア」


「・・・・・・」


「なぁアリシア」

「ひゃい!」


 おいおい・・・アリシアはまだどこかおかしいのか?返事をした声もうわずっていたぞ。


「大丈夫か?・・・ちょっと二人で話があるんだけど今夜辺り空けといてくれないか?」


「えっ・・・はい・・・わかりました」


「うん。よろしくな。それじゃお大事に」


 やっぱりまだ本調子ではないようだ。あまり長居するのも良くないだろう。

 俺はアリシアの部屋を後にした。


 ・・・・・・・・・


「まさかの急展開・・・セバス!御赤飯の用意を!」

「はっ!早速ご用意します!うう・・・こんな日が来るなんで・・・やはり私は死ぬのでしょうか?」

「死なないでセバス!私もびっくりよ!」


「な、なんで赤飯なんか用意するんだ?」

「決まっているじゃない」

「なんだ?」


「ワタル様は今夜・・・」


「こ、今夜・・・」


「あなたにプロポーズをするつもりだわ」


「は?」




















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