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ジュリエットは怨恨の心を知る7

 相原にぶつけられ有太郎は前に倒れこんでしまい、前にいた西村に勢いよく寄りかかってしまった。


 「おっと。大丈夫ですか?」


 西村は慌てることなく有太郎を抱きとめ、倒れないように支える。落ち着いた所作もあり、有太郎は体勢を直すことができた。有太郎はそのまま西村の手を握り、礼を言う。


 「ありがとうございます。おかげでコケずに済みました。」

 「私も注意不足でした、大変申し訳ありません。西村さんもありがとうございます。」


 西村は笑うと、やんわりと有太郎の手を外し言った。


 「いえ、それほどのことではありません。あと有木さんはあまり女性に触らない方がいいですよ。変に思われるだけですから。」

 「あっ、はい。」


 そのまま西村は有太郎から距離をとると、自身の肩にカバンをかけそのまま部屋から出ていった。有太郎はじっと自身の手を見つめている。一連の流れを見ていた他の3人も荷物を取るとそそくさと部屋から出た。


 有太郎は緊張を解くように息を吐きだした。それを見た明星は笑いながら話しかける。


 「彼女に惚れましたか?」

 「そんなわけないでしょ。…はぁ、これで誰が犯人かわかったんですか?私疲れたんですけど。」

 「まあ、目星は付けましたよ。まだ証拠はないですけど。じゃあ行きますよ。」

 「行くってどこに?私も行かないといけないんですか?」

 「そりゃ犯人のところへ。あと次に怪しいのキミですからね。ちゃぁんとついてきてください。」

 「ええ…。」


 明星が部屋から出ていく。有太郎は慌ててついていくと、明星がごく普通の車に乗り込んでいた。よく見ると相川が運転している。どうやら部下に車を用意するよう言っていたらしい。有太郎も乗り込むとそのまま車はどこかに向け走り始めた。





 やっと解放された後、すぐにタクシー会社に電話を入れ一台寄越すように伝える。元々は電車で戻るつもりだったが、やはりあのようなことがあった後だと電車もしばらく止まっているらしい。それは困る。警察にあの女が犯人でないことに気づかれる前に急いで移動しなくてはならないのだ。


 幸いタクシーはすぐに来たため、素早く乗り込み行き先を伝える。タクシーは夜の街を走るが、駅前を通っていると彼と来たことのある場所のそばを何度か通過した。


 …結局悪いのは誰なのだろうか。私と彼の世界に入ろうとするあの女?私だけを愛してくれない彼?


 そういえばどうして私はあの女を殺そうと思わなかったのだろう。あの女さえいなければ、また私と彼だけになれるのに。

いや違う。元々彼は私以外に恋していた。そのあと彼は私のものになって、再び私以外のものにもなろうとした。私たちだけになってもまた彼は他の女に恋をする?だから?


 ああそうか。結局悪いのはこの世界か。


 一夫多妻を認めるこの世界が。





 電車に乗り込んだ駅に着きタクシーから降りると、駅地下の駐車場に向かう。私の車に乗り込むと細く息を吐いた。やや睡魔が襲うも首を振って払いのけ、バックを開ける。三重底を開け血の付いたナイフを取り出すと助手席に放った。流石にこれを持ったまま空港を通り抜けられない。そのままグローブボックスからインド行きの航空券を取り出した。それを確認し空港に向かおうとキーを差し込んだところで、複数の車からライトが放たれ私を照らしあげた。急なそれに目を細めていると、見覚えのある人影が現れる。


 「いやー、どこから出したのですか?所持品検査はしっかりやってもらわないと困っちゃうなぁ。…まあボクのおかげでリカバリーできたのですけどね!」


よろしければ、評価、感想などよろしくお願いします。

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