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ジュリエットは怨恨の心を知る3

 男性専用車両という制度がある。前述の通り女性から男性に対する性加害が頻発しているため、電車内の男性保護の観点から女性の侵入を禁止された車両のことだ。後から私も知ったことなのだが、通常車両での女性による痴漢行為などの犯罪は8割強の確率で発生するらしく、今まで私が痴漢にあってこなかったのはなかなかの幸運なことであったのだ。


 「でもどうして被害者男性は通常車両の方にいたのでしょうか?」


 そのようなこともあり、私のような場合を除き男性が通常車両に乗ることはほぼない。だがどうして被害にあった男性は通常車両に乗っていたのだろうか。


 「判断材料が乏しいです。事件や男性についてわかっていることをボクに教えてくれますか?相川さん?」


 白黒の美少女が相川に尋ねる。相川はうなずくと男性について話始めた。


 「被害にあった男性ですが、身分のわかるものはなく名前などはわかりませんでした。先ほどあった病院からの連絡で、首元に二か所の刺し傷があり、死亡が確認されたとのことです。」

 「刺し傷の深さは?」

 「10センチほど。おそらく凶器はナイフのようなものでしょうね。」


 淡々と男性についての情報を話す相川。聞いたところ男性が通常車両にいたことにつながりそうな手掛かりはないようだった。そこで相川があっ、という声を漏らす。


 「そういやもう一つ報告が。」

 「それは?」

 「被害者の左手薬指に指輪の跡があったらしいです。」

 「指輪の跡?左手薬指?指輪自体はなかったのですか?」

 「指輪の跡だけしかなかったようです。現場も探してみたらしいですが、それらしきものは落ちてなかったようです。」

 「…被害者の所持品ってまだありますか?ちょっと見てみたいのですが。」

 「カバンがまだありますけど、個人を特定できるようなものはなかったですよ。あと指紋つけないようにしてくださいね。」


 相川と白黒の美少女はカバンを確認しに行くのかその場を離れていった。急に始まった捜査のためか張りつめていた空気が少し緩まった。それをみて緑のおばさん、高原が声を上げる。


 「何よ!あの小娘!いけ好かないわ!自分が王様みたいに振舞って!」

 「でも、あの子が犯人を見つけてくれるみたいですし…。」

 「はぁ!?私やってないもの!ほかのやつが犯人なんだから、他だけでやったらいいじゃない!私は帰らせてほしいわ!」


 激しく声を荒げる高原。再びヒートアップした様子だったが、ふと考え付いたのか私の方に向くと叫び始めた。え?私?


 「なんであんた普通の電車の中にいたのよ!さっき変な理由言ってたけどそんなわけないじゃない!」

 「いや本当にそういう理由で…。」

 「そんな奴いるもんですか!適当に言い訳言っただけじゃないの!普通の電車に男が二人いるのも怪しいし、あんたが犯人なんでしょ!」

 「ちょっと落ち着いて…。」


 ヒステリックに持論を叫ぶ高原。それを周りが落ち着かせようとするが、焼け石に水のようだった。今度は美人OLの西村が話始める。


 「確かに男性が二人も同じ普通の車両にいるなんて見たことないですね。何かつながりがあるのか疑いたくなっちゃうのもわかります。」

 「でしょ!」


 どうやら西村も私のことを疑っているようだった。その言葉を聞いたからか一気に周りの私を見る目が変わる。ちょっとこれはまずいかもしれない。


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