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演技

 双子はそれから躊躇なく針のマシンガンをメメに浴びせる。メメは最初に受けた膝裏のダメージで素早く動けず、丸まって耐えることしか出来ずにいた。

 何十本にも及ぶ針の攻撃、メメからは力が抜け、その場でぐったりと倒れてしまう。



「...まぁこんなものですね。いくら鬣犬のリーダーと言えどこの程度、結局一対一で名を馳せた者ということですね。連携が取れた狩人には一矢報いることも出来ないものです。」



 壱と弐は同時にぐったりとしているメメに近付いていた。足元へ来てもピクリともしないメメに壱は後頭部に唾を吐き捨て、針を首元へ目掛けて振り下ろす。


 刺さる間際になってメメは横方向へ転がり攻撃を避けると、腕の力で飛んで壱の胸元へ斧を振った。

 こんな反撃があると想定していたのか、壱はギリギリ避けるがメメの対応力も凄まじく、無理だと判断したらもっとリーチがある足で壱を蹴り抜く。


 足裏は壱の腹にクリーンヒット、唾を吐き散らしながら後ろへ倒れ、蹴った反動で弐に急接近し、メメの斧は弐の首を捉えた。


 弐の首は切断されて空へ飛ばされるが、メメは感じ取った違和感に冷や汗をかいた。

 切り抜いた感触は肉ではなく木材に近く、切られてから血も吹き出さない。わずかな時間で見た弐の断面図は枠は木、中心に空洞があり、そこに針がギッシリと詰められていた。



 ――な、なんやこれ!?やっぱ人間じゃ



 驚愕したその瞬間、敷き詰められていた針が一斉に飛び出し、メメの上半身に襲いかかる。メメは顔をガードするが針を浴び、仰向けに倒れた。

 背中に刺さっていた針は地面に押し上げられ中に侵入、メメは血反吐を吐いてピクピクと痙攣していた。



「ふふふっ、どうでしたか?凄いでしょ?私の個性魔法・人形劇オリジナルマジック・ドールは。弐と呼んでいたのはボロい魔具人形、私の魔法で姿形を変え自由に動かすことができるんです。

 声すら出せるのもよく出来た魔法だと自分で感心してますよ。」



 壱は倒れているメメに近付き、顔をじっと見下ろして観察をする。息が弱く意識が何とか保てていると壱は判断、あからさまに口角を上げてメメの上へ跨り、針をメメの頬へゆっくりと突き刺した。


 それでもメメは抵抗出来ず苦痛の声を漏らすだけだった。



「あら?顔が思ったより綺麗なままですね?ならもっと傷だらけになってもらわないと。世間体では中々の実力者と認識なので、傷だらけになってもらわないと歴戦の猛者感がないのでね。これから貴女を肉便器にするお客様に萎えてもらっても仕方が無いので。

 取り敢えず....片方の目を潰しときましょうか。」




 メメの顔を支え、薄笑いを浮かべながら壱は針をゆっくりと目に向かって下ろす。その間メメは何も出来ず、近付いてくる針を見つめていた。

 もうそろそろ刺さるという距離感でメメは素早く顔を動かして針を避ける。こんな素早く力強い動きをすることを想像していなかったのか、メメの顔を支えた手はただ置いておいただけ。彼女の顔を固定するほどの力は込められておらず、簡単に動かされ、メメは壱の右目に噛み付く。


 壱がアクションする暇なくメメは皮や肉ごと右目を噛みきった。



「ぎゃぁぁあああああ!!!!」



 壱はメメから離れ、地面に転がりながら負傷した右目を両手で抑えていた。激痛がじんわりと襲いかかり、絶叫すればするほど鮮血が両手から溢れていた。


 メメは先程の痙攣が無かったかのように平然と立ち上がり、壱の欠けた右目を口で遊びながら歩み寄ってくる。

 その足音に反応し、壱は泣きながらも針を持ち、メメに投げようとすると視界がいきなり真っ赤に染まった。


 メメは口に溜まった壱の血肉を残っていた左目に吐き捨て、視界が染まってるうちに蹴りを顔の中心に放った。

 先程まで痙攣していた人間とは思えないほど綺麗で強力な蹴りで壱の鼻は折れて、逆にピクピクと痙攣してその場で仰向けに倒れてしまう。



「全部演技だよアホ。あんたらは私らの命を取らないのは最初に言っとったし、武器が針だからね。めちゃくちゃ楽やったわ。素早そうやったしダメージくらうのは癪やけど、こっちの方が手っ取り早いしな。

 しっかし、相変わらずお前らは不味いな〜。」



 メメはゆっくりと壱へ近付き、両腕を膝で固定。先程のメメのように演技からの反撃が無いよう、両手でガッチリと壱の顔を掴んだ。

 先程の逆の立場で壱は涙を流して口をわなわなと震わしていた。



「や、やめて....お願いします...た、助けて。」

「ダメなのはあんたが一番知っとるやろ?これからあんたは私に殺される。そして宣告しとるけど言ったよな?"今までやってきたことを後悔するくらいの地獄みしたる"って。」



 壱はそんな死刑宣告にガチガチと歯を震わし、恐怖のあまり尿がだらしなくも漏れだした。



「私の魔法教えたる。私は個性魔法・強噛オリジナルマジック・バンティング。まぁ噛む力がメッチャ強くなるってこった。

 あんたの処刑方法なんやけど、私の魔法を使う。あんたの顔の表面を食い散らしたるわ。」



 その言葉に壱は絶望し、必死に離れようとするがメメはガッシリと身体や顔を固定しているため身動きが取れない。



「あんたがすぐ死なんように浅く喰ったる。安心してな、左目だけは喰わんでやる。よ〜く自分がされてるのが分かるようにな〜?」

「お、お願いします!改心しますから!貴女の配下になりますから助けて!」

「私はあんた見たいなやつ間違っても仲間に入れたくないし、ステア姉さんとは違うんよ。改心すんなら来世でする事やな。じゃあ....いただきます。」



 メメは赤く染った尖る歯を露わにし、大きく口を開けて近付く。

 メメの歯は左目下と右目下を捉え、表面を削り取るかのように噛み切る。鼻も一緒に食いちぎられ、壱に気を失ってしまうような激痛が襲いかかる。


 そこからメメはペースアップで口を動かす。まるでトウモロコシを食うかのようにガツガツと浅く表面を食い散らかした。


 壱の顔から皮膚が無くなり、激痛で暴れた力が無くなった時にはメメの顔は鮮血に染まっていた。

 完全に白目を向いて血の泡をブクブクと出していたのを確認すると、メメは最後に壱の首を噛みちぎり、ゆっくりと離れた。



「ふぅ〜、これが戦争やったら終わりなんやろうけど、今やっとんのは戦争じゃなくて虐殺や。ここに居るヤツら誰一人として逃がさんよ。」



 黒爪(ブラッククロー)は最初の時より半分近く倒れており、鬣犬メンバーは未だ一人しか脱落していない。だが、スタミナとダメージの蓄積で誰しもが疲れを顕にしていた。



 そんなメンバーに情勢する為、メメは戦闘中というのに笑顔が漏れ、闘志を震え上げた。

 しかし、その笑みはふっと消え失せ、それと同時に戦場の攻撃の手がピタリと止まり、ある方向を全員見つめていた。


 メメの燃える闘志すら消し去り、逆に冷や汗をかかせる程の悪寒。全員が見つめる先には気が重くなる程の異質で強力な魔力を感じていた。


 だが、メメは魔力の他に別に気になることがあった。



「あっちは...サチコちゃんらが逃げた方向やんか....」



 まだまだ膨れ上がる異質な魔力と悪い予感。メメは戦場をメンバーに任せ、その魔力の中心へと足を急がせた。


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