穢れ
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一方、シアラはシンドムら五人に追われながらも未だ捕まっていなかった。彼女の個性魔法を頼りに、彼らから逃げられる道を全速力で走っていた。
すると、ある地点でシアラは顔を真っ青にし、立ち止まる。シアラが辿り着いたのは行き止まりだった。
「な、なんで?これじゃあ逃げられない!」
慌てながらシアラは予知を行うが、最早逃げ道などなかった。混乱していると、シンドム達が息を荒らげながらシアラを追い詰める。唯一の出口はシンドム達の背中に伸びる狭い一本道をのみだ。
「はぁ...ようやくご対面だねぇー。まぁ、そんな気に病むことないですよ。こうやって追い詰めるのは一年くらい前から計算してたんですよ。他に繋がる道を潰しながらここへ辿り着けさせるってねぇー。」
「な、何のためにそんなことをするんですか!?貴方達の目的は一体....」
「鈍すぎですよーシアラちゃーん。そんなん、俺らと楽しく遊ぼうってお誘いに決まってるじゃないですかー。楽しく、十五人の為に身体を張って下さいよー。憐れな俺達に救いをねー。ついでに、これもキメちゃってさ。」
そう言いながらシンドムは汚い歯をチラつかせながら右腕に注射らしき物を打つサインをする。それだけでシアラは彼らがどういった者達なのか理解した。
「貴方達...子供を利用しただけでなく....なんて事を...」
「そりゃあ純清楚なシアラちゃんから見たら俺らは汚らしいけどよぉー?汚くなるのも案外楽しいんだぜ?これから俺達と毎晩ピストン運動頑張ろーな?シアラちゃーーーーん。」
シンドム含む五人はゆっくりとシアラに近付く。武器などは全て捨て、彼女を捕まえ、彼女の身体を堪能することばかり考え、全員の性器がズボンに突起を生み出した。
「嫌...やめて....来ないでください!!」
行き止まりに背を預け、恐怖に顔を歪めるシアラに容赦なく、シンドム達は近付いていくのだった。
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そんな彼女の危機を悟ったのか、サチコには最早理性などなかった。彼女が持ち合わせていた正義感や良心など全て消し飛び、シアラに危害を加えようとするゴロツキチームをゴミ以下だと判断。
この時のサチコは、いつしか黒爪を皆殺しにしようとしていた鬣犬の気持ちを理解した。
サチコは一番近くで痙攣して倒れているゴロツキに近付き、右手を広げて大きく振りかぶる。その手には膨大な魔力が込められていた。
「やめて!.......サッチー!!」
サチコの魔法に侵されながらもリーヤは叫ぶ。しかし、その言葉は左から右へと抜ける。今のサチコにとっては友の言葉は雑音でしかなかった。
「...シアラさんを怖がらせた報い....アンタらをすぐに終わらせて、シアラさんを追いかけてるヤツらも全員...私が....」
サチコは眉間に皺を寄せ、右手の爪を立てると男に向かって思い切り振り下ろす。
しかし、当たる直前でサチコの右腕は目に見えぬ何かで弾かれて阻止される。それと同時にサチコの霧の領域に何かが侵入、その者から放たれる魔力はリーヤはよく知っていた。
「お兄ちゃん...」
「サチコ...何をやってる。....リーヤから緊急合図があったから....来てみれば......これは....一体どういう状況だ...」
現れたのはラーズ。魔防を生成しつつ、口から霧が入らないようにと上着をマスク代わりに口で当てていた。
「...ラーズさん。邪魔しないでください。こいつらはシアラさんを捕まえようとして怖がらせたんです。今もシアラさんはコイツらの仲間から逃げて....」
「......本当なのか?...リーヤ。」
明らかに正常ではないサチコの言葉を確認するようにリーヤに声をかける。リーヤは苦しそうにしながらもこくりと頷いた。
「そうか....それでサチコ...お前はこいつらを.......どうしようとしたんだ?...俺には殺そうとしてたと」
「当たり前じゃないですか!この人らはシアラさんを怖がらせた愚図ですよ?この人達はシアラさんを襲って...そんな人の不幸を量産するようなゴミは無くさないと....」
「....ロアは教えてくれたりは....しなかったのか?....復国軍である以上...人を殺める事は有り得るが....命を尊重し....無駄に血を流させないと...」
そんな彼の言葉でサチコはロアとの教育で学んだこと、そして裏奴隷後のステアの言葉を思い出した。憎悪で染まりきっていた黒い心がズキっと痛む。
「....俺はその事を全うしようと...する。....だから...サチコのやろうとしていた事は...見逃せないし許せない...必ず止める。....俺と戦おうとしたら...シアラの救助所ではなくなる...どうする?」
その言葉にサチコは何も答えなかった。しかしラーズを睨んでいた目つきは変わり、戦意が無いのは明らか。すると、サチコはラーズの横を通り過ぎ、リーヤに近付いた。
「....シアラさんは何処?」
「へ?...サッチー?」
サチコの魔力を至近距離で浴びせられ、まともに思考が纏まらないリーヤ。そんな彼女に苛立ちを覚えたサチコは彼女の両肩を力強く掴んだ。
そんな彼女の変貌にリーヤは目を見開いて恐怖を色濃く表情で表した。
「シアラさんは何処なの!!?早く教えてよ!!」
「.......このまま.........ま...真っ直ぐ行けば....」
サチコに対しての恐怖が限界を超えたリーヤは声を震わしながら涙をポロポロと流した。震える手で指さした方をサチコは確認し、リーヤから手を離すと再びラーズの横を通り過ぎようとする。だが、そこでラーズの腕が伸びてきてサチコの邪魔をした。
「....待てサチコ....落ち着け。....そのままでシアラに...会うつもりか?......シアラは大丈夫だ。...それと....リーヤに謝ってくれ。」
「...謝る?そんなの後でいいじゃないですか。...それよりもシアラさんを」
「シアラは大丈夫だと....言った筈だ。....お前は感情型...俺達のようにすぐに...魔力を引っ込める事は出来ない....冷静さが必要だ。」
その言葉にサチコはラーズを睨みつけ、目の前に伸びてる腕を掴み、思い切り突き放す。咄嗟の行動と力にラーズは目を見開き、唾を飲み込む。そんな彼に追い討ちをかけるように魔力を溢れさせ、サチコは更に鋭い眼光で睨んだ。
「なんなんですか!!リーヤちゃんもラーズさんも!シアラさんは大丈夫大丈夫大丈夫!!!大丈夫な訳ないでしょ!!?どうせ、命は取られないとかそんな次元の話なんでしょ!?そんなんじゃないの!!」
「落ち着け....サチコ。...冷静になれ....」
「私は至って冷静ですよ!シアラさんに私は身も心も救ってもらった!!そんな人が傷付く姿は見たくないの!!レイプされた人の気持ち分かります!?分かるわけないですよね!!身も心も壊される痛みも恐怖もアンタなんかに分かりっこない!!!」
そう言い放つとサチコは全速力で走っていく。後ろでラーズの声と追ってくる足音があるが、サチコは構わずひたすら前へと走っていく。
そして走りながら自分の言い放った言葉を思い返し、自分の辛い過去を思い出し、それをシアラと重ね合わせてしまう。
泣きじゃくるシアラを抑えつけ、大勢の男性が欲にまみれて周りを囲み、無理矢理裸にさせられて犯させる。
そんなシアラの姿を想像する度に涙と嗚咽が込み上げる。転びそうになってもひたすら前へと進み、ひたすらシアラの無事を願っていた。
――シアラさん!シアラさん!お願い神様!シアラさんは穢さないで!!私ならどうなってもいいから、シアラさんだけは!
そんな思いに答えるかのように、右腕斜め前から魔力を感知した。サチコはシアラがいると咄嗟に思い、走っている道を突き進むのを辞め、家と家の人一人ギリギリ通れる程の細道に侵入する。
ホコリやゴミにまみれていてもお構い無し、細道を抜け、再び一本道になっている道を突き進む。感じてくる魔力までもう一息というところまで来た。
――シアラさん!シアラさん!シアラさん!シアラさん!!
「シアラさん!!!」
サチコは心の叫びを声に出し、細い道を抜けた先の行き止まりの空間へと飛び出た。呼吸を荒らげながらサチコは顔を上げると、すぐに飛び込んできた光景にサチコは目を見開いた。
「.......シアラ...さん?」




