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黒の駒〜呪いで世界を平穏に〜  作者: 矢凪川 蓮
最悪の祭りの日
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怪しげな集団

 ナグイを指で押し込みながら説明するようにラーズは言った。クッションを押しているように指が埋まり、それは興奮状態のサチコにとっては更なる興奮をもたらすご褒美だ。



「わぁ!凄く柔らかそう!私も触ってもいいですか!?」

「あぁ....だが、頭の方は辞めておけ。....硬いし小さい歯もある...噛まれたら怪我をするからな。」




 そう言ってラーズは立ち上がり、サチコに席を空け渡すように一歩下がって身を引く。サチコはウッキウキでラーズの前にしゃがみこみ、そーっと指で触ってみる。

 女性の肌のように滑らかで、押し込んでみるとラーズ同様指が埋まる。しかし、触って始めて分かる弾力と魚の鼓動が何とも新鮮だった。



「わぁ〜!本当にプニプニしてる〜!可愛いな〜。」



 与えられた玩具に夢中になる子供のように、サチコは生きている魚に触るという体験に夢中になっていた。

 しかし、ナグイには余程のストレスが溜まったのか、ビチビチと嫌がるように跳ね始める。



「キャッ!!」



 急なナグイの反撃にサチコは驚き、小さい悲鳴を上げながら飛び跳ね、後ろへ逃げた。すると、結果的にラーズにぶつかり、ラーズはそんな彼女を思わず受け止める。


 ラーズにぶつかり、肩には彼の手の感触が伝わる。視界はラーズの服で埋まり、瞬時に彼の腕の中にいるという事が分かり、サチコは心臓が飛び跳ねて身体がカーッと熱くなる。

 だが、咄嗟にそこからは逃げれなかった。驚きすぎると身動きが取れないのかも知れないが、サチコはゆっくりと目を丸くしているラーズを見る。



「ご、ごめんな....さい.......」

「あ...いや....別に.......」



 そこからはお互い言葉が出なかったし、離れようともしなかった。赤面同士の見つめ合いがまるで時が止まったのような感覚に陥り、二人は互いの顔を見ることしか出来ない。


 そこでサチコは視界端で動くものが見え、ふとそちらを見てみると、そこには木の後ろからこちらの様子を見ているリーヤとシアラを発見。二人ともニマニマと笑っており、サチコは口をポカーンとして固まる。

 そんな彼女の変化に気が付き、ラーズも後ろを振り向いた。



「リーヤ...シアラ....二人共そんなところで何してる。」

「ううん〜?別に〜?ただ〜、二人ともすんごい仲良さそうだな〜って思って〜。ね!?シーチャ!ウチの言った通りでしょ!?」

「え!?り、リーヤちゃん!!シアラさんに喋ったの!!?」



 リーヤの言葉にサチコの時は動き出し、ラーズの腕の中をすぐに離れる。驚愕するサチコを前にしてもリーヤのニヤケは収まらない。




「ん〜?なんのことだろ〜?シーチャ、ウチなんか変なこと言ったっけ〜?」

「いいえ〜?言ってませんよ〜?ただ〜、噂話は聞きましたから。お二人共...噂通り仲が良くて、すっごくお似合いですね!」

「ち、違いますから!私そんなんじゃないんですから!!」



 おちょくる二人にサチコは顔を真っ赤に染め上げ、急いで誤解を無くそうと走って行った。女子三人がキャーキャー興奮しているのを見ていたラーズは、何のことなのかさっぱり分からなく、首の裏を軽く齧りながら釣ったナグイを籠に入れた。


 すると、女子の輪を抜けてリーヤが近付いてきた。



「お兄ちゃん!どう?お魚結構釣れた?」



 そう言われてラーズは籠の中を見せる。中にはナグイ一匹のみ、大漁には程遠い。



「あちゃー...まぁしょうがないよね!急だったし、餌とかも代用品みたいな感じでしょ?」

「あぁ...まぁ、一匹でも釣れたら御の字か....」

「そ・れ・よ・り!あんな大胆になるなんて....お兄ちゃんやる〜!このこの〜!!」



 リーヤは嬉しそうに右肘でラーズを突く。そんなテンション最高の妹に対し、兄は何とも言えない顔で首を傾げていた。



「全然釣れなかった中でのナグイだからな....ちょっと豪快に釣り上げすぎたか。...一匹だけで色々言われるかと思っていたが....そうでも無さそうで良かったよ。」

「あ、いや、そういうんじゃないんだけど...」



 そんなリーヤの反応に対しても、ラーズは更に顔を曇らせてパッとしていないのは明らか。その鈍感さにリーヤは思わず頭を抱えた。



「はぁ〜...あ!そういえばさ、サッチーにウチらのこと....」

「あぁ....全部話した。....後、シアラの事も頼んでおいた。...快く受けてくれたよ。」

「そっか〜。良かったぁ〜。」



 溜息を吐くかのように安堵したリーヤはサチコの方を見る。シアラがおちょくっているのか笑っており、サチコは困りつつ説明している。そんな様子を見て、彼女は微笑んだ。



「...シーチャは前みたいに戻ったけど、まだ心の底で固く閉じてる扉があるのが分かる。それを解けるのは...多分、ウチらじゃなくてサッチーな気がするんだ。ちょっと悔しいけどね。」

「あぁ...そうだな。」


 悔しいと言ってもリーヤの笑顔は変わらない。ラーズは彼女の頭を撫でながら、同じく二人の方を見つめるのだった。



 四人はその後、収穫した荷物を均等に分担し、協力してその湖を後にする。野宿で一夜を過ごし、目的の場所に向けて移動。陽の光が落ちていき、夕焼けが辺りを照らした頃、四人は目的地であるデモーノ街へ到着した。


 遠くから見る印象通り、建造物も結構傷んでおり、時々見かける人々も活気が低い。エルブレト街より更に王国から見放された街に思え、サチコは嫌な気分になるが頭を横に振ってそんな考えは捨てた。



 ――ダメダメ!変に嫌な気分になってたら三人にも伝わっちゃう。それに、今日は祭りなんだ。こんな景色を忘れちゃうくらい活気になるに決まってるよ!



 サチコはそう自分に言い聞かせ、数時間後の楽しい祭りの雰囲気を想像していた。



 

 四人が街の中心へと向かっている道中、高く積み上げられた集合住宅の中から観察してくる者らがいた。

 ニヤニヤと口角を上げた男性二人。酒の瓶を片手に吸引魔具で装着してある瓶の中から半透明の煙を吸い上げ、顔を蕩けさせていた。



「あはは。シンドムさん、やっぱ俺達イカれてたんじゃねぇや!見てくだせぇ!例の修道院いますぜぇ〜?」



 二人の中の一人がヘラヘラしながら報告すると、一人の背の高い男性が近付いてきた。ボロボロのシャツにボロボロの茶色いズボン、髪は女性のように長いがボサボサで、顎と頬には無償髭。オマケに所々大きなニキビがあり、歯も欠けて黒ずんでいた。


 女性に嫌われる要素大集合のような男性は、吸引魔具を吸いながら報告された方角を見ると、目を見開いた。



「かぁ〜!マジか〜!幻覚じゃねぇよなぁ〜?」

「全員同じ幻覚なんて見ませんよぉ〜。ほら、お天気様もそう言ってますよ〜?うんうん...そうですよね〜。ふざけんなぁ!!」



 報告した男は急にキレながら酒瓶を窓から放り投げる。そしてそんな男を落ち着かせるように隣にいた茶髪の男が吸引魔具を男に吸わせると、男は目の焦点が会わずに幸せそうにしていた。



「へへへ...こいつはお祝いですな!シンドムさん、例の高いブツ、皆で吸いましょうや〜。」

「バッカ!そうじゃねぇ〜だろ〜?吸うタイミングは今決めたぁ〜!」

「いつっすか〜?もう待てないんすけど〜。」

「決まってんだろ〜?あの修道院様をブチ犯してる時に吸うんだよ〜!!最っ高に気持ちいいに決まってるよなそんなの!!」




 シンドムは両手を広げながら不器用に跳ね始めて宣言をする。そんな奇行に茶髪の男は気にせず、彼の発言だけに注目した。



「うぉ〜!最高じゃんかそれ!!じゃあ、今日やんのか!?」

「当たり前だろ!?あんな薄い服越しにあんなエロい身体してんの見てたら興奮して夜も寝れねぇってか!?いっっつも変な連中と一緒に居るから手は出せなかったが...今日は人が少ねぇ!しかも男一人!!やるしかねぇだろ!!

 ん?ヤる?犯る?どれもか!カカカ!!」

「よっしゃー!じゃあ今日は修道院様拉致って仲間全員で回しながら例のブツ吸引会!!総勢十六名の大乱交だ!!一対十五の...ギャハハハハ!!俺、早速他のやつに声かけるわ〜!神の御加護に感謝ってか!?」

「おう!神様、最高のプレゼントありがとってな〜!!」



 シンドムは急いで部屋を出ていく茶髪の男を見送ると、近くにもう一人の男が吸引魔具に夢中になっているにも関わらず、その場でズボンを脱いだ。

 窓の外を見ると、遠くには出会った住民と楽しそうに話しているシアラ。


 そんな彼女の身体を目に焼きつけるかのように凝視し、下着を脱ぎ捨て、爪が伸びて骨が浮きでている手を股間へと伸ばす。


 シアラの芸術的で美しい顔、服を破かんばかりに大きく膨れている胸、そこから下へ移り、引き締まった腰に柔らかそうな尻と太もも、足元まで舐め回すように見る。呼吸が荒くなり、酸素の代わりに吸引魔具を吸う。

 白目寸前で頭がボーッとしていると、すぐに訪れる絶頂。身体がビクッと跳ね、パタパタと体液が窓枠にかかり、口に溜まっていたヨダレが床へと落ちていく。


 絶頂寸前に想像していたのは、泣きじゃくるシアラを強姦している光景なのかは愚問であった。


 

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