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オマケ参・サチコの趣味①

――――――――――――――――――――――――




 綺麗な服、綺麗な靴、化粧までして買い物を楽しんでいる者達が通る道の端に、身を縮こませながらサチコはヨロヨロと歩いていた。

 誰かに当たってしまうことを恐れ、変に絡まれないように注意しながら商店街を歩いていた。



 ――はぁ...『折角帝都に来たから買い物でもしてきなよ〜』って言われて追い出されたけど、急に言わないでよエンスさん....リーヤちゃんが買い物行って少し経ってから言うもんだから、一緒に行くことも出来ずに一人ぼっち。ノトレムさんは寝てるし、エンスさんは先にどっか行っちゃうし...心細いよ〜。



 孤独を感じれば感じる程、溜め息の質も上がり回数も増える。どんよりと負のオーラを発しながら、周りをキョロキョロ見てリーヤとエンスを探すが、そう都合よく見つかるはずもなかった。



 ――エンスさんも立ち直るの早いよね〜。そこら辺は流石っていうか、見習わなきゃ。でも、一人ぼっちで私を置いてくってどうなの?この世界のこと殆ど知らないのにそれはあまりに....



 エンスの身勝手さに腹を立たせながらも、サチコは諦めずに二人を探していた。すると、ある店を見つけ、サチコは二人のことを忘れてふらっとその店の前に立つ。


 そこは本屋だった。窓から中を見てみると、案の定本が沢山置いてあった。



 ――リーヤちゃんは居ないだろうけど、エンスさんって何か読書好きそうなイメージあるし居るかも。

 ....それに、もしかしたら私とレイナさんがこの世界に来るキッカケになったあの黒い本。あれが、あるかも....



 もしあった場合、サチコはまだこの世界から離れようとは思わなかった。日本より刺激的で楽しいこの世界を離れたくはない。だが、いつか帰る時が来るかとしれないと思ったサチコは、心臓の鼓動をより強く感じながら店に入店する。



 店に入るとすぐ真横にあるカウンターにいた女性店員と目が合うが、サチコが下級国民と分かると嫌な顔をして舌打ちをする。

 嫌な気持ちになりつつ小さくペコペコ頭を下げ、店内で上級国民とすれ違う度に睨まれ、また頭を下げていた。



 ――はぁ....もうやだよこんな所...黒い本は諦めて、エンスさんがいるかどうか確認取れたらすぐ出ようかな...



 サチコはそう思いながらエンスを探し、黒い本はついてで探していた。店内はそこそこの広さだったが、そこにはエンスの姿が見えず、黒い本も諦めて店を出ようとしたその時、サチコは一つの本棚を見て目を見開いた。



「こ、これって...まさか...」



 強烈な誘惑がサチコを包み、震える手を伸ばしながらサチコはその本棚へと向かっていくのだった。



 それから少しして、サチコがいた商店街にはリーヤがいた。サチコと同じように道の端を歩いているものの、彼女とは違い買い物を楽しんでいた。

 嫌な思いもするが、リーヤにとってはそれは慣れっこ。好きなものを買ったことでそんな不満は消え去っていく。



 ――久しぶりの帝都だからね〜、結構色々買っちゃった。えっと...皆の分も買ってあるよね?ノットーには激かわカップ、バカエンスは古時計...確かアイツこんなの好きだったよね?で、サッチーには....迷惑かな?レイレイが付けてた香水。サッチー結構繊細そうだから心配だな〜。



 下水道を歩いていた際にこっそり聞いていたリーヤ、買った香水をバックから取り出して見つめ、サチコに渡していいものか迷っていた。


 すると、リーヤの目に本屋から出てきた上級国民が見えた。クスクスと何かを嘲笑うように出ていき、変な笑い声をあげて本屋に入ってく上級国民もおり、何かの度胸試しのようにリーヤは感じる。



 ――なんだろ?何かイベントでもやってるのかな〜?



 リーヤは不思議に思いつつも興味が湧き、その本屋に入店してみる。店の雰囲気は別に何か特別感はなかったが、店内にいる上級国民はこぞってある方向見つつクスクス笑っていた。


 リーヤはその上級国民達の目線に合わせてみると、その先にはサチコがいた。ある本を手に取り、立ち読みしてヘラヘラ笑っている。



 ――サッチー?何読んでるんだろ...というか止めないと。めちゃくちゃ視線集めちゃってるよ〜。



 上級国民の目線を気にしつつ、リーヤはサチコに近付いて声をかける。



「サッチー、何読んでるの?めちゃくちゃ注目されてるからやめた方がいいよ〜。」



 そう声を掛けてもサチコはリーヤに気が付かなかった。首を傾げつつリーヤは近付くと、サチコはかなり夢中になっている様子だった。本の内容に全ての意思が向けられ、だらしなく口角をあげ、変な笑い声を漏らしている。



「?さ、サッチー?どうしたの?一体何読んで...」



 表紙を覗いたのと同時にリーヤの言葉が止まる。サチコが読んでいたのは人間×狼獣人とのBL本だった。そしてふとリーヤは目の前の本棚を見るとそこはBLコーナーだった。


 人の視線が集まっている理由が全て分かったリーヤは頭を抱え、早くこの場から離れなければという使命感を感じた。



「....うひ...ひひ...」

「さ、サッチー??」

「...ぁあ....すっごい...エロすぎ.......」

「サッチー!ねぇ〜、サッチーってば〜!」



 リーヤはサチコの肩を強くゆさぶった上でサチコの目の前に手を翳した。そこでようやくサチコは気が付き、驚いて身体が跳ねた。



「キャッ!!?...え、えぇ!?り、リーヤちゃん!?いや、こ、こここ、これは違うの!全然違うの!!た、たま、たまたた、たまたま見つけちゃって取っちゃっただけで、本当は隣のこっち!こっち読みたかったの!!」



 まるで浮気現場に突入されたかのような動揺っぷりを出しながら、サチコは何も見ずに適当に本を手に取り、リーヤに見せる。

 



「....いや、そっちの方が不味いよ。」

「え?」



 この世の物を見るとは思えない目をしている彼女を不思議に思い、その本を見てみる。

 サチコが取り出したのは、おじいちゃん×おじいちゃんのGL本だった。



「え!?何これ!?

 ち、違うって!これは違くて...あ、あぁ!!ああそうだよ!!私はBLが好きなの!!何か悪いの!?!?」



 何故か勝手に観念したかのように望んでもいない暴露をされ、サチコの豹変ぶりにリーヤは動揺を通り越して恐怖さえ感じた。



「い、いや....悪いなんて一言も」

「いいや!言ってるよ!?目が言ってるもん!!穢らわしいもの見るかのような目で私を見てる!!誤魔化せないよぉ!?」



 ――サッチーってこんな一面持ってるんだ....あんなに控え目なのに...内に秘めてるもの凄まじいな〜。


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