表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/61

〜 プロムナード 〜

 

 こうして──ひとつの危機を乗り越え、大きな秘密を共有した私たちの関係は、一つ別のステージに変化していったように思う。

 この日を境に、私の魔法屋アンティークでのアルバイト生活は、一見順調に軌道に乗っていった──かのように思えた。


 実際、魔法屋のアルバイトの日々は本当に楽しかった。

 家に帰るのが惜しいくらいだった。

 少しずつ馴染みの人たちも増えていき、仕事も順調にこなせるようになっていった。

 なにより、ティーナやバレンシアと一緒に困難を突破して、大きな秘密を共有できたことが嬉しくて仕方なかった。

 私はティーナの秘密を知り、無邪気に喜んだ。

 なによりも深い絆ができたのだと──このときの私は錯覚・・していたのだ。


 だけど、私は何も知らなかった。

 知らな過ぎた。

 やっぱり私は世間知らずの、単なる甘ちゃんでしかなかったのだ。


 私は──すぐに思い知らされることになる。

 人の心の奥に渦巻く、どす黒い感情を。

 ティーナの──無表情の奥に隠された、本当の秘密を。


 なにより私は、自分自身のことすら何も分かっていなかったのだ。

 眼の前に容赦なく突きつけられる、逃れようのない現実を前に──綿菓子のように甘い私の認識は、徹底的に破壊されることになる。


 でもそれは、絶望や悲しみへの道筋ではなかった。

 私が、私であり続けるために必要な──茨の道なのだ。


 なにより──私が探し続けていた本当の『答え』は、その道の先にこそ存在していたのだから。


 全ての道が舗装されて歩きやすい訳じゃない。

 未舗装の道だって、歩きにくい道だってある。


 それでも私が自分で選択して、選んだ道であるなら──。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ