立場的に、貧乏な蝉
地中の中に住んで、六年。後、一年で出られる。しかし、もう出たくなってしまったのだ。
どうしよう…。今、出てっても、やれることなくて、どうしようもなく暇なだけだよ。それでも出たくなるのが、切ない虫心。俺だけ、だろうけど。
出てしまった。
「先輩、お外どうですか、楽しいですか?」
「お前、うるさい。黙っていろ。…俺には、後五日しか生きる時間がないんだ。今が大事なんだ。生きる中で。幼虫のお前には、分かんないだろうがな」
「分かりますよ。これでも、もう六年も生きてきたんですよ」
「バーカ。そういうことしか言えないってのが、ガキなんだよ。じゃあな」
「ああっ。飛んでっちゃった、幼虫は飛べないのに。…仕方ない土の中へと戻るか…」
終
来年は、君の年だ!!




