第四話 夢少年act2 虐殺
「ははっ!はははは!しねぇ!死ね死ね死ねきえろぉ!はっはっは!雑魚どもがぁ!」
狂気――そんな言葉が脳裏をよぎる。
彼らは思った。何故自分達が死ななければならないのか。何処で自分達は間違ったのか。
彼は思った。楽しい。これこそが俺の楽しみだ。一撃で殺せる爽快感。殺せば殺すだけレベルが上がっているのが分かる。どんどん自分が強くなる。どこからでもわいてきやがる。どれだけ殺しても満足することはない。まだまだ殺し足りないぞ。
「あ?もう終わりかよ。チッ!王国とかねぇかなぁ。ぶち壊してやんのに。」
そして彼は踵を返す。彼がいなくなったあと、そこには何も残されていなかった。
とある日。
ユウは日課である魔族狩りをしていた。
「なんかここら辺多いな。ま、すぐ殺せるから関係ないけど。」
そんなユウに近づく人影が。
「貴様が勇者か?」
「――だったらなんだ?」
「死んでもらおうか」
男は袖からククリナイフを取り出し振り下ろす。
ユウは反応できない。いや、反応しない。なぜならする必要がないから。ユウには生半可な攻撃じゃダメージは与えられない。
案の定男のナイフは弾かれる。
「さすが勇者と言ったところか。これならどうだ!」
男のナイフが薄く光る。光の色は燃えるような赤。鮮やかと言うより荒々しい印象を受ける。
「魔剣か?いや、付与魔法だな。久々に見たな。」
「わかったところで何もできんさ!」
男は勝利の笑みを浮かべる。ナイフがユウに触れるその瞬間。光がユウに吸い込まれた。
「なっ!?」
「魔法は精霊から力を借りているだけだ。その精霊が味方してくれている俺にきくわけがないだろ。」
ユウの反撃。それは男の魔法を反射することだった。先程とはうってかわり、荒々しい炎から凍てつくように蒼い炎へと変わる。
「死ね」
「うあぁぁぁっ!熱い熱い熱い熱い!助けてくれぇ!ああぁぁっ!しんじまうよぉ!うあ……あ……ぁ…………………………。」
「死ぬ覚悟が無いのに他の生物を殺せると思うな。」
ユウはそう吐き捨てるように言った。
「あー。ストレス溜まるなー。よっし。いまみー探そ。」
彼はそう呟き茂みへと消えていった。




