契約:5
悲鳴を上げる。片胸を乱暴に掴まれる。
濡れた舌先が、わたしの首筋を舐めた。ぞわりと不快感が一気にこみ上げてきて、思わず目を瞑った。
やめてと懇願した。だがそれは男達の嗜虐心を刺激する逆効果でしかない。
「嫌っ……」
下腹部に腕が伸びてきて、わたしはおぞましさに足が震える。
更にはスカートまで裂かれた。腹這いになった男にのしかかられ、股を強引に開かれる。
やだ、やだ、嫌だ――――
恐怖で体が凍り付いてゆく。
けれども、一方で頭は何も出来ない自分の運命を激しく呪う。
なにも、なにも出来ないまま犯されるだけなんて嫌だ……!!
だからわたしは、そこにある小さな勇気を絞って。
履き物を降ろす為に手首を掴んでいた背後の男がその手を離し、両羽が解放された一瞬の隙に、手元に落ちていた小石を握るや
「ギャッ!」
正面の男の眼窩へ、ひと思いにそれを突き刺したのだ。
絶好の不意討ちが決まった。急に襲われた激痛に苛まれ、目元を押さえた隙にわたしは相手を突き放す。
「あっ、クソッ!」
後ろには目もくれずに全速力で駆け出す。だが、所詮は女子供の足。すぐさま追い付かれ、前のめりに押し倒される。
「このクソアマが!」
横っ面を殴られ頬がじんと痺れる。畜生、失敗した。わたしはやっぱり唯の弱者なのか。
「ただ犯すだけじゃ気が治まらねぇ。ぶっ殺す。切り刻みながら犯してブッ殺してやる!」
反対の頬もまた殴られた。息巻きながら再び男がのし掛かってきて、下着が剥ぎ取られ、醜い男根と男の指が外気にさらされた箇所に触れた。
畜生。やめろ。
そのまま貫こうとして――
『――困るんだよなぁ。僕の主に何してくれるんだよ』