X月X日のレポート
X月X日
未確認情報をもとに某施設へと潜入。大型のタンクが並んでいる。
中には液体が溜まっているが、これが噂の「外宇宙素材」の元だろう。
低コストで強固な素材とは言うが、真相は人間を融解したものt
外宇宙素材。
それは有機成分を特殊な液体により分解、珪素化したものを圧縮加工することにより生産する未知の素材。
その材料は言うまでもなく生物。そう、人間だ。
かつては再利用プラントの一種として活用されていた素材は、地球移住に際し体のいい「数減らし」として用いられた。
どのような肌であろうと、知能の上下、学歴な性別問わず、すべからく素材となる。体重50キロの人間からおよそ25キロのケイ素液体が精製可能という点も魅力的だった。
今や純地球人の比率は減り、保護政策を求める声も噴出している。
星を売り渡した家畜が何をいう。遺伝子を残しているだけでも感謝してほしいものだ。
怠惰が極まり同族を売り、酷使してはゴミのように捨て去る。進歩を否定し現状にすがる。そして、要らぬ好奇心で周囲を掻き回す。
この記者のように、害悪足り得る地球人は数多い。我々は害悪足り得る地球人をこのように処理――もとい「有効活用」する。
恐怖に凍りつき、苦痛に顔を歪めながら人間が分解されていく、その最後の一瞬たりとも、我々は目を離さない。
抵抗も、興奮もない。だが、責務はある。このような愚者が生まれ変わる様を見届ける責務が、我々「秘匿班」に求められているのだ。
液体は28時間後、2次精錬プラントに運ばれ、異物を除去した後マテリアルに加工。各地に出荷される。
こうして全ては回っていく。