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幼馴染の恋愛便り  作者: 世嘆者
6/12

幼馴染とおはようございます

訳あって昨日は投稿しませんでした。

すいませんでした。


まあみんなそんな読んでないでしょうし、問題はないんですかね。

いやー入学してからも大変だったなぁ。

恋ちゃんは友達は作れない・・・・・・どころか誰とも話すことが出来ないし。話しかけられても僕の後ろに隠れるばかりでホントにだめだめだった。


僕以外に対しては借りてきた猫かって位に大人しくて。


クラスにいても、皆と馴染めず、僕が風邪をひいて学校を休むと、彼女は早退して帰ってくる。

大抵そういう時は看病されるどころか病人なのに看病させられた感じだった。


それでも、彼女は彼女なりにがんばっているみたいだし、部活でもやれば何か代わるのかと思ったんだけど。

結局僕達は何の部活にも入ることはなかった。なんか特別な思いがあったわけじゃなくて。むしろ何も感じる物がなかったから、僕達は部活にはいることはしなかった気がする。

なんていうか、強いて言えば帰宅部に入っていたけどね?

二人で家に帰るだけの簡単な部活。


そんな、部活に打ち込むわけでも、勉強にいそしむわけでもない、中学生らしさの欠片もない青春な日々を最初から全力疾走で駆け抜けた。


夏にはプールが嫌で逃げ出したことも合った。

そのときは授業中にも関わらず、僕が汗だくになって恋ちゃんを捕まえたんだっけ。

恋ちゃんが学校の外まで逃げるから、スク水姿の小学生を追いかけている中学生男子として危うく地方紙の一面を飾るところだった。


ホントにあれは危なかった。

僕は金属製の両手にはめる輪っかは別に好きじゃないんだよ。つけるのもつけられるのもね。

そもそも何で恋ちゃんはプールをあんなに嫌がったんだっけ。


ああ、泳げなかったんだったかな?

まあ、運動神経悪いもんね。

仮におぼれたって僕が助けてあげるのにねぇ。


っと、そんなこんなで、彼女との中学生活最初の夏は、波瀾万丈でした。まる。

あれはあれで、悪くはない中一の夏だったのかな?

__________________________________________________


side恋


「おはようございます」

「・・・・・・」

「おはようございます。今日も元気に、友達を作っていきましょう!」

「・・・・・・」


そんな某放送局のお天気キャスターの台詞をもじったような言葉を朝から投げかけてくるのは、幼なじみの少年。

須島くん。

まだ日こそ昇っていないけれど、もう朝だった。昨日学校から帰ってきてすぐに寝てしまったせいか、起きたのはまだ六時前。

まだ起きるには早い時間。眠くはないけど。


っていうか。


「だから、何でいるの?」

「ん?」

「いや、ん? じゃなくて、ここ、私の部屋だから」

「うん。知ってるよ? つまり僕の部屋でもある」

「いや、そんなことはないから」


何でそうなるのか。一度頭の中を見てみたい。


「第一まだ六時前だし。それに、私の部屋に次ぎ勝手に入ったら通報するって言ったよね?」

「言ったねぇ・・・・・・でも、ツンデレでしょ?」

「ちがうからっ! ツンデレじゃないから!」

「ええ!!?」


彼は驚愕に目を見開いた。

いや、ツンはまだしも、私のどこらへんにデレ要素があるというのだろうか?

ええと・・・・・・ないよね?


「そんなことは別にどうでもいいんだけどさ、いくら眠くてもご飯くらいはちゃんと食べないと健康に悪いよ」

「何の話?」

「昨日の夜の話だよ。帰ってきてすぐに寝るのは構わないけど。夕飯くらいはちゃんと食べないと大きくなれないぞ?」

「別に、もう大きいし・・・・・・」


言い訳のようにそうつぶやきながら、言われてみれば確かにお腹が減っていることに気づいた。

昨日寝ちゃったから夕御飯食べてないんだった。


あれ? だけど。


「何で昨日私が帰ってきてすぐ寝ちゃったことを知ってるの?」

「勿論見てたからさ」

「見てた?」

「恋ちゃんがおどおどして佐藤さんの顔をご機嫌でも伺うみたいにちらちらと見ながら帰ってたところからずっとね」

「あ・・・・・・」


そういえば、昨日は佐藤さんと一緒に帰ったことの印象が強すぎて忘れていたけど、須島君のこと置いて帰っちゃったんだっけ。


そう考えると、須島君にはすごく申し訳ないことをしたなぁと思った。

でも、その割には須島君はずいぶんとご機嫌な気がしたけど。


「うんうん。僕を忘れて帰っちゃうなんて、順調に恋ちゃんも幼なじみ離れが出来てきたのかな?」

「え。幼なじみ離れって、そんな・・・・・・」


その言葉は、すごく嫌な感じがした。

背筋を言いしれぬ恐怖と寒気が駆け抜けた。

ポケットなモンスターでの戦いに負けたわけでもないのに、目の前が真っ暗になるような感じがした。

親離れ、子離れ、それらとは違う・・・・・・なんかこう、幼なじみの絆ってものがなくなって、須島君が幼なじみじゃなくなってしまうような、どこか知らない場所へ行ってしまうような気がして。

なんか、すごく嫌だった。

怖かったのかも知れない。


なにが?

彼が自分以外の誰かのところへ行ってしまうことが。

私のことを助けてくれなくなってしまうことが。

彼が。

私の隣から消えてしまうことが。

私の居場所が消えてしまうことが。


だから、気がついたら、私の頬は涙で濡れていた。


「恋ちゃん・・・・・・?」


彼は困ったような、悲しいような、申し訳なさそうな顔をしていた。


「あれ、あれ・・・・・・? 違うの、これは。その・・・・・・」


目からは止めどなく涙があふれてきた。

私は両目からこぼれ落ちるその滴を止めることも出来ずに言い訳のような言葉を並べた。

でもやっぱり、涙は止まらない。

何で私はこんなにも泣き虫なんだろう。


「恋ちゃん」

「・・・・・・」


彼は私の体を優しく抱きしめた。

養護するでもなく。謝るでもなく。


「わたし、あの・・・・・・ごめんなさい」


私は彼に向かって、もはや口癖のようになってしまった。「ごめんなさい」とつぶやく。


「謝らなくて良いよ。それに、僕は幼なじみ離れしろって言ったけど、何も僕が恋ちゃんのそばからいなくなるってわけじゃないよ」

「・・・・・・うん」


分かってる。

分かってるはずだ。だって彼はいつもわたしのそばにいてくれた。

片時だって離れず、困ったときは助けてくれたし、泣いているときは抱きしめてくれた。

そうだ。分かってる、わかってるはずなのに・・・・・・。


「・・・・・・安心して。僕はずっと、恋ちゃんのそばにいるよ・・・・・・きっと何があってもね」

「・・・・・・うん」


彼の体温は暖かくて、その熱は数枚の布を通して私の肌を包み込み、暖かくなっていく。暖められていく。

心を。

そして体を。

私の中の足りない何かが、その温もりに埋められていくようだった。そして、私の中の不安が、恐怖が、悲しみが消えていくようにも感じた。


だから、私たちはしばらくそうやって抱きしめ合っていた。

時間も忘れて。まだ薄暗い部屋の中で。

そこに。


「・・・・・・もう朝だね」

「うん」


朝日が窓を通り抜けてまだ薄暗い部屋の中を照らし出した。

無駄に整頓された私の部屋の中を、朝日がゆっくりと照らしていった。


私の部屋がいつもきれいなのは、彼がいつ私の部屋に来ても良いようにしているから何だけど。


「さて、じゃあ僕達も学校に行く準備をしないとね」

「うん、そうだね」


もう時計の短針は7の辺りを通り過ぎていた。

一時間弱という時間が瞬く間に過ぎていた。


彼といると、時間が過ぎ去るのもあっという間だった。

でも、そこで彼はちゃかすように。


「そして恋ちゃんは友達を作る心の準備をしないとね」

「・・・・・・」


台無しだった。雰囲気が。

はぁ・・・・・・何でそんなに友達にこだわるのかなぁ。


ため息をつく私に向かって彼は、「でも」なんていって。


「佐藤さんはさ、そんな悪い人じゃないから・・・・・・あの娘とだったらきっと仲よくなれるはずだよ」

「・・・・・・佐藤さん、か」


いつも気難しそうな・・・・・・なんて言えば聞こえは良いけど、不機嫌そうな顔をした佐藤さんは、今日初めて話したようなものだけど、正直に言ってかなり取っつきづらかった。

それに、佐藤さんと私が一緒に町を歩いたら、友達同士どころか、いじめっ子といじめられっこ。よくて私はパシリ位にしか見えない。


彼女とは住む世界が違う。

人種が違う。

なんかそんな気がしていた。


「ほんじゃ僕は自分ちに戻るよ」

「また窓から?」

「当然!」


そういって彼は窓枠に足をかける。

だけどそこで思い出したように立ち止まってこちらを振り向く。


「向こうの部屋に行ってから窓閉めるの結構大変なんだけど、僕がいったら窓閉めてくれない?」

「えー」


といいながら、確かに家と家の間はあまり隙間がないとは言え、向こうの彼の部屋からこっちの窓を閉めるのは、確かに大変だなぁと思った。

最近私の部屋の窓も渋くなってきてるし。

須島君が落ちて怪我でもしたら嫌だし。

だからといって前回閉め忘れたことは許さないけど。


「じゃ、よろしく」

「え、まだ了承してないんだけど・・・・・・」

「さらばっ」


私の返事なんて聞かずに、彼は向こうの部屋に帰って行ってしまった。


はぁ・・・・・・とかいいながら窓閉めてあげる辺り、私って結構ツンデレなのかも知れない。

なんて、嫌なことに気づいた気がしたので、私は頭を振ってその考えを振り払った。


それと同時くらいに、下からお母さんの呼ぶ声がが聞こえた。

ごはんができたよって。


私は空腹、食欲に体を乗っ取られたかのようにのそりのそりと下の階のリビングへ降りていった。

そこにはお父さんがいて、既にご飯を食べ始めていた。お母さんはキッチンの方で何かしていた。もしかしたら私のお弁当を詰めてくれているのかも知れない。


「ああ、おはよう。恋」

「ん。おはよう」


リビングにはすでに食べ物のいい匂いが充満していた。

その匂いを嗅ぐと、私のお腹の中の暴食の悪魔が早く食べたいようと可愛らしく自己主張した。


だけどリビングのもう一人の方の住人は。


「おいおい、えらくでけぇ腹の音だな。おい!」

「・・・・・・」

「俺はてっきり世界が滅亡の断末魔でもあげてんのかと思ったぜっ!」

「・・・・・・・・・・・・」


恥ずかしさに全身がプルプルと震えた。顔も真っ赤になっているのが分かる。

だ、誰がなんと言おうと・・・・・・可愛らしい音なんだもん。


「あなた! 事実だけどあんまりなこと言うから恋がプルプル震えてるじゃない!! 恋も年頃の女の子なんだからもう少しデリカシーのある発言をしないと嫌われるわよ!」

「でもよぉ」


久しぶりに朝ご飯を一緒に食べられると思ったら、こんの父はぁ・・・・・・!!


「ねえ、お父さん」

「なんだマイラブリー娘よ」

「頭・・・・・・寒くないの?」

「・・・・・・!!!!!?」

「・・・・・・」


お父さんはポカーンと大口を開けて惚けていた。

私はそんなお父さんを無視して、朝食にありつく。


ご飯おいしいなあ!


「目の前のハゲがいなくなればもっとご飯もおいしくなるんだけどなぁ・・・・・・」


ぼそっとした私のつぶやきに、お父さんは涙目で家を飛び出していった。


すこしして遠くの方で。


「ハゲがなんだぁ!! 髪が多いことがそんなにえらいのかよぉ!!?」

「あなたぁ! 髪の毛だけがすべてじゃないわぁ!!」


という声が聞こえた気がした。

気づくとお母さんもいなくなってた。


私も早々に胃に朝食を流し込んでお腹の虫を大人しくさせてから、学校の用意をして家を飛び出した。

騒がしい家族だなぁ。

なんか最近暑いですね。

30度? ちょっと太陽さん頑張りすぎじゃないですか?


なに? ブラックなの?

ご愁傷様です。

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