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幼馴染

作者: べあ

いつからだろうか?


アイツと俺があまり、会話をしなくなったのは・・・・?



幼稚園の頃は、あんなにも仲が良かったのに、

年を重ねていくたびに俺とアイツとの距離は、遠くなってく一方だった



俺は、ずっとアイツだけを見て14年間過ごしてきたのに・・・



意地っ張りな所も負けず嫌いな所も俺は、アイツの事なら誰よりもも知っていたはずなのに・・・



そんな“アイツ”に先週彼氏が出来たらしい


俺は、もぅ後悔だらけの毎日を送っていた・・・・・・




********


(かず)最近元気ないけど、なした?」


机に伏せている和に向かって心配そうな眼差しを向ける目の前のやたら背の高い男


名前は、磯島 良太


小学校から結構仲が良く今でも、親友の男


「別に・・・・」


元々素っ気無い性格の和は、クラスでも1人浮いている事は、分かっていた

しかし、良太だけは、和の性格を悪いなどと思った事は、1度も無かった


「まぁ、あんま無理すんなよ」



そう言い残し、和の元を離れる良太

甘える事に馴れていない和は、こういう時そっとしておいてくれる良太の優しさに感謝していた


キーンコーン

 カーンコーン


授業開始のチャイムが鳴る、窓の外を見ると校門の前を走っている“あいつ”の姿が目に入った



「今日も遅刻かよ」


ボソリと呟く和の顔には、けして誰にも見せることの無い優しい笑顔が浮かんでいた


その笑顔を掻き消すかのように昨日あった事が鮮明に蘇る



###############


掃除当番の良太より先に部室に来ていた和はボールを磨いている途中だった


「2−Dの長瀬 葵って子さぁ〜」


突然“あいつ”の名前が聞こえたので部室から顔を覗かせる


そこには、女子生徒が何人か円になって話をしていた


「あのタラシで有名な剛と付き合ってるんだって〜」


女子生徒がキャァキャァ騒いでいるのも耳に入らず俺は、愕然とした


持っていたサッカーボールが床に落ち1回弾むとコロコロと転がっていった






「こら、谷屋聞いてるのかっ?!!」


突然自分の名前を呼ばれ現実世界へと引き戻される和



目の前には、国語教師が教科書を片手に、こちらを睨み見ている


そのまま、和は席を立ち

「具合が悪いので、保健室に行きます」

とだけ吐いて教室を出て行った


和が出て行った教室からは、女子の声が響き渡る



かっこいい!!和君超クール〜


和は、1人クラスで浮いているがそんな“一匹狼”的な所が以外にも女子にウけていた


まぁ、女子にモテる事を妬む男子から和は、実際嫌がらせなどを受けているのだけれども


教室を出て来てしまったので、仕方なく保健室に行こうとした時だった


「和じゃ〜ん!!!」



か細く高い声が後ろから聞える、俺の大好きな“あいつ”の声だ



“あいつ”は、俺のブレザーの端をちょこんと摘んで俺を見上げてくる


クソッ!なんでコイツは、こんなに可愛いんだろう・・・・

理性と本能を抑えブレザーを掴んでいる“あいつ”の手を無理矢理突き放す


「昔と変わらず素っ気なぁ〜」


ぷぅっと頬を膨らませ大きな目を細める“あいつ”


「葵は、昔と変わらず朝に弱いんだな」



多分さっき起きたのだろう化粧もせず、寝癖なんかもついてる“あいつ”にニィっと微笑む



「今日は、たまたまだもんっ!」


「嘘つけ、昨日もその前も殆ど毎日遅刻してんじゃねぇか」



意地っ張りな所も、頑固な所も何一つ変わらない“あいつ”

けど、そんな“あいつ”は、しばらく見ないうちに、もぅ子供なんかじゃなく、一人の女に成長していた


「何で、和がそれを・・・・・?」


不思議そうにたずねる“あいつ”を見て俺は、しまった!と思った

実は、葵が好きで、毎日葵が来るまで窓の外を見ていますなんて言えるわけがねぇ・・・・

和は、必死に言い訳を考える


「ッ――・・・な・・・なんだよ図星かぁ?俺はただ、そうかなって思っただけだぜ・・・」


苦しい・・・さすがに今の言い訳は、苦しかっただろう・・・・・

“あいつ”の顔を伺うように見ると“あいつ”は


「なーんだ!そーだったのかぁ、てっきり、和があたしの事毎日見てるのかと思ったぁ」


俺の嘘をすっかり信じ込んでいた・・・

良かった“あいつ”が天然馬鹿で・・・・

和は、ホッと胸を撫で下ろした


「そうだ!和に報告あるんだよぉ」


パァっと明るい笑顔を俺に向ける“あいつ”


『長瀬 葵って子、あのタラシで有名な剛と付き合ってるんだって〜』


昨日女子生徒たちが話していた言葉がリアルに蘇る


胸がちくりと痛んだ


「あたしね!サッカー部のマネージャーになる事になったんだよぉっ!」






「え?」




和の頭は、真っ白だった、てっきり新しい彼氏ができたの、と紹介されると思っていたからだ


「な・・・なんでそんな急に・・・」


そりゃぁ、“あいつ”がマネージャーになればいつでも逢えるし、もっといっぱい喋れる

けど、どうしてそんな急に・・・・?流れの読めない和は、不思議でたまらなかった


「へへへ、あのね・・・あたしサッカー部に


  好きな人いるんだ」




はぁ?!!!!

その言葉は、どんな言葉よりも衝撃的だった

あのタラシで有名な剛とやらは、サッカー部では無い・・・・

じゃぁ、つまり葵には、彼氏がいないって事か?!!!

幸福に浸るのは、一瞬でまた、すぐに問題が起きた


サッカー部に好きな人がいるんだ・・・ハニかんだ可愛らしい彼女の言葉がリピートされる・・・・


もしかして、葵の好きな人・・・・・良太?!!!!

良太なら、カッコいいし、サッカー上手いし、俺に勝ち目なんてねぇ・・・・愕然とする和をよそに話し始める葵



「アタシの好きな人はね、素っ気ないけど優しくて、誰よりもカッコいい



アタシの幼馴染なんだ・・・・・・・」


葵にそんな幼馴染がいたのか・・・・・・


ん・・・・まてよ・・・・?

和は、今までの状況を整理する



葵の好きな奴は、サッカー部で幼馴染・・・・・



俺ですか?!!!!!!



呆然としている和の顔を見て、葵は泣きそうになる


「あ・・・おい・・・俺もあお・・・いのことが・・・・ッ」


いつもクールな和は、どこかに消えてしまっていた


「もぅいいんだ・・・・ごめんね和」


自分は、フられたと思い込んだ葵は、和に一言謝りその場を立ち去ろうとした



その時




「待てよっ!!!!!」



葵の手を強く掴む和




「何勝手に、言い逃げしようとしてんだよ!!!」



「だってぇ・・・だって・・・和・・・にフられたら・・・・あたし・・・」


ついに涙を流してしまう葵



「誰がいつフったんだよ!!!!

良いか?!!よく聞けよ?!!!///


俺も葵が好きなんだよっ!!!!」







「え・・・・?」




「だから、



ぁぉぃが・・・・///


好きなんだよっ////」




長瀬 葵

谷屋 和



幼馴染暦14年


そして、幼馴染暦は、今日で終わり



今日からは、恋人になるのだから・・・・・・ね★



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― 新着の感想 ―
[一言] ピュアで、とっても可愛いらしい作品で面白かったです、僕にもこんなピュアな時代があったな〜なんて昔を思い出したりもしました、僕的には、好きなんですけど少し話がありきたりすぎかな〜ともちょっと思…
[一言] べたな話なんだけど俺的には結構好きなんだよねこういうの 一言 よかったです!
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