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東方project 〜東方少女録〜  作者: mariari
〜異章再成編〜
99/245

別世界達:2

「偽物の見分けもつけないなんて、

やっぱり、あんた弱いわよ」

「なっ…!くそっ…!」


異颯花は照射を即座に辞め、

振り向きつつレミリアに変化し、

勢いで霊夢へ横蹴りを入れる。

しかし、それは片手で守られた。


「…威力が上がってるわね…

だけど…まだ遅い…!宝具『陰陽鬼神玉』!」

「ぬおっ…!?」


ほぼ0距離で、霊夢は輝弾を放った。

それは相手に直撃し、爆発した。

その爆風を利用して距離を取る。


「…しかし、ダメージは入らんぞ…!」

「外側のダメージだけでしょ…

息切れしてるわよ」

「ふん、無理をすればどうってこと…」


異颯花は紫へ再び変化した。


「また紫ね。使い方も分かってないくせに」

「黙れ…幻巣『飛光虫ネスト』」


霊夢へ無数の弾幕が放たれる。

それを彼女は余裕で回避しつつ突撃する。

しかし、先程の場所に異颯花は居なかった。


「…ッ!」

「開けて悔しき玉手箱…自販機の山だッ!!

質量に押しつぶされろォ!」


霊夢の上空から展開された隙間から、

山のように自販機が落下した。

地面へ直撃した時の土煙が辺りに広がる。


「やったか…?」

「…重っ…!

やたら適当に…派手にやってくれたわね…!」


その全ての自販機を、

霊夢が気合いで吹き飛ばした。

しかし、防御が出来なかったのか、

頭部から出血している。


「フン、頑丈な巫女だな」

「どうも…ありがとう…!」

「だけど、休む暇など…与えんよ!

再度使用、幻巣『飛光虫ネスト 』!」


隙間から無数の標識棒が再び出現、

先ほどと比べ物にならない程の量が飛ばされる。


「質量で潰すのが好きね。

だけどそれでは単調なのよ…!」


霊夢は両腕を構え、向かって来るそれらを、

颯花の受け流しの構えの如く、

流れる水のように受け流していった。

全て受け流したが、彼女にダメージはない。


「本当に能力は2倍になってるのかしら?

全く手応えないけど」

「なる筈もなかろうな。私単体では、

色が反転するだけさ…」

「貴方…やる気あるの?」

「いや、準備は整った。だから言った。

今まで言わなかったのはその為さ」

「で…それであんたはどうなるの」


異颯花は元の姿に戻った。

不気味な笑みを浮かべている。


「だが、2倍にはならない」

「…は?あんたねぇ…」

「変化無しでこの状態で、今まで会った人物、

その能力を全てリスクゼロで使えるようになる」

「…」

「つまりは…この私が全ての能力を司る、

それが私が本当に出来ることなのさ…」

「今までと同じじゃない…何が違うのよ」

「それを体感…させてやるよ…ッ!!」

「…ッ!?」


直後に霊夢の左腕は腐り落ちた。

まるでその左腕だけが時が進んだように、

その左腕の部分だけが腐り落ちていた。

ただその捻じ切れた部分から、

血が垂れるのみだった。


「何が起こったのも分かるはずもない。

原理は単純に、時止め状態にして、

その時を止めた状態でその腕だけの時間を早めた

ただそれだけのこと…

例えばその静止時間の1秒を、

その腕は何10年と時を感じていたのさ…!」

「…。別にいいわ。腕の1本なんか気にしない。

けど時止めと時間の高速化は、

同時に出来ないはずだけど 」

「…良い所に気付いてくれた。さすが巫女だ。

その仕組みを教えてやろうじゃないか。

この今の私の能力に限界という言葉はない。

有限だった魔力霊力の限界。

時止めの静止時間の限界。

能力発動時間の限界。

能力発動可能な数の限界。

各能力の攻撃力の限界。

これらの限界は限界を超える…!」

「…。へぇ…凄いじゃない…

でも貴方がその強大な力に振り回されず、

自らを見失う事が無いように、

正気で…いられるかしら…!?」

「その前に君が取り乱す事がないようにな…!」


霊夢は突如と上下逆さまになった。

突然な事態に脳内が混乱し、目眩がするも、

天からこちらへ降る、

様々な物質を撃ち落としていく。


「見苦しいぞ?全知全能になす術ないのは、

全く当然なこと、素直に諦めようじゃないか?」


霊夢の足元から隙間が展開、

そこから様々な弾幕が放たれ、

天と地を覆い尽くされる。

その圧倒的な質量の中で、

避けては防御のみしか出来ない。

彼女はだだ孤独に戦っている。


「どうした?押されているぞ?」

「…」

「…ふん、無視か…だが、それは敵に背を見せる、

それと同等だということを…知れッ!!」


異颯花の隙間から様々な弾幕が発射された。

そして彼女自身の両手から、

2つの極太な閃光が放たれた。

霊夢はそれに気づく余裕がなく、

気づいた時にはほぼ回避不可能だった。


「どうだ!これで貴様は消し炭だッ!」

「貴方は…相当頭が悪いようね…!」


霊夢は正面に結界を張った。

その結界にヒビを入れる程の火力を、

真上に跳ね返し、

その上空の物質をほぼ全て撃ち落とした。


「ヌゥ…!」

「貴方は分かってない。

一人一人の能力の利点を…!」

「利点だと…?

敵を殺るのに理由や作戦など…

必要ではない…!要は結果が全てだッ!」


霊夢は次に意識があった時、

彼女は遥か上空に居た。

更に背中に大きな自動車に地面へと押され、

そして1本の道路標識棒が腹部の中心を貫き、

その自動車にくくりつけられていた。

その物体から逃れることも出来ず、

ただ地面が近付いてくる。

その隣に同じ速度で移動しつつ、

異颯花は話し掛けてきた。


「痛いだろ?突然過ぎて、

状況が分からなそうだがな」

「痛いわね…でも…私はこんなんじゃ、

まだ…死なないわよ…!」

「落下死で死ねるさ…きっとなぁ!

…さようならだ…巫女…!」


異颯花は指を鳴らした。同時に、

落下していく速度が増した。

おおよその検討は、自動車が更に2.3台、

上に積まれたと霊夢は解釈していた。

しかし、考えるだけでは落下は止まらない。


「考えろ…前にもこんな事があったはず…!」

「無駄だッ!死ねッ!潰れろッ!圧縮死だぁッ!」

「…まだ…死ねないから…私はあッ!!」


時間と共に高度が下がっていく。

しかし彼女はどうやっても脱出出来なかった。


「…!!」


そして、地面へ直撃する寸前、

霊夢とその自動車の姿は突然と消えた。

その状況に異颯花は驚いた。

辺りを見回す、すると、近くの大きな湖が、

とても波打っていた。


「まさか…そう来るとは…!」


異颯花は接近する。

そこの湖の浜辺に、

腹部に穴の空いていない巫女が、

こちらを見て佇んでいた。


「…これは…あの子の…あの子と会った…

はじめてのこと…

あの子は高所から落下したてなのに、

ほぼ無傷で生還、ピンピンしてた…。

あれは木箱がクッション代わりになったから。

私はそれを思い出して、似た事をしたまでよ。

それと同時に…この物語の全ても思い出した…」

「勝った気でいるのか?時は止まっていないぞ?

あと3分だがそんぐらいだったなぁ…!」

「向こうの世界には悪いけど消えてもらう…

貴方のためにも…

向こうの私を…楽にしてあげる為に」

「…ふん…

貴様はその質量ごとワープした…

残った霊力はもう僅かな事は既にバレている。

そして…次でチェックメイトだ…

絶望しろ…まだ見たこともない絶望にな…!

意識もないまま地獄へ落ちろォ!

時よ止まれ!私が動けと許すまでッ!!」


辺りの時が止まった。筈だった。

しかし霊夢には意識があった。

彼女は相手に意識があることを察知されないように

体をあまり動かさず、ある光が視界に入った。

霊夢の胸元で光るそれは、颯花の破片だった。

その破片は、白と青色だった。

おそらく、この破片は咲夜に変化して、

その配色になったのだろうと理解した。

彼女は死してもなお、無意識に彼女を助けた。

霊夢はそれを無駄にせず、思った。

ただ勝つ、それだけだ、と。


「1秒経過…」

「(相手はほぼ理不尽…常識に…囚われるな…

私が想像出来ない事を…最大限に想像する…

無理だとは思わない…絶対に…倒す…!)」

「2秒…」


霊夢はある音を耳にした。

大きな物体がこちらへ向かって来ていた。


「(なにが起ころうとも…私は負けない…!

さあ…来な…さい…!)」

「フフフフフ…!!!4秒経過…ァ!

廃線『ぶらり廃駅下車の旅』…!

この質量に…意識もなくこの世から…!

死ねぇええええええええええええ!!!!!!!」

「……ぬ…はあああああッ!!!」


霊夢は片手でその電車を押し、

脚で地面が削れる程踏ん張った。

しかし、その質量に押されるだけだった。


「貴様…!なぜ動ける…ありえん…ッ!!」

「貴方には分からないわ!信じるということを!」

「ぐっ…だが!貴様はもう終わりだッ!」

「それは…どうでしょうかね…!」


その電車は、だんだん速度が落ちていった。

霊夢が押しただけだったが、

何故か電車が止まりかけていた。


「何だこいつは…人間じゃない…!化物がッ!!」

「化物は…貴方よ…!

自らの本当の戦う理由を見失い、

ただ暴れるふりをして…!

本当はそのあと3分は…向こうの私の寿命でしょ!

だから…もう既に手遅れだということを…

分かってもなお戦う貴方こそ…!」

「うるせぇ!黙れええええええええ!!!」


異颯花は思いきり1つの輝弾を放った。

その輝弾は霊夢の額の右側に命中した。

しかし、出血が酷くとも、彼女は戦っていく。

その相手へ凄まじい目つきで睨む。

その目は勝利と信念を信じるような、

怒りではない何かを訴えている。


「なんだ…なんなんだその目は…!

貴様は…一体…!!」

「私は常に最大限に戦う…!

出し惜しみなんてすら知らない…

限界なんて!いらない!知らない!」

「どう足掻いても貴様には限界がある!

私のように、救世主(メシア)でもなければな!」


反対側から、同じ音が響いた。

生成された同じ路線上に2つの電車が、

両側から霊夢を押しつぶそうとしていた。

同時に、能力の負担に耐えきれず、

既に微量の結界の灰を吸い込んでいた

彼女の身体は内部から壊れていた。

異颯花の両腕が腐り落ち、塵となって消えた。


「…ッ!何だ…!?なんだこれは!?」

「あんたも…もう手遅れだということね…」

「まだ…まだまだ…私は…私はぁ…!

だが…貴様はもう…終わりだぁあああああ!!」

「…ッ…!!」

「8秒経過ァ!もう貴様は動けんッ!

これも運命なんだ!逃れることは出来ん!」

チェックメイトだッ!!」


霊夢の時が止まった。

彼女は完全に動けなくなってしまった。

2つの電車は衝突、

その2つの物質の間に霊夢を挟み潰しつつ、

それら大きな爆発が発生した。

周辺の木々はなぎ倒れ、散った火花で、

所々に火の手が回っていた。


「…霊夢…これも仕方ない事なんだ…許せ。

こうするしか…無かったんだ…私は」


1人虚しく叫んだ。その声は辺りに響いた。


「と言っても、もう聞いていないだろうな。

さあ…生き残った人材を救いにいくぞ…。

私達は生きる為に人を殺した。

しかしそれは許されることはない。

バツは受けるさ、私だけな…」


彼女の頭髪、服装の色が徐々に白くなっていく。

体を蝕むそれらの侵食が早い証拠だった。


「まずい…時間がない…能力も使っていて…

身体への負担が溜まっている…

早く…しなければ…私よりも…あいつを…」


しかし、その声を聞く人物が居た。

その人物は、爆煙から姿を現し、

異颯花にゆっくりと歩み寄る。


「…。そうね。貴方を許せるって訳じゃない…」

「…ッ!?」

「だけど…同情はしてあげる…!」


霊夢はあの爆発から生存していた。

直撃を受けてボロボロになりつつも、

彼女はその不屈の闘志を見せ付けた。そして、

彼女の周囲を無数の霊符が展開された。

数はとても少なかった。しかし、

それらは彼女の全ての霊力を使っていた。

文字通りの全力だった。


「まさか…

あれを直撃して生きていられるのか…!」

「ワープはしてない…貴方の全力…

そのまま受け止めた…そして…!

私の残っている全力を…

ありったけの力を…貴方に…!

貴方を…今…楽にしてあげる…!」


そして、それらは同時に異颯花を包み込み、

そしてかなりの爆発が発生した。

しかし、今まで死んでいった仲間の顔が、

彼女の行動を鈍くさせた。

人が死ぬ悲しみが再び霊夢の中を駆け巡り、

彼女を殺す事に躊躇ってしまった。


「…。…楽に出来なかったようね…。

私が戸惑って威力を下げてしまったせいで…」

「ふっ…全くだ…」


爆煙は引いた。

彼女は重傷だった、だがまだ生きていた。

しかし、時間が彼女を殺す時は、

そう遠くは無かった。

更に、徐々に身体が灰化していく。


「私の…負けか…だが…後悔はしない…

何もせず自らも死ぬのならば…

私は…同じ顔の…仲間を殺す…

結局何も出来なかった…生まれたのは悲劇…

悲しみ…憎悪…憎んでくれていい…

これは…私が決めたこと…だが…

私が…なんの罪もなく連れ出し協力を強いた…

その利用されていた…藍達を…

憎しみだけで…復讐相手にするのは…

地獄に行っても…私は許さん…!」

「…」

「…なぁ…最後に…聞かせてくれ…

向こうの君は…もう死んだだろう…だが…

君は生きている…生きることに…

大切な事はなんだと思うか…?」

「…。…そうね…友情…かしら…

仲間を思うこと…大切に思うこと…

今は…それだけでいい…」

「ふっ…やはり霊夢は霊夢だ…では…頼む…」

「…ええ…時間(とき)に殺してもらうより…

私が終止符を打つ…!」


霊夢は彼女の頭を、霊符を放ち爆発で消し去った。

戸惑って残した霊力を後から使った。

それはたった2.3枚という数だったが、

相手への殺傷能力は充分にあった。

主を無くした胴体は、徐々に塵となって消えた。

霊夢は1人虚しく空を見上げた。


「嘘をついた意味が…分かったよ…私は」


そこへ、ある3人がやってきた。

一部始終を見ていたようなご満喫な文と、

方を組みつつゆっくりと歩み寄る、

魔理沙とにとりがいた。

互いにボロボロで、にとりは両目を失っていたが、

どんな状況かは理解していた。

そして、魔理沙は言った。


「霊夢…腕が…」

「いいの、気にしないで…」

「大丈夫じゃないだろ…」

「いいから…大丈夫だから」

「…。チルノも生きているぞ…って、

颯花は居ないのか…?

なあ、霊夢…これで…終わったのか?」


霊夢は辺りを見回す。

そこに別世界の彼女達は居なかった。


「彼女達は…あの世で会えるわよね…」

「…?」

「で、貴方達は記憶戻ったの?」

「え?ああ、なんか首元に水が垂れてな」

「ああ…私も」

「ふふ…あいつめ…」

「…で、颯花はどこさ?直してあげないと…」

「…颯花は…アレよ!アレ!

外の世界へ旅に出たの!

あいつの事なら気にしなくていいって!ね!」

「…そう。無理しなくていい。

あいつも頑張ったもんな。

休ませてあげないとな…ははっ…」

「…ごめん…」


にとりはうっすらと泣いていたが、

隠すように笑っていた。

霊夢はそれを見て、暗い表情を隠すように、

空を見上げた。

そこに文が質問をする。


「…で、どうですか?

この長き戦いが終わった感想」

「おまえなぁ…ったく…」

「私がこの戦闘でずっと考えていた事はただ一つ、

それはこの粗大ゴミの…廃棄場所ね」

「真面目じゃないけど答えたし!」

「てかお腹の傷口…なっ無い…?あれ…?」

「ん?どうしたんだ?」

「(あいつ…やっぱり颯花だわ)

いいえ、何でもないわ。帰ろ…神社に…

けど、ヘトヘトで動けないの…

あんたの魔力、分けてくれない?」

「霊力と魔力に互換性なんてあったか?」

「うん…あったんだってさ。あいつが言ってた」

「あいつ…か」

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