信念:1
「私は守る対象の人物を、自ら殺してきた…!
だが人が死ぬのは見慣れたなんて事はない!
私はいつまでも人間が好きだ!
だけど人間だったらここまで無理を押し通す
事は絶対に出来なかった…!」
颯花と霊夢は踏み込み、
互いに勢いよく突撃する。
「この運命を選んだ神が憎い!
だが私をこんな機械人形に仕立て上げた
そして私にチャンスをくれた神に感謝する!」
「殺人で手を染めた奴に、
神様が返答すると思って!?」
「聞いていないだろうな!
自由気ままな蟻飼い神様は!」
「人を蟻に例えて人間が好きなんて、
頭のネジが外れてないかしら?」
「元からネジがあったり歯車があったりする
そこまでロボットみたいなガラクタじゃない!」
「誰もあんたの体の話なんかしてないわよ!」
互いに飛び上がった。
そして、颯花の右脚と霊夢の木の棒が衝突。
力量差はほぼ同じだった。
その後、不可で足のヒビが更に大きくなった。
「まずっ…!」
「あんたの身体、もう悲鳴を上げてるわね!」
「私はまだ悲鳴を上げていない!」
「あんたの身体の話よ!」
颯花は霊夢の右腕をワイヤーで結び、
距離を離させない。
そして紐を巻き戻す勢いで、
思いきり左腕で殴りかかった。
しかし、霊夢は即座にしゃがみこみ、
その腕を回避、霊符を飛ばし紐を切りつつ、
ほぼ接射の距離で命中した。
颯花の姿は爆煙に包まれる。
「…どう…!」
「…まだだ、てあっ!」
煙から姿を現した颯花は美鈴形態で、
かなりの距離を飛び蹴りで移動、
そしてその移動速度はかなり素早く、
回避が間に合わず霊夢の右肩に当たった。
「くっ…これを避けれるなんてな!」
「間合いと視界不良のせいよ!
けど滞空時間の長さが重大な欠点ね!」
その脚を霊夢は掴んだ。
そして振り回し、後方へ飛ばした。
飛ばされた颯花は、それを利用し距離を取り、
チルノの形態へ変化。
両手を向け、そこから氷柱が放たれる。
「氷符『アイシクルマシンガン』ッ!」
「あんな馬鹿の能力を使うなんてね!」
霊夢は結界を張り防いだ。
しかし、その結界は氷で固められた。
颯花は結界の生成出来る枚数の限度や、
身体に霊力を戻せないようにし、
霊力の結界一枚分を一時的に削った。
「奴は確かに馬鹿だ…けど仲間を大切にしてる
私が好きなタイプ!
あいつも必ず生き返せる!」
「一度死んだ生物を生き返せると…?
甘ったれた理想掲げて殺人をして、
何を言ってるのかしら!」
「甘ったれた理想というのは認める!
だが私は事実だけを話す!」
次に、颯花は咲夜の形態へ移行した。
停止時間4秒で霊夢の間合いに入り、
時止めは終了した。
「その能力も鬱陶しいわね!」
「どっちの能力なのかハッキリして欲しいなッ!」
「どっちもよ!」
そして、颯花は魔理沙の形態となった。
ほぼ0距離でミニ八卦炉を構える。
「恋符『マスタースパーク』ッ!」
「この距離でそれを…!
溜め時間を考えなかったのね!」
そのミニ八卦炉が光を放つ前に、
霊夢は威力の高い攻撃ではなく、
体術で攻撃した。
相手が機械で破壊時の爆発の危険性を察知した
その結果、物理攻撃で攻めたのだった。
「神技『天覇風神脚』ッ!」
「かかったな阿呆が!咲夜の時に、
接近するだけだと思っていたのか!」
「何ですって!」
颯花へ蹴りが入ったのと同時に、
颯花はマスタースパークを中断し、
咲夜の形態へ再び変化した。
更に、あらかじめセットしておいた受身技が、
咲夜に戻った事により作動された。
霊夢の周囲を無数のナイフが取り囲んだ。
「さあ、これはどうするか!」
「こんな時は…こうするのよ!」
霊夢は自らを箱状の結果で包み込んだ。
そして、身体を大の字のように広げた瞬間、
その箱状の結果は、大きくなり周りのものを
全てはじき飛ばした。
「ぐあっ!そんなことも可能なんだな!」
「そんなこと気にするんだったら、
自身の滞空時の欠点を補いなさい!
宝具『陰陽鬼神玉』ッ!」
徐々に加速していく輝弾が、
空中の颯花へ命中する。
彼女の姿は再び爆煙に包まれた。
「しぶとい奴…!」
「あんたの能力も使われると、
理解してなかったのか?」
「亜空穴でしょ…でも一応当たったようね」
「この通り、少し焦げた」
「全部焦げてくれたら楽なのに」
「戦いに楽しんでるくせにか?」
「あんたにトドメをさせるのに、
こんなに嬉しいことなんてないわ」
「ふっ…出来るかな…?
私はおそらく君には勝てない。
けどこの長き戦いに勝つ方法なら、
…いくらでもあるのさ…!」
「負ける気で来ても勝てないわよ?」
「負けないさ。勝てないと言ったから」
「…なによそれ…全く」
背後に居る颯花へ振り向く。
腹部に命中したのか、ヘソが出ているほど、
腹部周辺の服が燃えて無くなっていた。
「時刻的にはそろそろか…」
「なんの時刻よ」
「そうだな…私のチェックメイトの時間と
言えば分かるか?」
「仮にそうだとして、何故分かるの」
「言っただろ?…いや、記憶を消されているのか、
私はこの未来をほとんど予測しているって」
「へぇ…じゃあ何か言ってみなさいよ」
霊夢は呆れた様に放った。
「例えば、私に不都合な『暴走』。
どうやって、克服した?」
「…わざとあれを食らったっていうの?」
「自分で翼をちぎろうとしたが、無理だった。
それで壊してもらったのさ…」
「じゃああの攻撃力は予測してたの?」
「そこまで器用じゃない。予想以上だったさ」
「嘘っぽい言い方ね」
「これだけは嘘ではないね。
あとこの話をするのも予想済み」
「だんだん気持ち悪くなってきてるわよ…まあ、」
「元から、でしょうけどね」
「…これも?」
「…そうさ。もっと感が良ければ戦闘にも
使えたかもしれないが…」
「それだともっと厄介者だわ…」
「さあてと、時間がない…
模倣能力を最大限に使う…!」
「(戦わなければ奴の予想通りにならなそうだけど、
それが予想してたことなのかもしれないし…
この迷ってることも予想されてるかも…)」
「どうした?怖じ気立ったか?」
「いいえ、全然。思い通りに動いてあげるわ」
「そう、それでいい」
颯花は、霊夢と魔理沙が合わさった様な、
色の合わない形態へ移行した。
「(待ってろ、今行くよ。咲夜)」
「その組み合わせ、相性悪くない?」
「相性なんて関係ないね。使いようさ…
妖怪バスター+メテオニックデブリ!」
霊夢のと似たような霊符は、
無数の星型の弾幕に包まれた。
「拡散範囲の狭い技なんて、
全てかき消されるだけよ!夢符『封魔陣』ッ!」
霊夢が展開した結界に、
颯花の飛ばした二種類の弾幕が衝突した。
威力が低過ぎて、着弾時の爆煙での
視界潰し程度にしかならなかった。
だが、それを利用していた。
「相変わらず爆発系って視界を覆うわね…。
で、背後を取るのが好きなの?」
「背後でなければ移動後に攻撃されてる。
本人のものほどその技の弱点を知っているからな」
「そうね、移動後に少し動けなくなる。
あんたはその劣化だから、更に長く制限される」
「ご名答。さすが巫女」
颯花は片方ずつ、両方の模倣能力を、
咲夜形態へ移行した。
「時止めだけじゃ、私を倒せないわよ」
「さぁ…どうだろうな…!」