巫女と歩む死神:1
「何よ…この馬鹿でかい憎悪…いや、
悲しみ…?とにかく何か恐ろしいものが…
こっちに来る…!?」
霊夢が見た方向、そこに颯花が居た。
しかし、もうすでに颯花ではない状態だった。
「あら…全くの別人のようね」
「…ふふ…」
「そのゾンビみたいな動き、
どうもならないのかしら」
「…ふふ…」
「まともに会話も出来ないって…」
颯花はそのまま歩いていく。
霊夢にさえ気づいてないように。
「さっきの返事でも何でも無かったのね…」
「…ふふ…」
霊夢は1つ、霊符を飛ばした。
それは颯花の背中に直撃。爆発を発生させた。
「…んー…?」
「…全く…一つ一つの行動に不気味さを感じるわ」
颯花は目を見開き笑顔で振り向いた。
その顔に感情など無かった。
その後、彼女に再び翼が生えた。
「邪魔をする奴だけ攻撃するのね…
けど、このまま進ませるわけには行かないわ」
「んっん…?」
「来なさい…!サイコ野郎さん!」
「ん…サイコ…ふふ…」
その直後、霊夢の視界に颯花の顔が写った。
ほぼ0距離を瞬間移動の様に移動していた。
慌てて霊夢が距離を取った。
「速い…!」
同時に、背中に居た人物とぶつかった。
霊夢は振り向いた。そこにも颯花が居た。
「ふふふふ…」
「ひっ…人で遊んで…!」
霊夢はその彼女の顔に陰陽玉をぶつけた。
反動で颯花が空を向いた。
しかし、すぐに体勢を戻し、いつもの笑顔。
「…ふふふふふふふふ…」
「来る…!」
しかし、先程の速度では移動せず接近してきた。
おそらく速度と思考が追いつけなく、
思考が追いつく速さで動くと霊夢は判断した。
颯花は霊夢へ飛び蹴りをした。
その飛び蹴りと霊夢の展開した結界が衝突した。
しかし、ものともしないで突き破った。
「なんて力…!その力は一体…!?」
「…ふふふ…」
その後、飛び蹴りが霊夢に直撃した。
もう一つ小さくさらに頑丈な結界を張っていた為、
直撃は免れたが、大きく吹き飛ばされた。
「…痛…っ…!」
「…ふふ?」
「馬鹿にした態度…うざいわね…けど!」
颯花はその場に設置してあった、
動きを止めさせる結界の罠にはまり、
動けなくなった。
それを破るには、霊符を切ればいいのだが、
今の颯花にとってそんな事は考えられなかった。
どうしても力技で破ろうとしていた。
「動きは止まった…後はどうすれば」
「ふふ…!」
その時、颯花は下半身を切り離した。
そして、霊夢へ殴りかかった。
「その手だけは覚えてたようね!」
「…ふふふ…!」
「ずっと笑ってよく疲れないわね…
博麗アミュレット!」
颯花へ2つの座布団の様な物を飛ばした。
それを彼女は回避する事もなく、
それらを掴み、動きを止めさせた。
「素手で掴むって…」
「ふふ?」
再び上半身のみの颯花は接近した。
霊夢はその接近する彼女の頭部を、
思いきりお祓い棒を叩きつけた。
しかしダメージを与える事も出来ず、
お祓い棒は折れてしまった。
「お祓い棒が折れた…!?」
直後に、再び視界のほぼ全体を颯花の顔が占めた。
感情のない笑顔と見開いた目が、
ほぼ1cm、霊夢の顔の前で止まった。
「貴方は一体何がしたいのよ!」
「…ふっふ…」
「…こっこの…っ!」
霊夢は彼女の腹部を殴った。
そして頭部を掴み、付近の木々へ投げ当てた。
「(痛そう)…どう?」
「んー?」
何事も無かったかの様に、
颯花はスッと立ち上がった。
彼女は霊夢へ歩み寄る。
「あんたねぇ…本当、それ気持ち悪いわよ」
「ふふ…」
互いに腕が届く距離までになった。
2人の目線は重なっている。
「…?」
「…全く…効いてないわね…」
「…」
「…いつものふふっは無いのね」
「…ふっ」
「あっ…言った」
「……。
………コロシテ……アゲル……!」
「うわっ喋ったっ!?」