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東方project 〜東方少女録〜  作者: mariari
〜異章再成編〜
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壊れた者

「なっ…何故だ…何故生きているッ!!」


旧颯花の背後に居た人物、

それは間違いなく桐初 颯花だった。

しかし、まるで彼女ではない、

全く違うオーラを身にまとっていた。

その輝きは、周囲の色を取り込む様な、

ドス黒い紫色であった。


「ちと辛かったが…理解した。

あんたが槍同士を融合させたおかげでな」

「なっ…何をした!」

「見ての通りさ、あんたのあの極大な槍を、

この私が吸収してやったのさ」

「馬鹿な!そんな事すれば…!

過大エネルギーに身体が耐えきれず爆発…」

「しないね、何でだと思うか?」

「ふざけるな、分かる筈がない!」

「それは…お前も私も桐初 颯花だからさ」


そして、颯花の背中から再び翼が生えた。

背中のフランのひし形の飾のような部分が、

ドス黒い紅とドス黒い蒼が交互になっていた。

全身から放たれる漆黒に似た紫。

更に禍々しさを増した大きな翼。

そして、颯花の瞳は紅く輝いていた。

吸血鬼の様な、死神の様な雰囲気だった。


「宣言しよう、貴様は絶望を抱いて死ぬ」

「…なっ馬鹿な…馬鹿な事を!!」


旧颯花は颯花へ殴りかかった。

しかし、その腕は軽く片腕で止められた。


「無駄さ、今の私には貴様本人の力と、

貴様の模した姉妹達の力と、

私の吸血鬼の力…そして…

レミィとフランの意思が込められているからだ」

「なっ馬鹿な…!」

「単純に計算してやる。お前の学力不足の為にな。

貴様の力で1人、貴様の模した力で3人、

私の力で4人…私の模した力で5人…」

「ふざけるな!そんな力、貴様が耐えられる様な!

軽く軽蔑に使える負担ではない!」

「それは…どうかな」


颯花は旧颯花の頭部を掴み、持ち上げた。

そして、何度も腹部へ殴った。

旧颯花の吐いた血で、更に紅く染まっていく。


「どうだ…これが痛みだ」

「ぐっ…調子に乗る…な…!」


颯花はそのまま頬を殴った。

内部の骨格が折れた音が、周囲に響いた。


「ぐ…ぁ…!!」

「喋られないのか?無様だな」


颯花は彼女を地面へ叩きつけた。

そして、その上から何度も踏み付けた。


「無理なのさ、お前が神になろうなんて」

「ぁ…が…が…!!」


その後、颯花は彼女の右腕を引きちぎった。

そのちぎった部分からかなりの量の血が吹き出た。

旧颯花は声にならないほど叫んだ。


「聞きたかったな、貴様の無様な叫び声を」

「ぁ…ぅ…」


そして、もう一つの腕を引きちぎり、

両脚も引きちぎった。

その度に声のない叫びをしている。


「…ふふ…」


颯花は、旧颯花を抱いた。

そして、力強く抱き潰す。

旧颯花の全身からかなりの折れる音が響いた。


「ふ…ふふ…ふふふ」

「…ぁ……」


そして、旧颯花の首筋に噛み付いた。

彼女の体内に残った血を吸い出していた。


「もう意識はない筈さ、これで終わり。

さようなら、サイコパス」


旧颯花の首を、剣の様に腕を振り払い、

首を斬り飛ばした。

颯花の全身は依然と紅く染まっている。


「これが今の壊れかけの私に出来る、

最後の慈悲さ…

意識を無くして…死の恐怖を与えず殺す…

咲夜には悪いが…どんな奴が相手でも…

私には…復讐なんて器用な事は出来ない…」


しかし、彼女は自分が、

相当相手を痛めつけている事を、

全く分かっていなかった。


「あんな禍々しい物を取り込んだ私は…

何を…仕出かすだろうな…ふ…」


その後、遺体の脚を切り取り、

自らの刺剣を抜き、その後に溶接して取り付けた。

大きさが違うが、問題は無い。

彼女の禍々しい翼が消え、素の状態へ戻った。



「ふ…ふふ…ふふふふふ…!」


「ハ…ハハッ……ハハハハ…ッ!!」


彼女は1人、死体の前で空を向き、

大きくただ笑っていた。

彼女の瞳は、紅く輝いている。

瞳から、涙の様に血が流れている。

泣けない者から、泣く事無き者となった。

今の彼女に、感情などない。

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