造り者達:2
「右手機械露出…てあッ!!」
「上等ッ!フハハ!」
颯花の右手機械と旧颯花の飛び蹴りが衝突した。
旧颯花の蹴りは風圧に飛ばされる事も無く、
そのままものともせず颯花を蹴り飛ばした。
「神こそ強し!弱ければ神ではない!」
「所詮私達はただ一つの個体!
始あれば終あり…
寿命に囚われた生物で!
簡単に神になると語るなッ!」
「力さえあれば何だって出来る!
最強の生物が頂点に立つ事は当然!
弱肉強食であったこの世界が生み出した答えさ!」
「争いがなければ神も流す血も涙も必要ない!」
颯花は突撃し、左腕で殴りかかった。
旧颯花はそれを同じ左腕で殴り返した。
圧倒的な力量差で颯花が吹き飛ばされる。
「争いこそ至高!勝利こそ正義!
負けた者は死に、怯える者は私の為に、
死まで人生を捧げるという最高な世界を!
創ってやるんだよ!」
「そんなもの誰も望んでいない!」
「私が望んでいる!私の為に死ぬのは必然!」
「その膨大な傲慢さは何処から出てきた!
自身の能力に魅了されたからか!」
「この能力は私にあって当然の物!
この能力の劣化など必要ない!
貴様にはどう足掻いても死ぬ事しか許さん!」
「貴様に殺されるほど私は昔のままではない!
私はいくつもの悲しみを乗り越えてきた!
己自身にも!皆の為にも!
強くなる事しか望んでいない!」
「貴様に与えられたそんなちっぽけな能力じゃ、
誰一人救えない!誰も守れない!
ただ仲間が死ぬのを見守る程度しか出来ん!」
「私は見守る前に先に死ににいく!
仲間が死ぬのならば、自らを犠牲にして
仲間の勝利の糧となれればそれでいい!」
「糧ともなれず消えていくのが貴様さ!
貴様では盾にすら使えない!」
「盾になれずとも矛となる!
私に死ぬ恐怖などない!
いくつも死にかけ、そして仲間が死んだ!
そんな腐った世界のせいでな!」
颯花は手をかざし紅く光る槍を出現させ、
旧颯花に突撃する。
旧颯花も同じ様な蒼い槍を出現させた。
颯花の槍よりも鈍く輝いていた。
「腐ってなど無い!
環境の変化に遅れたゴミ共が!」
「ならば貴様はゴミ以下だ!」
互いの距離が縮まっていき、2つの光が重なった。
旧颯花の槍の光に、颯花の光が取り込まれていく。
その後、ただの木の棒の様に、
颯花の槍が軽く折れてしまった。
「ハン!この雑魚が!死ね死ね死ね死ねぇ!」
「うぐっ…!」
颯花の顎へアッパーが直撃し、
上に吹き飛んだ彼女を更に追撃。
4発の蹴りで地面へ叩きつけられた。
「…」
「身体の負担が大き過ぎて動けない?
ざまあwさっさと殺すのもいいが、
痛めつけるほうが王道だわ」
「(動け…何故動けない…!)」
「まずは…左脚を潰してやる…!」
「…ッ…!?」
旧颯花は颯花の左脚を思いきり踏み潰した。
辺りには土煙と颯花の血が飛び散り、
周辺に颯花の悲鳴が響いた。
「最っ高だねェエエエ!
そんな声出せるじゃないかァア!
もっと聞かせてくれるよなぁ??」
「野…郎…」
土煙が引いていった。
視界に入った左脚は、大量に出血しており、
更に内部の関節が折れてしまっていて、
皮1枚で身体と繋がっている状態だった。