異世界から来た2人
「全く・・・バレてんだよ。
早く出てきたらどうかな?」
「何の話さ?」
「嘘つけ、少し表情が硬いぞ。
多分そのへんにあの幼・・・さとりが、
いると思うが」
「ふっ・・・気のせいだな。
それとも、何かの作戦か?」
「いいや・・・とりあえず、
その下手な木のモノマネを辞めて、
こっちへ来たらどうだ?
「凄いですね、私のステルスを見破るなんて」
「そんなバレバレなステルスじゃあ、
相手が遠距離型なら、すぐ撃ち抜かれてるぞ」
「説教ですか?いい度胸ですね。
それとも、私の実力への嫉妬ですか?
もっと褒めてくれてもいいんですよ?」
「そいつは・・・自身の能力で確かめるといい」
「あっはい、確認するだけ無駄なんでいいです」
「・・・」
荒ぶる鷹のポーズの様な、
木のモノマネを辞め、さとりはこちらへ歩む。
完全にまずい状況になった。
空気的にも、戦況的にも。
「というか、何故君達までここへ来る必要がある?
ほかにも適任者が居ただろう?」
「はい、居ましたね。
けど・・・
もう何故かくらいわかってるんじゃないですか?」
「・・・私の対策者。
熱に弱いので、熱を発する炎を使う藤原 妹紅。
直感がずば抜けているので、それを見抜く為に
君、古明地 さとり。
もう一つの理由はあるとすれば・・・
既に崩壊は始まっていて、かなりの人物が死に、
その生き残りとしてただ集められた、か?」
「・・・少しハズレですね。
確かに崩壊は既に始まっていて、
死傷者もかなりの数です。
みんなが死に、死に、死んでいった。
その中で僅かに生き残った私達は、
やっとの事で次元を移動する機械を作った」
「おい、話過ぎじゃないか?」
「大丈夫でしょう。
彼女ではどうする事も出来ないわ」
「・・・」
「その機械は、同時に6人しか移動出来ない。
造った本人も、直後に死亡しています。
あの橙という子は、
元々連れて来る事は予定外でしたが」
「・・・じゃあ・・・
その機械で行き来すれば全員、
こちらの世界に来れたんじゃないか?」
「それは、もう分かってると思いますが、
あの装置は行き来で使い捨てです。
1度行って帰れば、その機械はただの置物同然」
「・・・。
私に同情をして、諦めてもらえ、と?」
「それは貴方次第です。
残りの命をどう使うか、それは貴方の自由」
「なら、自由にさせてもらおうか。
そこを通せ・・・」
「ちょっとちょっと、私との対決は?」
「どうでもいいです」
「さとり・・・」
「言ったでしょう?彼女では何も出来ないと」
「出来ないさ、私ではな。
今までも、これからも、私だけではな」
「・・・?どういうことさ」
「答える必要はない。さよなら」
颯花は二人の間を通り、去っていった。
その彼女の目は、ただ目的地のみを見つめていた。
「で、どういうことさ。さとり」
「それは秘密です。
私が彼女に称賛するくらいだと言っておきます」
「・・・気になるなぁ」